広報いたばしテキスト版(令和4年11月5日号)2面・3面
支え合い認め合うまち、いたばし
区では、障がいがある方・ない方のだれもが、自分らしく暮らし続けられるまちの実現に取り組んでいます。今回は、障がいを自分の特性として捉え、就労・活躍をしている2名にお話を伺いました。
この機会に、私たちも身近な気づきに、目を向けてみませんか。
挑戦できるのは周りの支えがあるから
大和良子さん
就労移行支援事業所での就労訓練・支援を受け、カタログギフトなどを扱う株式会社ハリカで事務員として働く。
現在の仕事内容と、就労までの経緯を教えてください
仕事内容は事務作業で、郵便物の仕分け作業や伝票処理など、苦手なパソコンに触れながら頑張っています。事務の仕事は全くの未経験でしたが、上司から手取り足取り教わりながら、段々と仕事を覚えています。
私は気分障がいがあり、気分の高揚や落ち込みが普通の人よりも長く持続してしまう特性があります。日常生活を送るために、精神科の主治医や保健師などの支えを受けています。就労には不安もありましたが、同じ障がいがある仲間が働いている姿に、自分も刺激を受けました。就労移行支援事業所の支援員からアドバイスを受けながら、一緒に求人を探しました。
就労によって、何か変化はありましたか
同じ障がいがある仲間や支援してくださる人としか触れ合っていなかった私にとっては、視野が広がる経験でした。例えば、仕事でミスをしたら、私は一日中落ち込んでしまったり、感情の制御がうまくできずに上司の前で泣いてしまったりしたこともありました。ただ、同僚や上司はミスをしても、うまく気持ちを切り替えて次に進むことができます。そうした様子を身近に感じられるのは、生活の中に仕事の場があるからだと思います。
自分らしく暮らすために何が必要だと思いますか
何かに挑戦するとき、応援し支えてくれる人がいることです。
私にとって就労は新たな挑戦で、やらないで後悔はしたくないと思っていました。板橋にはたくさんの仲間がいて、失敗したり傷ついたりしても、支えてもらえる安心感があるから、次のステップをめざすことができるのだと思います。こうした場所が、だれにでもあればいいと思います。
就労移行支援事業所の支援員より
障がいがある方の就労訓練・定着支援などを行っています。支援を受ける方の障がい特性・年齢・性別などは様々です。就職後も月に一回以上、定期的な面談などを行いながら、ご本人・企業様が安心できる環境を考えて、支援しています。
株式会社ハリカ 人事担当より
最初に障がいがある方を雇用する際は、本当に受け入れができるのかなど、社内で議論もありました。しかし、就労移行支援事業所の見学などを通じて、仕事の技術の面では問題なく、我々も学ぶところが多いのではと雇用を始めました。これまでに大和さんを含めて5人を採用しました。
障がい者雇用に乗り出すことで、会社としては従業員の個別の事情などにも対応できる雰囲気ができました。障がい・個性はもちろんのこと、子育て・介護などの家庭の事情など、従業員一人ひとりに様々な事情があります。そうした違いを認め、お互いにできることを融通し合う雰囲気が生まれたことは、とても大きいと思っています。
障がい者就労支援センター ハート・ワーク
障がいがある方を対象に、それぞれの適性・能力に応じた就労ができるよう、職業相談・紹介、就労訓練、職場定着などの就労支援を行っています。また、ベーカリーカフェ「HeartWork こすもす」では、就労体験実習も行っています。
注:障がい者雇用事業主の相談も受け付けています。詳しくは、お問い合わせください。
ところ・問い合わせ 障がい者就労支援センター ハート・ワーク(前野町4‐16‐1おとしより保健福祉センター内)電話3968‐9900 ファクス3968‐9966〈土曜日・日曜日・祝日休み〉
問い合わせ
障がい政策課自立支援係 電話3579-2089 ファクス3579-4159
「いつもどおり」が自分をもっと強くする
森宏明さん
北京2022パラリンピック冬季競技大会ノルディックスキー男子出場 板橋区スポーツ大使 株式会社朝日新聞社勤務
競技との出会いを教えてください
幼い頃から野球をやっていましたが、高校2年生のときに交通事故に遭い、両足を切断しました。その後、2017年にノルディックスキーと出会い、パラリンピック冬季競技大会の出場をめざすことになりました。
競技を始めてみて、新たな発見などはありましたか
競技そのものの難しさ・過酷さもありますが、同時に大変なのが、生活環境の問題です。そもそもウインタースポーツなので、雪国でトレーニングを行います。義足で生活している者にとっては、路面が凍ることは命にも関わる問題で、生活環境が変わることは非常に厳しいです。初めは不安が大きく、 ためらいもありましたが、しっかりと対策を立てながら、徐々に適応できました。生活環境が変わっても、いつもどおり暮らしていく自信がついたと思います。
自分らしく暮らすために何が必要だと思いますか
「いつもどおり」という意識だと思います。事故で両足を失いましたが、失う前と後で変わらず接してくれた人たちのおかげで、私は自分のままでいられました。障がいがあるからあの人は「大変なんだ」とか、反対に「すごいんだ」とか、そういう特別視はむしろその人らしさを遠ざけると思います。例えば、電車で体調が悪くなった人を助けるように、特別ではない「いつもどおり」の助け合いがあれば、だれもが自分らしく生きていけるのではないでしょうか。その意味で、地域社会がある板橋には、特別ではない「いつもどおり」の助け合いがあると思います。お互いに、どういう人が住んでいるのかというところがよく見えるまちです。
板橋区スポーツ大使として、どのような活動をしたいですか
私はこれまで、自分の経験を語ることにあまり興味がなかった部分があります。しかし最近は、なるべく多くの人に自分の経験を伝えていこうと考え方が変わってきました。例えば、私と似た境遇の人に向けて、一緒に頑張ろうと伝えることも重要です。しかし同時に、障がいが身近でない人たちに向けても、私から見える社会を伝えていく必要性を感じています。それぞれ別の暮らしを送る人同士をつなげるには、この両輪が必要です。孤立や断絶といった言葉をよく目にしますが、みんなが自分の言葉で自分のことを話すことで、つながりを感じられる場や機会をつくっていけたらいいなと考えています。
パラスポーツと板橋区
区民のパラスポーツに対する関心を深め、スポーツ振興を図るため、パラスポーツ体験会・パラリンピアントークショーなどを実施しています。
また、4月には、区にゆかりがあるパラリンピアン3名を、板橋区スポーツ大使に委嘱しました。
問い合わせ
スポーツ振興課事業推進係 電話3579-2652
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