2012年8月~9月のニュース

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ページ番号4001299  更新日 2020年1月28日

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2012年9月25日 みどりのカーテン

写真:ゴーヤのみどりのカーテン

残暑が続く毎日でしたが、数日前から急に気温が下がり、ぐっと秋らしくなってきました。
少し時季外れではありますが、美術館では初夏に植えたみどりのカーテンに、やっとゴーヤが実りました!夏の間に実らなかったので、もう無理なのではないかと思っていましたが、こんな涼しさの中でも健気な姿を見せてくれて、見つけた時はとてもうれしかったです。
季節の変わり目ですが、風邪など引かれませんようご注意くださいね。

2012年9月3日 秋のはじまり

写真:美術館前のキバナコスモス

9月が始まりました。今日から学校という子どもたちも多いのではないかと思います。夏休みは楽しい思い出をたくさん作れましたか?昼間はまだ暑いですが、最近朝が涼しかったり、青空が高く見えたりして、ゆっくりと季節の移り変わりを感じます。
写真は美術館前に元気に咲くキバナコスモスです。現在は工事のため閉館していますが、職員は12月1日から始まる次回の企画展・江戸文化シリーズNo.28 「我ら明清親衛隊」に向けて着々と準備を進めています。ポスターやチラシのデザインなども少しずつ決まってきています。楽しみにしていてくださいね。

2012年8月16日 丸山常生さんの制作

写真:制作の様子1

板橋区立美術館は10月半ばまで工事のため休館しますが、工事が始まる直前の展示室を使って、美術家の丸山常生さんが制作をしてくれました。区内在住の丸山さんは、世界中でパフォーマンスやインスタレーションを行っていますが、当館の展覧会やイベントにも様々な形で協力くださっています。
今回は、廃棄予定の可動壁を使った制作です。壁に多数の小さな穴をあけ、そこからもれる光と自分の身体を使う、というイメージははじめから決まっていたものの、実際に現場で制作する際には試行錯誤の連続です。


写真:制作の様子2

ドリルで穴をあけるのにどれほどの力が必要か、壁の配置によってどんな光の効果が得られるか、どんな照明なら穴から光が透過するか、丸山さんは実験を繰り返し、感覚を研ぎ澄ませ、集中力を保ちながら長いこと考えていました。ようやく壁や照明の配置が決まると、1つずつ穴をあけてはカメラのシャッターを切る、の繰り返し。6時間以上作業を続け、見えてきたのは逆さまの日本列島。宇宙から見る夜景のように無数の点が光っています。そして、小さな光の点が集まって、徐々に人間の形が浮かび上がってきました。


写真:制作の様子3

最後には、壁の向こうから歩いてきた丸山さんが、壁を抜けてこちら側へ。
いつもは作品を掛ける展示室の壁面は、大きな存在感をもちながらも、それ自体が主役になることはありません。しかし今回、その壁に光を通し、前後の空間をつなげることで、壁がいつもとは全く異なるものに見えてきました。丸山さんによれば、点と線は全然違うのだそうです。線は「引く」ものですが、点は「打つ」もの。今回、穴をあける全ての作業にドリルを使ったのも点へのこだわりのようです。


写真:制作の様子4

「点を打つ」という行為が、壁のこちら側と向こう側を意識させてくれるのかもしれません。
世界中で活動する丸山さんにとって、技術的・時間的制約の中で納得のいく制作をするには、制作環境を全身で感じることが欠かせません。作業が終わって、丸山さんがふと口にされた「その時間と空間に誠実に向き合うこと」という言葉が、丸山さんの制作に対する姿勢を示しているように思います。
今回撮影した何百枚もの写真がどのような作品となるのか楽しみです。


写真:制作の様子5

2012年8月15日 展覧会終了

写真:展示室の様子

板橋区立美術館の夏の恒例「ボローニャ展」は8月12日に無事に終了しました。ご来館下さったみなさま、ありがとうございました。今週末から、兵庫県の西宮市大谷記念美術館に巡回します。
作品を撤収し、ガラーンとなった展示室。これから板橋区立美術館は工事期間のため休館し、10月に再びオープンします。12月1日からは「江戸文化シリーズNo.28 我ら明清親衛隊」展を開催します。どうぞお楽しみに!

