平成29年度取材体験記6(大和屋)

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ページ番号1007866  更新日 2020年1月25日

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一個110円のおへそ。その誕生に迫る(大和屋)

文責 須藤早記

「あんパンにあって、他のパンにないものはなんでしょう?」
こんなクイズを聞いたことがある。小学校の頃だっただろうか。その答えは、なんてことはない。「へそ」である。
あんパンの「へそ」は一体いつから存在しているのだろう。考えてみれば不思議なものだ。だが、10年以上たって、さらに不思議な「へそ」を見つけることになるとは思わなかった。2017年9月のこと。板橋のいっぴんについての記事を書くために、区のホームページを調べていた時のことである。それは、不意に視界に飛びこんできた。
「へそまんじゅう」
それが、いっぴんの名である。
写真を見て驚いた。これは、なんとも立派なへそである!くぼみの形も色も、まさしくへそと言って過言ではない。それだけではない。へそにはきちんとゴマもついているではないか!それがまたユーモアを誘う。思わず笑みがこぼれるほどに、へそであった。
だが、一つ疑問が浮かんだ。一体なぜ「へそまんじゅう」なのだろうか?板橋とへそにはどのようなかかわりがあるのだろうか?いてもたってもいられなくなり、我々はこのおまんじゅうの生みの親である「大和屋」さんのところへと訪れた。大和屋は、もともと杉並区にあったお店。昭和45年に中板橋に移転してからは、この地で販売を続けている。店主は市川秀行さん。父の跡を継いで菓子を作っている職人である。
いよいよ本題に入る。一体何故「へそ」なのか。その謎が明かされることとなった。鍵を握るのは、中板橋商店街で行われている「へそ踊り」である。
へそ踊りとは、おなかに顔の絵を描き、作り物の手を付けて踊る祭りである。おなかの顔から手が伸びた、面白い姿で行われる踊りは、見ていて思わず笑ってしまう。この祭りは、北海道の中心、へその町富良野を起源に持ち、日本の中心である群馬は渋川の祭りも有名である。中板橋は、上板橋と下板橋の真ん中であることを理由に、20年前から「へそ祭り」を行っている。へそまんじゅうは「へそをテーマにした商品を作ってほしい」という依頼を受けて作られたものだったのだ。
なるほど。祭りが起源だったのか。ユーモアあふれる祭りにぴったりの商品ではないか。この形はお祭りにも映えるだろう。しかし、ただ単純にユーモラスな形にしたから売れた、というわけではないらしい。この商品は、何回も試作を続けて初めて出来上がった菓子なのだ。面白い見た目の中には、緻密な計算がある。
まず、このまんじゅうは普通の物とは違い、ゴマがたっぷり入っている。もちろん表面にもゴマはついているが、中にもたっぷり練りこまれているのだ。餡20キログラムに対し、1キログラムのゴマが入るという。そのため餡は黒色をしており、齧るたびにゴマの香ばしさが広がる。しっかりとした生地とも程よく調和した味だ。味や健康にもこだわった商品であるといえる。ユーモアだけでなく、工夫も惜しまない。商売の基本であり、愛される理由であるといえるだろう。へそまんじゅうは、メディア媒体で紹介された事で、今は老若男女に買われている人気商品であるという。
取材をしていて思ったことがある。このお店はとても地元に愛されているのだ。インタビューをしている時も、常連と思われる女性が商品をいくつも買っていた。優しい秀行さんの人柄に加え、店頭に並ぶ昔懐かしい和菓子の姿と、手ごろな商品の値段がそれを後押ししているのだろう。見ているだけでモチモチとした歯ごたえを感じられそうな大福餅や草餅。餡子本来の色味を残したおはぎも美しい。――餡子の酸化を防ぐために、すべての菓子にアルカリイオン水を使用しているらしい。この鮮やかな藤色はその為であろう。また、和菓子だけでなく、海苔巻きやいなりずしも売られている。これらの商品のほとんどが100円前後で売られているのである。何とお財布に優しい価格設定だろう。
淡い茶色をしたへそまんじゅう。カラフルな色ではないが、このいっぴんは確かに祭りに彩りを与えている。中板橋のへそ踊りは、渋川のものと比べればまだまだ規模は小さい。しかし、大人も子供もとても楽しそうにこの祭りに楽しく参加している。たくさん踊った後にこのまんじゅうを食べれば、誰でも幸せな気持ちになるだろう。伝統と歴史を次の世代に受け継ぐことに貢献し、幸せを運ぶ様子は、まるでへその緒のようではないか。帰省のお土産に、買ってみてはどうだろう。「面白くて安くて美味しいお菓子を見つけたよ」と、言いながら…。

店舗情報

大和屋
定休日:月曜
住所:板橋区中板橋 20-12
電話番号:03-3962-7769
東武東上線「中板橋」下車4分

写真1
へそのようなくぼみがチャームポイント
写真2
中にはゴマたっぷりの真っ黒な餡

写真3
ぎっしり並んでいる様子も可愛らしい
写真4
店主の市川秀行さん

写真5
中板橋商店街にあるかわいいお店
写真6
たくさん買いたくなる 店頭に並ぶ商品

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