広報いたばしテキスト版(令和7年3月22日号)1面・2面
次回は4月5日(土曜日)に発行します
令和7年度施政方針
区政の持続可能な未来に向けて
2月28日に開催した令和7年第1回区議会定例会本会議で、坂本区長が令和7年度施政方針を説明しました。
施政方針で示した予算編成・区政経営の方針、「3つの基本目標」に沿った主要事業の概要をお知らせします。
予算編成・区政経営の方針
日本経済は、緩やかな回復が期待される一方、物価上昇や世界的な金融資本市場の影響などによる経済の下押しリスクなど、景気の先行きを十分注視していく必要があります。
このような中、予算編成方針では、特別区民税の増収や企業収益の改善などによる特別区交付金の増により、堅調な歳入環境を反映し、収支均衡予算となりました。
令和7年度は、「板橋区基本計画2025」と「いたばしNo.1実現プラン2025改訂版」を締めくくる最終年度であり、「東京で一番住みたくなるまち」の実現に向けて取り組んできた各種施策の集大成とするとともに、次期基本計画への橋渡しとなる重要な年度です。
そこで、令和7年度予算は「重点戦略の集大成と未来へつなぐ積極予算」と銘打ち、防災対策、老朽化が進む公共施設の更新需要、駅周辺のまちづくりなどの、中・長期的な課題にスピード感をもって的確に対応しながら、「SDGs(持続可能な開発目標)の取組を啓発から実践」へ、「デジタル化を変革」へ、「魅力を愛着と誇り」へとバージョンアップさせるための、積極果敢な予算編成としました。
令和7年度予算の主要事業(概要)
基本目標1「未来をはぐくむあたたかいまち」
子育て安心
- 従来の母親学級・両親学級をリニューアルした「ウェルカムベビー講座」を実施し、全ての妊婦とパートナー・家族が安心して出産・子育てができる環境の実現をめざします。
- 育児支援ヘルパー派遣事業・産後ドゥーラ派遣事業の利用促進を図るため、一部無料で利用できる枠を新設するなど、個々の生活スタイルや要望に合わせた支援を展開します。
- 母親への支援と同様に、父親が育児に関する不安や悩みを相談できる「パパのためのこころの相談室」を実施し、早期に必要な支援につなげ、すべての子どもたちの健やかな成育を支えていきます。
- 令和6年度に試行した「いたばし子どもワークショップ」を拡充し、本格的に実施するなど、子どもの意見を聞く機会を確保しながら、次期「いたばし子ども未来応援宣言」の策定などに取り組みます。
魅力ある学び支援
- 不登校児童・生徒へきめ細やかな対応を図るため、多様な学びの場として、校内に教室以外の居場所の整備を進めます。また、板橋フレンドセンターへ、通級が難しい児童・生徒を対象に、メタバース空間を活用した支援を導入し、個別支援につなげていきます。
- 区内二大学に、不登校児童・生徒の学校外の居場所としての「大学内居場所」を設置し、安心して過ごせる環境を提供することで学習意欲や社会的に自立する力を育んでいきます。
- 学校部活動の地域移行においては、「野球クラブ」の創設や、学校部活動を教員に代わり部活動指導員が受け持つ「地域連携」の活用を通して、中学生のスポーツ・文化芸術活動を通じた成長機会の確保と教員の長時間労働の是正の両立を図ります。また、子どもたちの要望に応じた新しい種目・分野の個別クラブを創設するための「プレクラブ」を設立し、子どもの活動の場を拡充します。
- 子どもの相談対応、学習・生活指導の補助を行う「エデュケーション・アシスタント」を配置します。
安心の福祉・介護
- 「医療的ケア児(日常的に医療的ケアが必要な子ども)等コーディネーター」の配置や、子ども発達支援センターにおける相談窓口の設置、児童発達支援センターの相談機能の拡充などを通して、医療的ケア児とその家族などへの支援強化を図ります。
- きょうだい児(重い病気や障がいのある兄弟・姉妹がいる子ども)の親同士の悩みを共有する交流会の開催などにより、新たな支援体制を構築します。
- 障がい者就労支援センターへの精神保健に関する相談員・「地域開拓促進コーディネーター」の配置を通して、障がい者への就労支援を行います。