2012年8月12日 ボローニャ展最終日

写真:2012年8月12日の会場の様子1

6月30日から開催していたボローニャ国際絵本原画展も、本日が最終日です。数日前には雨の予報でしたが、なんとかお天気にも恵まれ、たくさんの方が訪れました。家族連れや、学生さん、編集者など、お客さんの幅広さもボローニャ展ならでは。会期中に何度も訪れてくれた方もいました。ご来館下さったみなさま、ありがとうございました。


写真:2012年8月12日の会場の様子2

ボローニャ展は1981年から板橋区立美術館では毎年開催していますが、時代によって、審査員や応募作品によって、あるいは特別展示によって、毎回ことなる表情を見せてくれるのも魅力です。2013年はどのようなボローニャ展になるのでしょうか。来年もみなさまのお越しを心よりお待ちしております。

2012年8月10日 しかけ絵本をつくろう!3日目

写真:2012年8月10日の講座の様子1

3日間の小学生向けの絵本づくり講座は本日最終日。一昨日までに中のページが終わらなかった人は、お家に持って帰って宿題として家で作ってきてくれました。それでも、今日も1時間前に来て、しかけを作り直したり、色を塗ったり、仕上げを頑張っていました。
今日は、各ページをのりで貼り合わせます。ずれないように慎重に、ていねいに作業するのが、きれいに仕上げるためのポイント。上下や順番も間違えないように、気をつけながら。最後に表紙の紙を貼って、余分を切り落とします。


写真:2012年8月10日の講座の様子2

表紙と裏表紙にも、絵を描いて、題名や作者名も書いたら完成!
1年生から6年生まで、世界で1冊だけの絵本です。冒険物語や、虫や動物の絵本、天気や風景の絵本など、傑作ばかり。低学年の人には、しかけの仕組みは少し難しかったかもしれないけど、みんなちゃんと理解して、どうしたら効果的に見えるか自分で考えました。上級生は、教えてもらったしかけ以外にも、それぞれ独自の工夫を入れていたのはさすがです。
3時30分からは、発表会!お家の人たちもたくさん見に来てくれました。めくるたびしかけが立ち上がり、お友だちの絵本にもみんな興味津々のようでした。大きなしかけだから、遠くからでもよく見えますね。
板橋区立美術館での絵本づくり、夏休みの楽しい思い出になったでしょうか。おうちでも、様々なしかけに挑戦して、絵本やカードを作ってみてください。

2012年8月8日 しかけ絵本をつくろう!2日目

写真:2012年8月8日の講座の様子

今日は「しかけ絵本をつくろう!」2日目です。講座は午後2時からにもかかわらず、熱心な子どもたちは1時間も前から次々と集まって昨日の作業の続きをしてくれていました。昨日作った絵コンテをもとに、今日は本格的に絵本を作っていきます。マーカーや色鉛筆、色画用紙などさまざまな材料を使いながら、それぞれの個性的な絵本が生まれています。講師の岡村さんや美術館職員と構成やしかけの使い方など相談しながら進めていきました。自分で一生懸命考えた絵本を完成させようという気持ちでいっぱいの子どもたちには、とても感心させられます。
次回は最終日。すべてのページを貼り付け、表紙をつけて製本をし、みんなで発表会をします。完成を目指して最後までがんばりましょうね!

2012年8月7日 しかけ絵本をつくろう!

写真:2012年8月7日の講座の様子1

本日から、小学生のみなさんと絵本を作る講座が始まりました。講師は、グラフィックデザイナーの岡村志満子さんです。3日間で、小学1年生から6年生まで、みんなそれぞれ1冊の絵本を完成させる予定です。今回のテーマは、「ちゃんとしまえる大きなしかけ」です。絵本から飛び出す大きなしかけをどこかのページに入れますが、閉じたときにはちゃんと中に収まるように作るのがポイントです。
まずは、基本のしかけ「並行折り」と「V字折り」を教えてもらいました。


写真:2012年8月7日の講座の様子2

二つ折りにした画用紙を練習に使って、みんなそれぞれ作ってみました。折り線をしっかり付けたり、画用紙を閉じながらしかけをのり付けするのがコツです。
しかけの仕組みを学んだら、次は絵本の内容を考えます。3見開き以上の場面を作るのを目標に、どこにしかけを使うか考えながら、絵コンテを制作しました。基本のしかけの応用編を自分で研究したり、しかけの使い方を先生にアドバイスしてもらったり。
明日は全部の場面を完成させられるように頑張りましょう!

