中台延命寺所蔵「大般若釈迦十六善神図」及び「釈迦涅槃図」〈有形文化財(絵画・歴史資料)〉

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ページ番号1051863  更新日 2024年3月28日

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中台延命寺所蔵「大般若釈迦十六善神図」及び「釈迦涅槃図」

(なかだいえんめいじしょぞう「だいはんにゃしゃかじゅうろくぜんしんず」および「しゃかねはんず」)

 本作品は、中台延命寺(なかだいえんめいじ)が所蔵する「大般若釈迦十六善神図」、「釈迦涅槃図」の2幅と各画像に付属する函で構成される。当寺は真言宗豊山派の寺院で、総本山は長谷寺(奈良県)、中本山は練月山愛染院観音寺(練馬区)である。17世紀に始まったといわれ、中台村の菩提寺として信仰を集めていたが、享保3年(1719)と文化2年(1805)の火災で堂や古文書類も焼失したと伝わっている。その後、嘉永年間(1848~55)を中心に村人によって復興が図られ、両作品も復興に伴う奉納物と考えられる。
 「大般若釈迦十六善神図」は紙本着色、縦268.0センチメートル、横102.4センチメートル、函書と本画の裏書に、嘉永2年(1849)2月21日に当時の住職と中台村の住人18名が奉納した記録がある。また、本画の裏書によると、制作者は会津藩(現福島県)出身の大比丘林岳(だいびくりんがく)という僧侶である。彼は無言蔵憲海(むごんぞうけんかい)ともいい、会津や京都で仏画の書写研究・制作・出版活動を主導し、貴重な文化財の継承に貢献した。
 「釈迦涅槃図」は、紙本著色、縦226.5センチメートル、横161.0センチメートル、本画に嘉永2年11月に大成憲里(だいじょうけんり)が制作した記録がある。函書によると京都の山王寺から愛染院あてに送られた仏画である。大成憲里は、越後国(現新潟県)出身で、憲海の直弟子である。憲海の右腕として仏画研究・出版事業を支え、憲海の死後も近世末期における仏画出版事業を継承した。
 両作品は、制作者が判明している貴重な事例であり、調査研究によって関連資料である憲海・憲里たちが制作した「田村宗立旧蔵仏画粉本(たむらそうりゅうきゅうぞうぶつがふんぽん)」が京都市立芸術大学芸術資料館に保存されていることがわかった。現地調査を行った結果、両作品と関連資料に酷似点が多数確認され、制作時の下絵になったことが推察される。また、本作品は憲海・憲里たちが本格的な仏画工房を設けるよりも前に制作された時期のものであり、彼らの技術の高さや組織体制の確立を裏付ける資料といえる。よって、本作品は、近世仏教美術史における仏画僧の活動と、中台延命寺の復興のために中台村や愛染院からの支援事業として奉納された師弟の作品であるという位置付けができるとともに、近世後期の中台村における中台延命寺への信仰の地域的な広がりを解明する重要な資料として評価できる。

所在地

中台3丁目22番18号(延命寺境内)

登録日

令和6年3月7日

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