2018年4月15日 講演会「時空を横断する画家たち 東京←→沖縄、1930年代から70年代へ」
「東京←→沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村」展開催中です。
4月14日(土曜日)、講演会「時空を横断する画家たち 東京←→沖縄、1930年代から70年代へ」を行いました。
講師は小沢節子氏(近現代史研究者)です。
東京と沖縄の画家たちについて、それぞれの作品の時代背景に注目しながらお話頂きました。
お話は間に小さな1節を含んだ3部構成でPART1では「20世紀検証シリーズ」は何を明らかにしてきたのかと題して、当館のここ10年の企画展示の総括をしていただきました。
そのうえで今回の展示でご紹介した新しい視点「落合・目白の文化村」についてお話頂きました。
目白・落合一帯は丘陵地であり、1920年代に高級住宅街として整備されました。
それに対し池袋は湿地帯であり、宅地には向かない地域でした。そこで家主たちはアトリエ付きの住宅長屋を建設し、池袋には画家や画学生が集まるようになりました。今回の展覧会出品作では佐伯祐三や松本竣介の作品が該当します。
1930年代の池袋モンパルナスでは、現実の不安や戦争への予感をシュルレアリスムという手法で表現しました。
しかし戦時中にはシュルレアリスムは弾圧され、画家たちは西洋の古典絵画に回帰した作品を描きました。この時期に描かれた作品は、西洋の古典絵画という過去につながる、「逆説的な豊かさ」をもっていたそうです。
ふたつの章の間のお話として、今回の展示でご紹介した「描かれた沖縄」についても触れていただきました。
1930年代、東京から沖縄への航路が時間短縮されると、東京の画家たちは沖縄を訪れ、沖縄の人物や風景を描きました。
中でも沖縄の遊郭・辻の女性たちは、戦争によって失われた沖縄の象徴としてたびたび作品のモティーフになったそうです。
PART2では「沖縄・ニシムイの戦後美術―展示された作品から」と題して、ニシムイの時代と作品についてご紹介いただきました。
戦後アメリカの占領下にあった日本ですが、本土にあった池袋モンパルナスの画家たちと、沖縄のニシムイ美術村の画家達の作風は大きく違うものでした。
名渡山愛順、安次嶺金正、安谷屋正義といったニシムイの画家と、池袋モンパルナスに暮らした丸木位里・俊、そして山下菊二の作品をつなげて新たな視点を提示していただきました。
東京と沖縄、戦前と戦後という、地域や時代を超えて画家たちがどのような作品を描いたのかをお話頂きました。
ご来場頂きました皆様、ありがとうございました。(聴講107名)
本展覧会も、いよいよ本日が最終日となりました!
皆様のお越しをお待ちしております。
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