2023年11月29日 エレーヌ・ドゥルヴェールさん講演会

このページの情報をツイッターでツイートできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号4001830  更新日 2023年12月12日

印刷大きな文字で印刷

11月26日には、フランスの絵本作家のエレーヌ・ドゥルヴェールさんにお越しいただき、イラストレーター・絵本作家(あるいはそれらを目指す人)に向けて講演会を開催しました。このイベントは、11月のフランス文学フェスティバル「読書の秋」に合わせてエレーヌさんを日本に招聘した在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセとの共催によって行われました。通訳は河野南帆子さんがつとめてくださいました。

エレーヌさんの作品は現在フランス語以外の言語にも翻訳され、繊細な切り紙や洗練されたイラストレーションによる絵本は日本でも多くの人を魅了しています。今回の講演会は絵本の作り手を対象にしたものだったので、エレーヌさんのプレゼンテーションののち、会場から質問を募る形で進められました。

エレーヌさんは、もともとテキスタイルデザイナーだったそうですが、あるころから切り紙で作品を制作するようになりました。切り紙は、正面から光を当てると背後に影が出ます。光を動かすと背後の影も動き、その魔法のような効果も大きな魅力だそうです。エレーヌさんの絵本は、ノンフィクションをテーマにしたものが多く、中でも人体解剖図の絵本は2017年のボローニャ・ラガッツィ賞を受賞したこともあり、当館としても思い出深い作品です。医師のお父様と一緒に作ったというこの絵本は、エレーヌさんにとって最初のノンフィクション絵本であり、その後の活躍につながる重要な作品でした。当時はラガッツィ賞がどんなものかもご存じなかったというエピソードもお話くださいました。ご自身の大変細かな切り紙の作品を見せながらお話をしていたエレーヌさんは、それらを次々に会場に回してくださったので、参加者のみなさんは驚きながらも、じっくりと作品を味わうことができました。

会場からは感想とともにさまざまな質問があり、一つ一つにエレーヌさんは丁寧に答えてくださいました。「切り紙の色はどのようにつけるのでしょうか?」「描くときにはどんな材料を使いますか?」といった作り手ならではの技法に関する質問のほか、「最初に出版社に提案するときにはどんなダミー本を作るのでしょうか?」(ダミー本は作らずに提案するそうです)「最初の解剖図の絵本が出版されたいきさつは?」といった出版社とのやり取りも作家のみなさんには気になるところです。さらに、コストの問題、ノンフィクションというテーマについて、繊細さと丈夫さのバランスなど、会場からの質問は尽きませんでした。担当編集者との信頼関係や絵本のテーマの決め方についても語って頂き、エレーヌさんの絵本づくりの核心に迫るお話をたくさん聞くことが出来ました。

講演会の後には絵本のサインにも応じてくれたのですが...… それは「サイン」の域をはるかに超えるものでした。ページ全体に何色ものペンを使ったイラストを描き、さらにオリジナルの切り紙を貼って、1冊1冊に新たな作品が生み出されていきました。その様子にみなさん釘付けとなっていました。

今年のボローニャ展入選者のさぶさちえさんもいらしていて、切り絵という共通の技法を持つ作家同士の出会いの機会になったようです。エレーヌさんはカッターによる手作業とレーザーカッターを併用しているそうですが、さぶさんは手作業のみで制作しており、作品を見せ合いながら交流を楽しんでいました。

今回が初来日というエレーヌさんは、日本で目にした自然の美しさがとくに印象的だったそうです。自然をテーマにした絵本をたくさん手掛けるエレーヌさんの今後の制作のヒントにもなるかもしれませんね。

講演会風景1

講演会風景2

講演会風景3

講演会風景4

講演会風景5
エレーヌ・ドゥルヴェールさんとさぶさちえさん