地域包括ケアシステムの構成要素
地域包括ケアシステムを構成する要素として、「植木鉢」に例えられた構成図が国から一般的に示されています。
各構成要素の関係
「医療」や「介護」といった専門職が提供するサービスは「葉」として表されていますが、今後の介護需要の急増に備えるためには、この葉っぱを大きく育てていかなければなりません。
しかし、人口減少社会の中で専門サービスである「葉」を育てていくことになるため、まずは生活の基盤である「すまいとすまい方」が「鉢」のようにしっかりとしている必要があります。
さらに、植木鉢に満たされる養分を含んだ「土」に例えられる、一人ひとりの「介護予防」や、介護保険制度外の市場サービスから近隣住民の支え合いまでを含む幅広い「生活支援」が充実しなければ、専門職は専門職でなければ提供できないサービスに集中することができずに枯れてしまう可能性があります。
また「皿」で表わされているように、これらの全ての基礎として各個人には自ら選択し、その家族を含め、心構えを持つことが求められます。
構成要素1「鉢」:すまいとすまい方
植木鉢の「鉢」となるのは、「すまいとすまい方」で、生活の基盤として必要な住まいが整備され、どのようにそこに住むのかという住まい方が確保されていることが地域包括ケアシステムの前提となります。
構成要素2「土」:介護予防・生活支援
1つ目の構成要素の上にある「介護予防・生活支援」は植木鉢に満たされて、かつ、植えられる植物が育つために必要な養分を含んだ「土」と例えられます。
どのような立派な住まいがあったとしても、健康を維持し地域で暮らし続けるための継続的な活動(介護予防)や最低限の尊厳ある生活を送るための支え合う生活支援がなければ、住み慣れた地域で生活を継続することはできません。
介護予防は従来の要介護状態にならないための介護予防ではなく、社会参加することが介護予防につながると積極的に捉え、「高齢者本人の参加意欲を基本に、地域の中で継続できる活動」へとその位置付けが大きく変わってきています。
また、生活支援は食事の準備などサービス化できる支援から、近隣住民の声掛けや見守りなどのインフォーマルな支援まで幅広く、担い手も多様です。
専門的な医療・介護などに関するサービスが定着するためにも、「土」としての役割の「介護予防・生活支援」が重要となります。
構成要素3~5「葉」:医療、介護、福祉
上記の植木鉢と土があってこそ成り立つのが「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・福祉」となり、植物の「葉」に例えられています。
住み慣れた地域で暮らし続けるために、個々人の抱える課題にあわせて、専門職によって提供される専門サービスで、ケアマネジメントに基づき、必要に応じて一体的に提供されます。
構成要素6「皿」:本人の選択と本人・家族の心構え
1つ目の構成要素の下に植木鉢の「受け皿」として「本人の選択と本人・家族の心構え」があります。
今後も高齢化社会が加速していき、単身・高齢者のみ世帯が主流となる中で、もし介護が必要になった場合にどのような生活を送りたいのかについて、本人及び家族がしっかりと考え、共に理解し、そのための心構えを持つことが重要となります。
参考文献等
- 堀田力・服部真治編著(2016)『私たちが描く新地域支援事業の姿-地域で助け合いを広める鍵と方策』中央法規出版株式会社.
- 厚生労働省『地域包括ケアシステムの5つの構成要素と「自助・互助・共助・公助」(平成25年3月 地域包括ケア研究会報告書より)』
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング『平成26年度厚生労働省老人保健健康増進等事業 介護予防・日常生活支援総合事業への移行のためのポイント解説(地域支援事業の新しい総合事業の市町村による円滑な実施に向けた調査研究事業)』
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