令和3年度 施政方針説明概要

このページの情報をツイッターでツイートできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号1031543  更新日 2021年3月2日

印刷大きな文字で印刷

写真
板橋区長 坂本 健

令和3年度施政方針説明

 本日、令和3年度予算をご審議いただくにあたり、私の所信、並びに予算の基本的な考え方、及びその概要を申し上げ、議員各位、並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 初めに、新型コロナウイルス感染症の猛威が続き、いまだ収束の兆しが見えない中、医療現場等の最前線で奮闘されている方々、外出自粛や営業時間の短縮にご協力いただいている方々に対して改めて感謝の意を表しますとともに、区民の皆様の生命と健康・財産を守ることを第一に、感染予防を徹底しながら、医療提供体制の強化をはじめ、生活や経済・文化活動等の支援に全力で取り組んでまいります。

 令和2年度は、8度にわたる補正予算を編成し、時機を逸することなく新型コロナウイルス感染症対策を実施してまいりました。目下の緊急課題であるワクチン接種につきましても、区内5か所の区施設における集団接種のほか、病院・診療所等における個別接種の体制構築にかかる準備に全力で取り組んでおります。令和3年度におきましても、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策に迅速かつ適切に対応してまいります。

 さて、我が国の経済は、令和2年4月の緊急事態宣言発令後における歴史的な落ち込みからの回復が期待されるものの、再度の宣言発令によって、今後の動向を見通すことが極めて難しくなっており、さらなる経済の下振れリスクにも十分注視していく必要があります。

 このような経済動向や、国の不合理な税制改正により、特別区民税と特別区交付金の大幅な減収が続くと見込まれております。一方、コロナ禍の影響によって扶助費等の増加も想定されるほか、老朽化する公共施設の更新需要など多額の経費負担が今後も見込まれており、これからの3か年は極めて厳しい財政運営を覚悟しなければなりません。

 そこで、激変する社会情勢に対応し、持続可能な区政を実現していくため、「いたばしナンバー1実現プラン2021」を一年前倒しで改訂し、新たに令和3年度を初年度とする「いたばしナンバー1実現プラン2025」を策定いたしました。

 「いたばしナンバー1実現プラン2025」では、緊急財政対策の実施によって財源を確保しつつ、ポストコロナ時代の「新たな日常」を見据え、経営革新と人材育成・活用にかかる取組を加速させながら、限られた経営資源を集中的に投入する重点戦略を展開することによって、行政サービスの質の向上をめざしてまいります。

 新型コロナウイルス対策はもとより、「SDGs戦略」「デジタルトランスフォーメーション戦略」「ブランド戦略」の三つを柱とする重点戦略を展開し、魅力創造発信都市と安心安全環境都市を指向しながら、「東京で一番住みたくなるまち」と評価されるまちをめざしてまいります。

 令和3年度予算は、重点戦略を展開する初年度にあたり、新型コロナウイルス対策に全力を挙げて取り組みながら、三つの戦略へ重点配分し、区政の持続的な発展と行政サービスの質の向上を図っていく、未来志向の予算編成といたしました。

 それでは、区政の主要事業につきまして、重点戦略の展開に資する事業を中心に、基本計画2025における「三つの基本目標」に沿って申し上げます。

 

第一の柱「未来をはぐくむあたたかいまち」

 初めに、基本政策「子育て安心」の実現につきましては、(仮称)板橋区子ども家庭総合支援センターの令和4年度開設に先行し、子ども家庭支援センターの「子どもなんでも相談」「児童虐待相談」を24時間365日受け付ける体制を整備し、子育てや児童虐待に関する相談の増加に対応します。より多くの相談を受けることで、子どもたちやご家族の課題解決を支援し、児童虐待の未然防止、早期発見、重篤化の防止につなげてまいります。

 近年高まっている医療的ケア児の保育ニーズに対応するため、区立保育園のうち、高島平あやめ保育園、上板橋保育園の2園を足掛かりとして、看護師の配置による医療的ケア児の保育を実施し、今後の受入拡大に向けたモデル園としての役割も果たしてまいります。

