建部凌岱展 その生涯、酔たるか醒たるか

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ページ番号4001478  更新日 2022年4月9日

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チラシ

会期
2022年3月12日(土曜日)~ 4月17日(日曜日)
開催時間
午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日
月曜日(ただし3月21日は祝日のため開館、3月22日は休館)
観覧料

一般650円、高校・大学生450円、小・中学生200円

*土曜日は小中高校生は無料で観覧できます

*65歳以上・障がい者割引あり(要証明書)

主催
板橋区立美術館、東京新聞

江戸中期に活躍した建部凌岱(たけべりょうたい、1719~1774 号に涼袋、吸露庵、綾足、寒葉斎など)の、本格的な展覧会を行います。
凌岱は、弘前藩の家老喜多村家の次男として江戸で生まれ、弘前で文武両道の教育を受けました。しかし、兄嫁との道ならぬ恋の噂により20歳で出奔、出家して説教僧となり後に還俗、俳諧で身を立て、主に江戸と京都を拠点として各地を遊歴しました。ところが、片歌の提唱者として開眼した途端、俳諧をあっさりと捨ててしまいます。歌人、随筆家、読本作家、国学者としても活躍し、有り余る才能を縦横無尽に発揮した凌岱。『続近世畸人伝』(1798年刊)においても、「全体胆勇有リ、才抜群」「生涯酔たるか醒たるかしるべからざる人」などと評されています。
俳諧を通して出会った彭城百川に影響を受け、俳画をはじめ画事にも秀でた凌岱は、中津藩奥平家の支援を受け、他の江戸の絵師に先駆けて寛延3年(1750)に長崎へ遊学しました。唐通事の熊斐や唐絵目利の石崎元徳らに色鮮やかで写実的な花鳥画を学び、宝暦4年(1754)に再訪した折には、山水画で知られる来舶清人の費漢源に師事します。これらを通して、中国から舶来した最新の様式をも自らのものにし、独自の画風を確立しました。『寒葉斎画譜』『建氏画苑』といった画譜の刊行は、その成果とも言えるでしょう。粗く大胆な筆遣いの作風で知られた凌岱の作品の中でも、海の魚が乱れ泳ぐ「海錯図」と呼ばれる作品群からは、ユーモア溢れる一面も窺えます。
本展を通じて、凌岱の画業を中心とした多彩な活動をご堪能いただければ幸いです。


展覧会図録(2,500円)は通信販売でもお買い求めいただけます。
現金書留にて、図録代と送料(※)の合計金額を板橋区立美術館までお送りください。
※送料は地域、冊数などによって異なります。くわしくは美術館にお問い合わせください。


特別企画 森栗丸先生により、凌岱の生涯が漫画化!

漫画家の森栗丸先生が、本展のために凌岱の生涯を10のエピソードにより描き下ろしてくださいました。全話は、展示会場・本展図録でご覧いただけます。会場では、原画も展示いたします。

森栗丸…1990年に小学館『ビッグコミックオリジナル』誌上の『あじさいの唄』でデビュー、2013年まで長期連載。1998年、日本漫画家協会賞優秀賞受賞。2012年~2017年まで東京新聞ほかで4コマ漫画『おーい栗之介』を連載。上記の舞台は江戸時代で、心温まる作風で知られる。近作に『もふもふ』(小学館)がある。

 

≪森先生よりコメント≫
今回このような機会をいただき、その魅力的な為人(ひととなり)に触れると共に色々勉強させていただきました。
「建部凌岱展」にて本物の絵を前に、次はどのような発見があるのか楽しみにしております。


関連イベント

3月20日(日曜日) 講演会「建部凌岱の生涯と画業」

日時:3月20日(日曜日)14時~15時30分 終了しました
講師:植松有希(当館学芸員)
定員:40名(事前申込制)
申込方法:3月5日(土曜日)9時より電話にて先着 ※1申込につき2名まで
申込先:03-3979-3251(当館直通)

3月18日(金曜日) 建部凌岱の命日を偲んで

当日ご観覧の方へ、ささやかなプレゼントを差し上げます。
終了しました

学芸員によるスライドトーク

日程

4月9日(土曜日)定員40名 終了しました

4月16日(土曜日)定員40名 

※コロナの状況によって変更する可能性がございます。

時間

午後2時から午後2時30分まで(開場午後1時30分から)

当館1階講義室にて、申込不要、聴講無料、当日会場へお集まりください。


展示内容

1.軽妙洒脱な画賛

凌岱は出奔後すぐに俳諧修行に勤しみ、俳書挿絵や一枚絵の画賛を精力的に手掛けるようになります。俳諧から片歌へ転向した後も変わらずに、画文が一体となった軽やかで洗練された作品を生涯制作し続けました。

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画 彭城百川、句 建部凌岱
「通圓茶屋」(個人蔵)
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建部凌岱「野僧焚火」
(青森県近代文学館蔵)

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建部凌岱「あしかも図」(個人蔵)

2.ピックアップ(1)「墨竹図」

「墨竹図」は凌岱が最も得意とした画題の一つで、墨竹尽くしの貼交屏風も伝えられています。自ら『李用雲竹譜』を出版するほど、凌岱は中国・清代の李用雲が手掛ける墨竹図に心酔したようです。

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建部凌岱「四季竹図」(青森県立図書館蔵)

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3.長崎遊学 最新の花鳥画から画風を確立

細部を気にしない自由闊達な作品を主とする凌岱ですが、遊学先の長崎では色鮮やかで写実的な花鳥画をはじめ、中国舶来の最新の様式を学びました。凌岱が確立した画風は、この経験に裏打ちされたものなのです。

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建部凌岱「五寿図」(個人蔵)
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建部凌岱「威振八荒図」(個人蔵)

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建部凌岱「虎図」(弘前市立博物館蔵)
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建部凌岱『寒葉斎画譜』(個人蔵)

4.ピックアップ(2)「海錯図」

海の魚が入り乱れる様を描いた「海錯図」は、とりわけユーモラスで独創性の高い作品です。凌岱は画譜『建氏画苑』別冊においても、表情豊かで姿かたちも様々なこれらの魚を紹介し、屏風にも仕立て門人に贈りました。

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建部凌岱「海錯図」(青森県立図書館蔵)

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建部凌岱『建氏画苑』別冊「海錯図」(個人蔵)

5.再び長崎へ 山水画に執心する

花鳥画の絵師として当時から認識されていた凌岱ですが、実は山水画もよく描きました。再訪した長崎では、来舶清人に師事し腕を磨きます。その成果が表れた作品や画譜からは、山水画制作への意欲がうかがえます。

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画 建部凌岱、賛 金龍道人
「千巖懸水図」(世田谷区立郷土資料館蔵)
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建部凌岱ほか『明和南宗画帖』
(東京国立博物館蔵)
Image:TNM Image Archives

6.建部綾足としての活動

「建部綾足」とは、国文学者や小説家としての名で、「凌岱」よりも有名かもしれません。曲亭馬琴に評された長編『本朝水滸伝』をはじめ、綾足の名で活躍した文学作品の一部をご紹介します。

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『本朝水滸伝』(青森県立図書館蔵)



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