蜘蛛の巣図 柴田是真 明治時代
- 技法
- 紙本漆絵
- サイズ
- 83.4cm×54.9cm
柴田是真は、幕末から明治期にかけての漆工であり、日本画家でもあります。蒔絵と漆絵に独特の作風を築き、明治漆工界にその名を残しています。日本画家としては四条派の鈴木南嶺(なんれい)に師事しました。
蜘蛛やその巣は、ふつう夏の画題とされています。ところがこの作品は破れゆがんだ巣と中央に蜘蛛、そしてそこにかかるのは、餌となる虫ではなく松の葉と紅葉という寂しげな秋の風景です。ほかのものとの断絶を思わせるような右下の空間とあいまって、同士を喰らうという精悍なイメージとはほど遠いこの蜘蛛ですが、それでもじっと何かを考えているような姿に人間味さえ覚えます。是真ならではの着想の面白さといえるでしょう。
SHIBATA Zeshin