 子どもの貧困対策につきましては、引き続き、組織横断的に「いたばし子ども夢つむぐプロジェクト」に取り組むとともに、平成29年度調査後のニーズの変化を把握するため実態調査を実施し、子どもたちの未来を育む次期「次世代育成推進行動計画」の策定に活かしてまいります。

 次に、基本政策「魅力ある学び支援」につきましては、板橋区スマートスクールプロジェクトの実施に向け、区立小中学校の児童・生徒へパソコン端末を配付するなど、Society 5.0時代に必須となるICT機器を活用した教育環境を整備します。これまでの教育とICTとのベストミックスを図りながら、個別最適な学びと協働的な学びの充実によって、全ての子どもたちの可能性を引き出す教育を進めてまいります。

 併せて、令和3年度から、中学校の新学習指導要領が全面実施になることに対応するため、教員用教科書やデジタル教科書などを購入し、新しい時代に対応したICT教育を引き続き推進してまいります。

 板橋区平和公園内に「緑と文化」を象徴した新中央図書館が本年3月末にいよいよオープンいたします。併設される「いたばしボローニャ絵本館」では、幅広い世代に絵本の魅力を伝える事業を展開し、「絵本のまち板橋」を板橋ブランドとして戦略的に推進することで、区への愛着と誇りを醸成してまいります。

 近年の猛暑による熱中症対策と避難所の環境改善として、令和3年度までに全区立小中学校の体育館へ冷暖房機の設置を進めております。これに加え、改築・改修の計画を踏まえながら、区立小中学校の給食調理室に、令和3年度と4年度の2か年で冷暖房機を設置し、安心安全な学校給食を提供する職場環境の向上を図ってまいります。

 次に、基本政策「安心の福祉・介護」につきましては、離職や自営業の廃業、新型コロナウイルス感染症の影響などで、住まいを失う恐れのある方を対象に、賃貸住宅の更新料相当分の上乗せ給付を区独自に行い、継続的な居住と生活困窮者の自立を支援してまいります。

 また、区の各種福祉資金の貸付を受けている高校生及び大学生などに対し、図書カードの配付により、コロナ禍でも安心して修学できるよう、負担軽減を図ってまいります。併せて、ひとり親に対する施策の深化を図り、包括的な支援も充実させてまいります。

 今年度策定した「板橋区障がい者計画2023及び第6期障がい福祉計画、第2期障がい児福祉計画」に基づき、相談支援体制や障がいのある方の就労の充実、障がいのある子どもの療育・保育・教育の充実、障がい者虐待や差別の解消による権利擁護の促進などを図ることで、誰もが安心して暮らし続けられる環境づくりに取り組んでまいります。

 いわゆる団塊の世代が75歳以上となり、さらなる医療・介護需要の増大が見込まれる2025年を目途に、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム「板橋区版AIP」のさらなる深化・充実を図り、高齢者が年を重ねても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられる環境を整えてまいります。

 

第二の柱「いきいきかがやく元気なまち」

 初めに、基本政策「豊かな健康長寿社会」の実現に向けましては、食品表示法や健康増進法に基づく加工食品の栄養成分表示の義務化に伴い、違反の疑いのある場合に必要な調査を実施し、区民の健全な食生活を支えてまいります。

 シニア世代の健康増進と生きがいづくりにつながる社会参加を促進するため、フレイル予防事業の拡充やオンラインコミュニケーションスキルの向上など、社会活動を多面的に支援し、コロナ状況下でも持続可能な「健康長寿のまちづくり」に向けて取り組んでまいります。