2012年8月4日 ゆかたまつり

写真:会場入口の浴衣でお出迎えの様子

今日の夜は恒例のいたばし花火大会。スタッフも夏祭りらしい気分を盛り上げようと、浴衣でお出迎え。お客さまも、これから花火見物にいらっしゃるのでしょうか、浴衣で展覧会を鑑賞している方もいらっしゃいました。
今年のボローニャ展も終盤、残すところ1週間ほどです。みなさまのご来館、心よりおまちしております。

2012年8月4日 おこったかお・わらったかお

写真:2012年8月4日の会場の様子1

今日はひよこ・たぬきアトリエ「おこったかお・わらったかお」を開催しました。講師はイラストレーター、絵本作家の岡田千晶さんです。
白い画用紙に、折り紙や色画用紙をコラージュしたり、クレヨンで色を付けたりしながら、プンプン怒った顔、にっこりと笑った顔を作ります。


写真:2012年8月4日の会場の様子2

まず、岡田さんの絵本「だいすきのしるし」の読み聞かせをしていただき、場面ごとに笑ったり、不安になったり、強がったり、泣いたりとコロコロ変わる登場人物の女の子の表情に注目しました。
そして、怒った顔には、赤や黄色、濃い紫色、黒などの強い色を使って、髪の毛や眉毛をギザギザ・トゲトゲに。笑った顔にはピンク色、クリーム色など優しい色で、まあるいイメージに、というアドバイスをいただいて工作がスタート。
オレンジ色の紙を折り畳んで立体感のある怒った口にしたり、丸く切ったカラフルな紙を並べて楽しそうな雰囲気を表現したり、子どもたちはたくさんの工夫をしてくれました。最後には「こらっ!」「早く宿題しなさい!」「ワハハハ」「わーい」など、顔の下に台詞を書き、力作が揃いました。
今月13日より板橋区立美術館は工事閉館となるため、ひよこ・たぬきアトリエもしばらくお休みになります。秋、冬には再開する予定ですので、またのご参加を心よりお待ちしております。

2012年8月2日 夏の教室3日目

写真:2012年8月2日の教室の様子1

夏の教室も今日が最終日。朝は広松さんのホームルームです。昨日の木坂さんの講義に関連して、参加者から翻訳本の手書き文字についての質問があり、絵本の文字に関するお話から始まりました。絵本では文字に意味的・視覚的な要素がたくさん絡んできます。それから、各自のお気に入りの絵本のあらゆる情報を書き出しながら、様々な角度で絵本を見直していきました。
さて、本日の午前の講義は、人気絵本作家の石井聖岳さんです。


写真:2012年8月2日の教室の様子2

絵本作家になるまでのことと、デビューのきっかけ、現在の絵本制作について、広松さんとの対談形式でお話くださいました。広松さんの問いかけに対して、饒舌ではないけれど誠実に答えられる石井さんに、参加者のみなさんはじっと聞き入っていました。しかし学童保育のバイトをされていただけあって、読み聞かせとなるとガラッと雰囲気が変わります。


写真:2012年8月2日の教室の様子3

絵もテキストもご自身でされた絵本を読んでくださいましたが、『ぷかぷか』の抜けた感じといい、『ワニあなぼこほる』のワイルドな感じといい、あっという間に石井ワールドに引き込まれました。こういった絵本の制作については、「いつも受け身」「来たボールを打ち返す感じ」とおっしゃっていましたが、そこには編集者とのゆるぎない信頼関係があるようです。石井さんの言葉の端々からも、編集者への信頼が感じられました。尊敬する長新太さんからもらったという手紙に書かれていた通り、「粘り強く、しつこく、志高く」絵本を描き続けていらっしゃいます。お持ち下さったラフスケッチからは、完成に至るまでの制作過程での試行錯誤や葛藤が垣間見られました。
今回の夏の教室、最後の講義は、フォトジャーナリストで写真絵本作家の大塚敦子さんです。写真というメディアの魅力や、それを絵本というを形にする意義について、これまでのお仕事を通してお話くださいました。写真は実際にそこに行かなければ撮れないし、被写体としっかり人間関係を築かなければ撮れないとおっしゃいます。とくに大塚さんの被写体となる人たちは、死や病気と向い合っている人や、大変な人生を送ってきた人など、困難な状況にあります。そうした人たちの人生に入り込む程に関わるというのは大変なことですが、「被写体の人生と見る人の人生とをつなぐ架け橋になりたい」とおっしゃっていたのが印象的です。大塚さんの代表作『さよならエルマおばあさん』をはじめ、写真をそれぞれの物語とともにご紹介くださいました。エルマおばあさんからの手紙にあった「家族は自分で集めなさい」という言葉通り、被写体と家族のように深い関係を作り上げながら撮影していらっしゃるお話は、心に迫るものがあります。そして、絵本の形であれば、写真集よりも子どもにも手に取りやすく、近づいていきやすくなりともおっしゃっていました。写真絵本という媒体にも、架け橋になりたいという大塚さんの思いが表れているようです。
今回の夏の教室はいかがでしたか?夏の暑い3日間、朝から夕方までみっちり講義というなかなかハードな講座ですが、参加者のみなさんの熱い思いをがっちり受け止める講師陣だったと思います。どの講義も深くて濃密で、まだ消化しきれませんが、多様な絵本の世界を、目で、耳で、肌で、体中で感じる3日間であったなら幸いです。参加者のみなさん、広松さん、講師のみなさん、ありがとうございました。

