公害行政(1)

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ページ番号1037557  更新日 2022年5月18日

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公害行政はじまる

 激化する公害に対して板橋区では、昭和40(1965)年4月、23区に先駆けて建築部建築課の中に公害係を設け、特別区の公害行政の先鞭をつけました。当時は、公害関連の法令はほとんど整備されてなく、東京都公害防止条例の前身である東京都工場公害防止条例のわずかな根拠によって、工場の指導にあたっていました。

 また、当時の舟渡、坂下地区の悪臭・有毒ガスの被害を調査するため、舟渡小学校などの小学校児童の健康調査や二酸化硫黄や浮遊粉塵の大気汚染調査、ばい煙監視など1係6名の人員で、少ない予算と権限の中スタートしました。

 昭和44(1969)年4月には騒音規制法の施行と東京都公害防止条例の公布を契機に、東京都が持っていた工場規制権限が区長に委任されました。公害係は、建築部公害対策課に昇格し、課長以下2係11名に増員されるとともに、悪臭・有害ガスや排水を測定するための公害分析室もつくられ、本格的な発生源規制を開始しました。

 さらに、昭和46(1971)年4月には、頻発する光化学スモッグ、自動車公害、三園地区におけるごみ焼却公害に対処するため生活環境部が発足しました。生活環境部は環境課と公害対策課から組織され、公害対策課は3係28名に増員されました。また、昭和48(1973)年4月には浮間処理場の廃止により工場排水規制が開始され、悪臭防止法の施行もあり、職員が増員され3係34名の組織となりました。

 このように、板橋区の公害行政は、権限の拡大と職員の増員により大きく発展し、危機的な公害問題を解決していく体制が整備されました。

  • ばい煙濃度測定の様子

    昭和35(1960)年頃 ばい煙濃度測定
    昭和30年に制定された『東京都ばい煙防止条例』に基づき、工場やビルから排出される煙の濃さを見た目で判断し濃度を測定している様子です。

  • 昭和41年児童の気道検査の様子

    昭和41(1966)年 児童の気道検査 蓮根小学校にて
    区は、昭和39,40,41年の各2回、工業地帯にある舟渡、住宅地の赤塚、中間地帯の蓮根・志村第六の各小学校の児童を対象に検査を行い、大気汚染が身体に及ぼす影響について調査を行いました。

工場の公害対策

悪臭・有害ガス対策

 工場の規制権限が区に委任された昭和44(1969)年以降、公害の苦情が区に年間500件以上寄せられるようになりました。その多くは工場に対するもので、特に、悪臭・有害ガスの苦情は、昭和46(1971)年度の苦情件数745件のうち205件を占めました。区は、悪臭・有害ガスの分析や防止設備の設置や作業方法の改善指導を繰り返しながら、問題を一つ一つ解決していきました。

昭和39年頃測定調査
昭和39(1964)年頃 測定調査の様子

二酸化硫黄対策

 昭和40年代中頃まで、ボイラーなどから発生する二酸化硫黄の規制は、煙突の高さによるもので、煙突を高くすれば規制をクリアーするものでした。このため東京のように発生源が密集したところでは、その効果はほとんどありませんでした。

 そのため、東京都では、東京都公害防止条例に基づき、工場が使用する燃料に含まれる硫黄分を規制する、いわゆる燃料規制を始め、昭和46(1971)年には1日1,000リットル以上重油を使う工場、昭和48(1973)年には300リットル以上の重油を使う工場やビルに規制を拡大していきました。

 区では、昭和48年から工場などの立入調査と重油の採取、分析を行い行政指導を行いました。昭和48年から昭和56(1981)年の9年間でのべ1,918件の工場の調査を行い、118件が基準に違反したために勧告などを行いました。

 燃料規制の効果により、大気中の二酸化硫黄の濃度も下がりはじめ、昭和55(1980)年以降、区内のすべての地点で環境基準を達成し、二酸化硫黄による大気汚染は克服されました。

工場排水対策

 昭和47(1972)年の東京都公害防止条例の改正で、排水の規制基準が強化されるとともに、東京都下水道条例の改正により、昭和48(1973)年より、浮間処理場の処理区域の各工場は各自の責任において工場排水を処理することになりました。

 これに伴い、区では、昭和48年から工場排水の規制を開始し、立入調査、排水の分析、除害施設の設置指導を行った。除害施設の設置には多額な費用と技術支援が必要で、区や東京都の融資制度を利用しながら、昭和49(1974)年には、除害施設の設置が必要な201件の全ての工場が除害施設の設置(191件)や作業の転換(10件)を行いました。

 このように、河川の色や悪臭の問題は、個々の工場が排水を処理することで解決しましたが、首都高速5号線の工事などにより、これらの河川は次々と暗きょ化されていきました。

 

暗きょ
暗きょ化された板橋区の河川

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資源環境部 環境政策課
〒173-8501 東京都板橋区板橋二丁目66番1号
電話:03-3579-2591 ファクス:03-3579-2249
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