 次に、基本政策「心躍るスポーツ・文化」につきましては、長寿命化改修中の東板橋体育館について、植村直己氏の生誕80周年に合わせ、植村冒険館を移転・複合化し、「冒険」というコンセプトを加えた、「(仮称)植村直己スポーツセンター」に刷新いたします。地域の方々が気軽に憩えるコミュニティラウンジや赤ちゃんの駅を設置し、誰でも利用しやすい施設とするほか、昨年12月にリニューアルオープンした「板橋こども動物園」を含め、加賀エリア全体の魅力を高めてまいります。

 令和3年度は、モンゴル国教育科学省との文化・教育交流協定締結25周年を迎えます。これを記念し、同国教育科学大臣をはじめとする訪問団を受け入れるほか、記念イベントを開催し、モンゴル国との交流促進を一層図ってまいります。

 旧粕谷家住宅につきましては、その歴史的価値を損なうことなく適切に保存していくとともに、駐車場の設置など環境を整備することで活用を促進し、区立美術館や郷土資料館と連携した赤塚地域全体の魅力発信と活性化につなげてまいります。

 次に、基本政策「光輝く板橋ブランド・産業活力」につきましては、経営安定化特別融資制度を創設し、信用保証料を全額補助するほか、オンライン商談やテレワークなどの環境整備、営業活動に関する助成制度の創設、及び営業時間の短縮に協力している飲食店等に対し、負担を軽減するため協力金を支給するなど、区内中小企業の持続的経営を支えてまいります。併せて、新型コロナウイルス感染症に起因する失業者や非正規雇用者に対して、オンライン研修や就労機会の提供などによって、就職活動をサポートしてまいります。

 農業振興につきましては、認定農業者に対し施設整備にかかる費用の一部を補助するとともに、農作業を実際に行い、農作物を提供できるスキルを持った人材を育てる「農のサポーター」制度の確立に向けて検討を進めてまいります。

 区の四大イベントである「区民まつり」「いたばし花火大会」「板橋Cityマラソン」「農業まつり」につきましては、新たな実施方法を試行し、区の独自性や先駆性を打ち出しながら、ポストコロナ時代における新しい「板橋ブランド」として戦略的に発信してまいります。

 

第三の柱「安心・安全で快適な緑のまち」

 初めに、基本政策「緑と環境共生」につきましては、電気・ガスの使用量の削減割合に応じてポイントを付与する「いたばし環境アクションポイント事業」を実施いたします。区民・事業者・区のそれぞれが、地球温暖化防止に向けた取組を実践・継続していくことで、SDGsの推進と、二酸化炭素の実質排出量をゼロにする「脱炭素社会」の実現をめざしてまいります。

 現在は焼却して熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクルに供しているプラスチックごみにつきましては、国や東京都の動向を踏まえながら、再資源化に向けた検討を行うための実態調査を実施し、中間処理施設や収集運搬方法などを検討してまいります。

 区立公園につきましては、老朽化した公園・公衆トイレの改築や遊具の適切な修繕など、ユニバーサルデザインを推進しながら、安心・安全で誰もが使いやすい公園として整備してまいります。 また、交通公園として親しまれている板橋公園につきましては、防災機能を充実しながら魅力あるにぎわい溢れる公園として整備していくため、基本構想・基本計画の策定を進めてまいります。

 次に、基本政策「万全な備えの安心・安全」につきましては、新型コロナウイルス検査・医療体制支援として、PCR検査体制の充実、電話相談窓口の設置、保健所運営体制の強化のほか、病院間連携による転院支援を引き続き実施してまいります。転院支援では、病状が改善し退院基準を満たしているにも関わらず、介護者の不在などによって継続入院となっている状況の改善をめざします。板橋区医師会と連携し、転院調整や費用の支援を通じて、一般病棟への転院を円滑化することで、ひっ迫するコロナ病床の確保を図ってまいります。

 また、東京都内の自治体では初めて開始いたしました自宅療養中の新型コロナウイルス感染症患者に対する夜間・休日の電話相談・救急往診体制整備事業につきましても、引き続き実施してまいります。