2012年8月1日 夏の教室2日目

写真:2012年8月1日の教室の様子1

今日は夏の教室2日目、朝のホームルームでは、広松さんが昨日の講義を振り返りつつ、現在の絵本の状況や、ご自身が関わられた昔話絵本のお話などをされました。
本日の午前の講義は、詩人の木坂涼さんです。絵本の文章を多く書いている一方で、絵本の翻訳も沢山手がけていらっしゃいます。今日は、ご自身の経験や制作活動に沿って、詩と絵本の関係についてお話くださいました。


写真:2012年8月1日の教室の様子2

絵本のテキストは、短くシンプルな言葉で語るものですし、またリズムの良さや心地よい響きや繰り返しにも、詩のような魅力があります。知っている言葉であっても、そこに入ることで、とたんに輝いてくる言葉があるのだそうです。そして、あまり説明しすぎないのも絵本のテキストの特徴です。だからこそイラストレーターは想像力をめいっぱい働かせて絵を描きますし、ときには言葉でしか表現し得ないものもあります。木坂さんが特にお好きだというワイズ・ブラウンの詩は、シンプルで単純だけど、そこには世界が表現され、永遠に結ばれていくのだそうです。時折、ご自身の絵本を素敵な朗読で読み聞かせてくださいました。最後にご紹介下さったのは『ねないこせかいチャンピオン』。お話と詩がうまく結びついた絵本を、ひき込まれるように読んで下さり、参加者のみなさんも聞き入っていました。
午後の講義はメディアアーティストの岩井俊雄さん。「100かいだてのいえ」「ちか100かいだてのいえ」は近年の大ベスセラーです。それまでの活動とは一見全く異なる絵本制作ですが、そこに至るまでのことも含めてお話くださいました。子どもの頃から何でも自分で作っていたという岩井さん。機械仕掛けのおもちゃについて、たくさんの構想や仕組みを描き込んだ小学生時代のノートには、すでにアーティストの片鱗が見えます。岩井さんが育ったのは最新の技術や家電が次々に現れた時代、テクノロジーに関心を持ったのも自然のなりゆきだったのかもしれません。その後も、人気番組「ウゴウゴルーガ」のお仕事でも知られるように、新しい技術を使った表現に次々に取り組んでいきました。そこにはメディアを通したコミュニケーションへの関心があったようです。しかし、実は子どもの頃から大変な絵本好きだったという意外な一面も。そして、出版社から声を掛けられて絵本を制作することになり、出来上がったのが「100かいだてのいえ」でした。ページをめくる絵本の構造は、10ずつ増えていく数字の構造とリンクします。またタテ開きは、建物の高さを表現するだけではなく、上昇していくという身体感覚ともぴったり合います(綴じ代が下にあるのはそのためです)。そして読者が絵本の世界をどんどん展開させていくことができるのも、絵本ならでは。様々なメディアを使って制作してきた岩井さんだからこそ、絵本というメディアの新たな可能性を開くことができたのでしょう。それはご自身にとっても新鮮な驚きだったそうです。
シンプルで凝縮された文章を書く詩人と、多彩な技術を駆使するメディアアーティスト、全く異なるお二人の話を結びつけるのは、やはり絵本という表現の面白さです。

6・7月のボローニャ展関連ニュースは以下のページからご覧ください。

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