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公開日:平成23年3月30日
最終更新日:平成23年3月31日

写真1

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写真6

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【 佳作 】

第9回櫻井徳太郎賞受賞作 今神道を探る

東京都立板橋有徳高等学校3年 片山 渚

はじめに

 練馬区氷川台二丁目、東京少年鑑別所の前に諏訪神社という神社があります。今回「日本史演習」の課題で諏訪神社の調査をしたところ、その境内に1つの大きな石碑がありました。「今神道記念碑」という石碑です(写真1)。この石碑は大正15年(1926)に「今神道(いまがみ・みち)」という道路の改修工事が行われたことを記念して、地域の人たちが中心となって建てたものです。

 この「今神道」とはどのような道なのでしょうか、「今神道」の改修を記念して地域の人たちがこれほど立派な石碑を建てたのはなぜなのでしょうか、「今神道」の現状はどのようになっているのでしょうか。

 私は「今神道」についてより詳しく知りたいと思い、石碑が建てられた歴史的な背景や現状を調べました。このレポートではその調査の成果を報告します。

1、碑文を読む

碑文には大正15年(1926)に今神道の改修工事の経緯が漢文で書かれています。碑文の内容は次のとおりです(写真6)。

◎碑文の読み下し

[1]城西の下練馬村字重現・今神間の径路、半里許り、俗称今神道は、荊棘欝茂にして、 毎年の雨期、

泥濘膝を没し、交通太だ艱し。

[2]今茲に丙寅、郷民胥謀り、道路を改修せんとす。

[3]然るに其の関する所甚大なるを以って、東奔西走す。殆んど寝食を忘れ、遂に沿道の地主の賛助を

得る。

[4]二月下澣に起工し、樹を伐り、土を搬び、以て行路を開く。

[5]此の役に近衛工兵大隊の助を得、峻しき坂を削平し、因って工兵坂と称す。又青年団の力に頼る。

[6]晨夜力を展ばし、以て五月上澣、竣工すること今なり。

[7]坦坦なる大路、村の中央を貫く。交通之便、是において平成となる。

[8]乃ち貞珉を勒むに、其の因由を以ってし、之を後昆に伝えて云う銘に曰く

   練馬の邑 人、紬き蹊を行く

   雨に雪に 濘に泥に

   乃ち墾き乃ち開き 始めて輪蹄を通ず

   坦坦なる大道 復た人の迷うことなし

  大正十五龍集丙寅麦秋吉旦

                  文堂撰す

                  北溟書す

[1]下練馬村の重現と今神の間の道、約半里、通称「今神道」は荊棘がうっそうと生い茂り、毎年梅雨

時には泥水の水溜りが膝までつかるほどとなり、交通が非常に困難であった。

[2]大正十五年、地元の人々が互いに相談して道路を改修することにした。

[3]しかし承諾を得なければならない関係者が多く、東奔西走することほとんど寝食を忘れるほどの取

り組みにより、ついに沿道の地主の賛成と協力を得ることができた。

[4]2月下旬に工事を開始し、樹木を伐採し土砂を運搬して通行路を開いていった。

[5]この作業では、近衛工兵大隊の助力を得て急峻な坂を削平した。よってその坂を「工兵坂」と称し

た。また青年団にも援助を依頼した。

[6]朝から晩まで力を尽くして、五月上旬に竣工した。まさに今このときである。

[7]平坦な、平坦な大路が村の中央を貫き、交通の便はここに完成した。

[8]よって立派な石にこれまでのいきさつを刻んで後世の人々に伝えることとし、銘じていうに、「練

馬の村では、人々は貧弱な道を行き来していた。雨に雪に、水溜りができ泥でぬかるんだ。そこで

墾きそこで開き、はじめて車馬の通行が可能となった。平坦な平坦な大通ができて、人々は道に迷

うことがなくなった。」

2、下練馬村と今神

 「今神(いまがみ)」は、下練馬村(しもねりまむら)の字(あざ)のひとつで、この地域の人々がお祀りする神社が諏訪神社です。

 下練馬村は、現在の練馬区北町・錦・平和台・早宮・羽沢・栄町・桜台・練馬に相当し、その中で今神は下練馬村の東部に位置し、現在の錦一丁目と氷川台二丁目の一部に相当します。碑文に見える「重現(じゅうげん)」も下練馬村の字で、現在の平和台三丁目、早宮一・二丁目の一部です。(地図1・2

