酔李白図 狩野秀頼

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ページ番号4000440  更新日 2021年6月4日

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作品名
酔李白図
作者
狩野秀頼
賛者
惟高妙安
時代
永禄9(1566)年
技法
紙本著色

サイズ

94.8cm×31.6cm

作品:酔李白図 狩野秀頼

秋は祭りの季節である。祭りにはお酒がつきもので、紅葉を眺めながらの一杯はオツなもので、ついつい盃を重ねすぎ、酩酊(めいてい)してしまう人も多い。うまい酒に酔ってしまうのは、古来中国からの伝統があるようで、本図に描かれているのも、詩仙・李白(りはく)が酩酊しているところを友人が抱きかかえている姿である。酒に酔って気持ちよさそうに眠ってしまった李白の表情には、心なごむものがある。
本図上部に惟高妙安の永禄9年(1566年)の秋頃に書かれた賛があり、本図はこれ以前に制作されたと思われる。

賛文
這装幅乃李謫仙翰林公写真也、公乃産也、母夢長庚入懐、因以命名
矣、生唐朝而承興聖皇帝九世孫、以出天枝李氏、寔地位不陋劣者也、
視所物色、背後抱扶、醺々然相貌也、公乃為人、唯酒愛之、沈湎于
水酉、浸漬于沙嬉、造次顚沛必於是焉、太白云、長庚云、公盖酒星
一精歟、皮日休亦云、我愛李太白、身是酒星魂、然則予言為不誣矣、
凡星辰降于下土、化英傑偉人者比々有之、殷有乗維騎箕之伝相、漢
有昴宿之鄼侯歳星乃朔児、巨唐巨宋有庚之李侯奎星乃蘇仙、世々
無不出現、覩者争先異哉、公方酔時、則吐出胸中蘇、弥揮却手裡分、
直遊文字海而垂釣詩之鈎処、塵埃域而奉掃愁乃箒、春朝酔花則花前
停盃吟詠、秋夕酔月則月下翻袂踏舞、其所自述之、待酒独酌将進酒、
数篇昭々於文史矣、今所形似者、力士脱其靴、待臣類其面、貴妃為
之捧硯所、草罷清平三調於沈香亭上之余醺歟、且又泛来石渡航船、
一棹錦袍錯落亡、何有傍若意気豪放之宿醒歟、風流醞藉不可称道、
雖然此一事為醒者難、誇説不如束以投入、畢生香霞甕間去 詩曰
天上星辰下李唐 開元宇宙耀文光、為君若定封侯地 四百山河一
酔郷

永禄丙寅小春中澣日 満江散人妙安叟「惟高」朱文鼎印「妙高」白文方印

辻 惟雄『戦国時代狩野派の研究』1994年(吉川弘文館)より