- 民生・児童委員へ活動用のタブレットを配付することにより、業務の効率化・活動の負担軽減を図ります。
基本目標2「いきいきかがやく元気なまち」
豊かな健康長寿社会
- がん検診の受診率向上のため、指定される日時・場所で行う集団検診に加え、肺がん検診を区内医療機関でも受診可能とすることで、自身の健康状態を確認する機会の充実を図り、健康長寿社会をめざします。
- 精神保健福祉法に基づく措置入院を経て退院した方が、入退院を繰り返すことなく安定した地域生活を送ることができるようにするため、精神科専門医療機関への業務委託により、医師・看護師などが医療・保健・福祉などのサービスを包括的に提供する重層的支援体制を拡充します。
心躍るスポーツ・文化
- 都内初の近代化・産業遺産を活用した史跡公園を整備し、令和11年度の開設をめざします。また、史跡内の遺構・建造物を展示するデジタルミュージアムの構築により、史跡の価値の周知を図るとともに、遺構・建造物を守るための整備に向けた基本設計を開始します。
- 「平和のつどい」40周年記念事業として、平和コンサートを開催します。また、区内の戦争関連遺構・文化財、区民の戦争体験談などを紹介する映像を制作・発信し、区民への平和意識の一層の醸成を図ります。
- イタリア・ボローニャ市との友好都市交流協定締結20周年を記念した公式訪問団の相互訪問や、本庁舎と中央図書館を巡る区民参加型のイベントなどの取組を通して、両都市のさらなる発展をめざします。
光輝く板橋ブランド・産業活力
- 世界情勢の緊迫化や社会経済環境の変化により深刻な影響を受けている区内の中小企業に対して、企業の魅力向上による人材確保・販路拡大の支援を図るため、既存の助成金を見直した「(仮称)中小企業魅力向上支援包括補助事業」を創設します。
- 区内中小企業の育成・振興を目的とし、利益などが一定以上減少している企業を対象とした「業績改善支援融資」、資金需要の高まる時期に特化した「夏季・年末資金融資」、成長期の企業を後押しする「持続成長支援融資」を実施し、産業融資利子補給による支援を図ります。
- 物価高や設備改修費の上昇に伴い設備投資が難しくなっている公衆浴場への補助事業の見直しを行い、区民の健康維持・公衆衛生の確保に努めます。
基本目標3「安心・安全で快適な緑のまち」
緑と環境共生
- 「宅配ボックス・EVバイク車両の購入助成事業」・区施設での「ウォーターサーバー設置の拡充」・区民参加型イベントなど、区独自の事業を実施し、幅広く環境に配慮した行動や生活様式の変化を促すことにより、ゼロカーボンの実現に向けた取組を促進します。
- 魅力にあふれ、健康に暮らせる持続可能なまちをめざす、現行のスマートシティ推進方針に基づく取組の検証・見直しを行い、時勢に合わせた「新たなスマートシティ推進方針」の策定に向けた検討を行います。
- 令和8年度の再整備完了に向けて取組を進めている板橋公園においては、実施設計・既存施設の解体・造成工事に着手します。公民連携による新たな整備手法のもと、だれもが快適で安全に楽しむことができる、板橋ブランドとなる新たな交通公園の実現に向けて取り組みます。
万全な備えの安心・安全
- 昨年甚大な被害をもたらした能登半島地震を教訓に、首都直下地震に備え、木造住宅の耐震化を促進するため、耐震診断・耐震計画・補強工事の助成率・助成上限額の拡充を図ります。
- VR(仮想現実)と連携した新型起震車を導入し、住民防災組織の訓練・防災関連イベントなどに派遣することで、幅広い層の参加を促進し、体験型の訓練を通じて防災対策の強化を図ります。
- AEDの設置場所を見直し、従来の施設内だけでなく、24時間アクセス可能な施設外の入口などへ移設・新設することで、わかりやすい場所への適正配置を推進し、救命率の向上、地域の安心・安全につなげていきます。
快適で魅力あるまち
- 国と連携し、新河岸陸上競技場と荒川堤防を結ぶ連絡通路の整備工事を完了させるとともに、新河岸水再生センター前駐車場の混雑解消に向けた整備を行います。また、にぎわいの創出につながる水辺空間の形成に向けた「かわまちづくり基本構想」を実現するため、基本計画の策定に取り組みます。
