前野兎谷遺跡

このページの情報をツイッターでツイートできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号1004909  更新日 2020年1月25日

印刷大きな文字で印刷

写真
発見された土器

前野兎谷遺跡は、前野町五丁目26番から29番付近に広がる遺跡です。この遺跡は出井川を北側に望む台地の中腹に位置し、これまで3地点において発掘調査が行われ、主な遺構として縄文時代早期の炉穴、前期の住居跡、古墳時代前期 後期の住居跡、平安時代の住居跡が発見されています。
なお、この遺跡は考古学者の杉原荘介さんが昭和13年に調査した前野町遺跡の第七地点を含んでおり、住居跡から当時設定された関東地方弥生時代後期終末の土器けい式である「前野町式」の資料が出土したという記録が残っています。
平成21年に行われた第3地点の発掘調査では古墳時代前期の住居跡が1軒発見され、多くの土器や鉄鏃(鉄製のやじり)が出土しました。これらの遺物はその出土状況から、竪穴住居跡が住居としての機能を失った後に埋もれていく過程で投棄されたものと考えられます。このように多くの土器が一緒に出土するということは、それらがある集団によって同時に使われていた可能性が高く、考古学における土器研究のうえで貴重な材料です。
出土した土器の多くは部分的に欠けていましたが、全く欠けておらず今でも使用できる状態の土器も出土しました。単なる土器捨て場であるならば、使用できないものだけを捨てると考えられますが、完けいの土器は別の意味をもった祭しなどの行為で置いたものかもしれません。
また、本来この地域では施されない模様がつけられた壺・この地域では一般的ではない形の高つきなど、特に東海地方などの地域との交流が考えられる土器も出土しています。
古墳時代前期の住居跡はこれまで合計13軒確認されていますが、弥生時代後期および古墳時代中期の遺構が発見されていないことから、集落を営んでいた人々は古墳時代前期の一時この地で生活を行い、いずこかへ去っていったものと考えられます。
【学芸員 隅田 眞】
※平成23年1月22日発行「広報いたばし」掲載

より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

このページに関するお問い合わせ

教育委員会事務局 生涯学習課
〒173-8501 東京都板橋区板橋二丁目66番1号
電話:03-3579-2633 ファクス:03-3579-2635
教育委員会事務局 生涯学習課へのお問い合わせや相談は専用フォームをご利用ください。