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地図1・2

地図1・2
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地図2・3

地図2・3
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3、改修前の今神道

今神道は下練馬村の今神と重現を結ぶ道です。石碑は、現在は諏訪神社の境内にありますが、当初は現在の「氷川台2―7―25」番地に建っていました。そこが今神道の起点です*。ここから現在の平和台3丁目付近に当たる重現までをほぼ最短距離で結んでいる道です。

 江戸時代の寛政4年(1792)に写された「下練馬村絵図」にはすでに今神道は描かれています。したがってこの道自体は古くからあった道であることがわかります。

 明治41年(1908)に作成された「下練馬村略図」をみると、今神道の道沿いにはほとんど人家がないことがわかります。明治42年や大正5年(1916)の地形図をみても沿道には人家や農地はなく、今神道は、荒れ野の中を通る一本道であった様子がうかがわれます。このような道であったために碑文に書かれているような「荊棘欝茂、毎年雨期、泥濘没膝、交通太艱」というような通行困難な状況がしばしばおきていたのだろうと考えられます。(地図3~5)

 *石碑は平成元年(1989)3月27日に諏訪神社境内に移転されました。

4、改修後の今神道

 今神道の改修は大正15年(1926)に行われましたが、大正10年(1921)と昭和4年(1929)の地形図を比較すると、道路改修のあとがわずかながら確認できます。

 今神道の経路はほとんど変わっていません。したがって改修工事は道路の拡幅や周辺の樹木の伐採、側溝の整備などであったのではないかと思われます。

 地図の道路表記を比べると、

  大正10年には「     」とあるのが、  

  昭和4年には「     」と変わっている。

これは、道路のランクの上昇と考えられ、改修の結果とみることができます。石碑に「乃墾乃開 始通輪蹄」とあるように、改修によって荷車や牛馬が通行できる道になったのでしょう。

 さらに昭和4年の地形図には、この石碑の存在が記載されています。現在諏訪神社の境内に建てられているこの石碑は、当初は今神道の出発点の地に建てられたものでした。(地図6・7)

5、工兵坂

 この改修工事で困難を極めたのが、急峻な坂道の工事であったといわれています。碑文にあるように、この工事は村人の手によるのではなく、近衛工兵大隊*が担当しました。

 今神は田柄川の谷をはさんで集落が形成されていますが、今神道の出発点は田柄川沿いの低地部です。一方、終点の重現は台地上にあるため途中の宮久保の地点で段丘を登らなければなりません。地形図を見ると、等高線が密になっており、かなり険しい段丘であったことがわかります。しかも今神道が重現までの最短の経路を通る場合、等高線の一番混んでいる部分、すなわち段丘の一番険しい部分を通ることになります。この部分の工事が困難であり、近衛工兵大隊の力を借りたのは、このような理由によるものと思われます。

 大正10年(1921)と昭和4年(1929)の地形図を比較すると、この部分の改修の痕跡がうかがわれます。改修前の今神道は、段丘沿いに北側から走る道に突き当たり、左折して、その道とともにやや段丘を上って右折して坂を上りきる形になっていました。それが改修後は今神道をメインのルートとして左カーブしながら一気に段丘を上りきるような坂道となりました。(地図8・9)

 *皇室の護衛を任務とする陸軍の近衛師団の中の土木工作を担当する部隊。

☆練馬区教育委員会が1983年に作成した『練馬を往く』という小冊子には本文と地図で工兵坂を

東京少年鑑別所の北側の道にあるとしていますが、これは誤りだと思います。工兵坂は氷川台第二保育園の北側の坂です。

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添付ファイル

地図5(JPEGファイル 236キロバイト)

地図6(JPEGファイル 243キロバイト)

地図7(JPEGファイル 184キロバイト)

地図8(JPEGファイル 81キロバイト)

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