- 大山駅周辺では、クロスポイント周辺地区における市街地再開発事業の建築工事が令和6年度に完了し、ピッコロ・スクエア周辺地区では、権利変換計画の認可に向けた支援を行います。
- 板橋駅周辺地区では、西口地区の解体工事の着手に向けた支援を行うとともに、駅前広場の再整備の基本設計・整備計画の検討を進めます。また、協働によるまちづくりを推進するため、エリアプラットフォームの構築・未来ビジョンの策定に向けた検討を深めます。
- 上板橋駅南口駅前地区では、建築工事に着手した東地区とともに、西地区での再開発組合設立認可に向けた支援を継続し、駅周辺・商店街などを中心としたにぎわいのあるまちづくりを推進します。
- 高島平地域では、交流核の形成に向けて、引き続き、駅前拠点エリアの基本構想・基本計画の策定、民間活力の導入検討、分野別まちづくり方策の検討を進め、旧高島七小の解体設計に着手します。また、交流核を一体的につなぎ、地域全体へ効果を波及させるため、新たにデッキネットワークの検討に着手します。そのほか、令和6年度策定予定の「高島平緑地再整備方針」を踏まえ、高島平九丁目地区における高島平緑地の大規模社会実験を実施し、緑地を自発的な区民の活動空間とできるよう、再整備に向けた準備を進めます。
計画を推進する区政経営
- 地域コミュニティの活性化を図るため、地域交流アプリの導入を支援します。町会・自治会内での電子回覧板、地域情報発信、防災情報伝達、安否確認を可能とするとともに、区から町会などへの情報提供にも活用していきます。
- 戸籍住民課への電話対応の向上を図るため、ナビゲーション型AIによる自動応答システムを導入し、24時間365日応答できる体制を整備します。また、必要に応じて音声AIからチャットボットへ移行し、画面案内も行えるようにするなど、利便性を高め、質の高い区民サービスを提供していきます。
- 区役所南館1階待合エリアへの「絵本コーナー」の新規設置や、地域と連携したイベントの実施などを通して、誰もが絵本に触れられる機会をつくり、「絵本のまち板橋」のさらなる魅力向上につなげていきます。
- 区役所北館4階へフリーアドレスなどを導入し、省スペース化を図ります。また、新たな会議スペースや集中して作業のできるブースなどを設置し、業務の効率化を進めるとともに、働きたい職場として選ばれるための環境改善を図り、安定的な人材確保につなげます。
令和7年度当初予算の規模
一般会計
- 令和7年度…2753億円
- 令和6年度…2530億円
- 伸び率…8.8パーセント
特別会計(国民健康保険事業)
- 令和7年度…534億9000万円
- 令和6年度…554億6000万円
- 伸び率…マイナス3.6パーセント
特別会計(介護保険事業)
- 令和7年度…481億6700万円
- 令和6年度…475億1800万円
- 伸び率…1.4パーセント
特別会計(後期高齢者医療事業)
- 令和7年度…146億7300万円
- 令和6年度…151億9000万円
- 伸び率…マイナス3.4パーセント
特別会計(東武東上線連続立体化事業)
- 令和7年度…12億5000万円
- 令和6年度…7億7700万円
- 伸び率…60.9パーセント
合計
- 令和7年度…3928億8000万円
- 令和6年度…3719億4500万円
- 伸び率…5.6パーセント
注:伸び率は、小数点以下第2位を四捨五入しています。
おわりに
令和7年度は、「板橋区基本計画2025」と「いたばしNo.1実現プラン2025改訂版」の集大成と、次期基本構想、基本計画及び実施計画をまとめ上げる重要な年度となります。
急速に変化する社会情勢やニーズを的確に捉えながら、将来に夢と希望が持てる、持続可能な板橋区の実現に向けて、全力で取り組んでいきます。
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政策企画課総合計画係 電話3579-2013
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