仕事・契約・産業
中小企業経営者のための経営ワンポイントアドバイス(27)
公開日:平成22年2月18日
最終更新日:平成22年2月18日
中小企業経営者のための経営ワンポイントアドバイス
売上代金の簡単な回収法
Q.卸売業を営んでいます。一部の取引先からですが売上代金が入ってきません。商品を納入していますので金額が大きくなっています。代金回収のいい方法を教えてください。
A.ある統計によりますと、企業の倒産の原因の上位3位に売掛金未収が入っています。それだけに回収は非常に重要な業務です。例えば100万円回収不能となれば、それを取り戻すために最終利益率3%の会社であれば、全く新規に約3,400万円の売上を上げなければなりません。そんなことにならないように、以下に比較的手間の掛からない回収方法を説明します。
1.粘り強い交渉
決められた期日に回収できない場合は、先方が遠方の場合は電話やメールで、近くの場合は何度も訪問して支払を促がすことです。その際現金で回収するなら、何%か値引き(現割)するか、一括でなく2~3回に分割で受け取るなどの条件を出して交渉をするのも一方です。電話やメール、訪問時の話の内容を記録しておくことが必要です。この記録は裁判になった場合、重要な役割を果たすことになります。
2.内容証明による請求
何回も口頭で請求しても払わない場合は、内容証明郵便を使う方法があります。この方法は法的拘束力はありませんので、直ちに解決に結びつきませんが、相手に相当重要な内容である印象を与えますし、郵便局長が差し出しの内容と日付を証明しますので、本気で回収にかかっているなと云う心理的プレッシャーをかけることになります。また、後日裁判になった場合今までの交渉過程の記録と共に有力な物的証拠にもなります。ただし、注意すべきことがあります。それは相手に誠意があり解決の兆しがある場合、相手との取引関係が深く今後も取引を続けたいとの思いがある場合などは、内容証明郵便を使うかどうかを十分検討する必要があります。しかし、相手が倒産しそうな場合は配達証明どころではありません。直ちに出荷ストップ、商品引き上げを行うべきです。
3.少額訴訟
上記1.2の方法で回収できない場合は、少額訴訟の手続があります。この方法は通常の裁判に比べ簡単な手続で、かつ少ない費用で回収できます。少額訴訟の内容は以下のとおりです。
[1]60万円以下の金銭の支払を求める手続です。
[2]原則として1日で双方の言い分を聞き証拠を調べ、直ちに判決が言い渡されます。
[3]証拠書類や証人は、審理の日にその場で調べることができるものに限られます。
[4]判決は分割払い、支払猶予、遅延損害金免除などが含まれます。
[5]判決に不服がある場合は、判決を出した簡易裁判所に2週間以内に異議を申し立てることができます。
[6]少額訴訟手続の利用は、1人同じ裁判所に年間10回までの制限があります。
上記以外に注意することは以下のとおりです。
[5]の異議申し立てを行うと通常の裁判になりますので、時間と費用がかかることになります。対象金額が少額であることを考えれば現実的な方法ではありません。
相手方へ支払判決が出た後は、直ちに支払を催促する通知を出すといいでしょう。その際支払日や振込先の口座を記載することを忘れないでください。判決書にはこれ等のことは記載されていませんので。
訴訟を起こす裁判所は、原則として相手方の住所のある地区の簡易裁判所です。手形や小切手の支払の場合はそれらに記載されている支払地区の簡易裁判所です。
少額訴訟に必要な費用は手数料と切手代です。手数料は下の表のとおりですが、切手代は簡易裁判所からの連絡に使われる費用です。対象金額によって違いますが、大体4~5千円程度ですので総費用は1万円くらいと思ってください。相手方が支払の判決に従わない場合は、強制執行を求めることができます。異議申し立て・強制執行手続についての詳しい手続は、判決を出した簡易裁判所に問い合わせてください。
| 請求金額 | 手数料(印紙代) |
|
|
|
|---|---|---|---|---|
| ~100,000 円 | 1,000 円 |
|
|
|
| ~200,000 円 | 2,000 円 |
|
|
|
| ~300,000 円 | 3,000 円 |
|
|
|
| ~400,000 円 | 4,000 円 |
|
|
|
| ~500,000 円 | 5,000 円 |
|
|
|
4.支払督促
少額訴訟以外に簡易な方法として「支払督促」があります。この方法は簡易裁判所の書類審査だけで判決が出され、公判や証拠調べ相手方に対する審査などはなく簡易な方法です。手続が簡単で費用も安く結論が早いことは少額訴訟と同じですが、60万円までと云う上限がないことがメリットです。
(1)支払督促を行う条件
[1]金銭の回収を目的とする請求であること。金銭以外では金銭の代替物または有価証券に限られます。
[2]相手方に送達することができること。つまり相手方が行方不明でないことです。
(2)必要な書類
[1]支払督促申立書 [2]当事者目録 [3]請求の趣旨および原因
(3)手続の流れ
支払督促の申立書を簡易裁判所へ提出→審査→支払督促の送付→相手方から異議申し立てがない場合→裁判所に仮執行宣言の申立→仮執行宣言付き支払督促の送付→2週間以内に異議申し立てない場合→仮執行宣言付き支払督促の確定仮執行宣言付き支払督促が相手方に受領されると、強制執行が可能になります。
(4)必要な費用
費用は対象金額によって異なりますが、少額訴訟と同様非常に安く済みます。費用内容は手数料と郵便代ですが、当事者が法人であれば登記簿謄本の取得代1,000円がかかります。郵便代は2,000円以内です。手数料は対象金額が10万円以下500円、100万円までは10万円ごとに500円、100万円超~500万円までは20万円ごと500円、500万円超~1,000万円まで50万円ごと1,000円加算されます。これらの費用は支払督促の際に相手方に請求することができます。
(5)東京都内の簡易裁判所
東京簡易裁判所 千代田区霞ヶ関1-1-2 03-3581-5411
東京簡易裁判所墨田庁舎 墨田区錦糸町4-16-7 03-5819-0267
板橋区中小企業診断士会 坂根宏明
作成部署
〒173-0004 東京都板橋区板橋二丁目65番6号 情報処理センター産業経済部 産業振興課
【お問い合わせ】
〒173-8501 板橋区板橋2-66-1
産業振興課経営支援係
電話番号 03-3579-2173
FAX番号 03-3963-6441
Eメール kb-yushi@city.itabashi.tokyo.jp