 災害対策では、停電時でも、地域コミュニティの防災活動に支障が生じないよう、住民防災組織等の活動拠点における電源確保を支援いたします。また、荒川浸水想定区域内の新河岸地区におきまして、住民・企業等の協議に基づいて決定するコミュニティタイムラインの策定に着手いたします。

 近年、その数が増加し、社会問題化している空家等の老朽建築物につきましては、「板橋区老朽建築物等対策計画2025」の後期計画を策定し、所有者等に対する適切な啓発や指導を行うことで、安心・安全で快適なまちづくりを進めてまいります。

 次に、基本政策「快適で魅力あるまち」の実現につきましては、高島平地域における都市再生実施計画の策定を進めてまいります。平成27年度に策定した「高島平地域グランドデザイン」について、社会情勢の変化等を踏まえてバージョンアップを図りながら、高島平地域全体のまちづくりに取り組んでまいります。

 駅周辺のまちづくりにつきましては、大山駅周辺地区、板橋駅周辺地区、上板橋駅南口駅前地区それぞれにおいて、市街地再開発事業などにかかる都市計画決定や組合設立が予定されるなど、まちづくりが進展しております。この機を捉え、まちづくりにかかる区の組織を再編し、都市整備部に「まちづくり推進室」を新設することといたしました。区を挙げて、まちづくり事業を推進し、災害に強く、若い世代の定住化や交流人口の増加にもつながる、魅力あるまちづくりを推進してまいります。

 併せて、大山駅周辺のまちづくりにおいて、商店街のさらなる活性化とまちづくりの推進につながるよう、専門知識やノウハウを有する専門家を派遣してまいります。

 

「計画を推進する区政経営」

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、ICTを活用したテレワークやリモート会議、行政手続きのオンライン化などの必要性が高まる中、「新たな日常」の核となるデジタルトランスフォーメーションを推進し、業務の効率化と働き方改革を加速化させ、区民サービスの向上につなげてまいります。

 ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングにより、昨年は中止となった「いたばし花火大会」に対して広く寄付を募り、2年分の思いをこめて、新型コロナウイルス感染症の収束に向けご尽力されている方々への感謝を表し、区民並びに来場者を元気づけるプログラムを実施してまいります。

 以上、令和3年度予算の基本的な考え方と、主要事業について申し上げました。

 

予算規模

一般会計予算におきましては、2,209億4,000万円、対前年度比、9億7,000万円、0.4%の減となりました。

このほか、国民健康保険事業特別会計では、528億2,000万円、前年度比、3.9%の減。

介護保険事業特別会計では、440億7,000万円、前年度比、0.6%の増。

後期高齢者医療事業特別会計では、124億6,000万円、前年度比、1.9%の増。

東武東上線連続立体化事業特別会計では、9,000万円、前年度比、26.2%の減。

全会計合わせまして、予算総額は、3,303億8,000万円、前年度比、0.8%の減となっております。

 

おわりに

 令和3年度は、「いたばしナンバー1実現プラン2025」の初年度として、「区民の生活を守り、未来へつながる〝重点戦略実行予算〟」と銘打った予算案を編成いたしました。

 特別区交付金等の大幅な減収によりまして、財政調整基金から64億円を繰り入れる厳しい財政運営となり、緊急財政対策の実施にあたりましては、補助負担金の見直しなど、区民・団体等の皆様にもご負担をおかけすることとなります。

 コロナ禍による危機を変革の機会と捉え、後々大きな転換期となった年度であったと振り返れるよう、ポストコロナ時代における「新たな日常」を見据えた重点戦略を展開し、行政サービスの質の向上を図ることによって、持続可能な区政を実現してまいりますので、ご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 今後も、板橋区基本構想における将来像「未来をはぐくむ緑と文化のかがやくまち〝板橋〟」の実現に向け、引き続き邁進してまいります。

 よろしくご審議のうえ、ご決定を賜りますよう、お願い申し上げます。

 

令和3年3月

板橋区長 坂本 健(さかもと たけし)

(令和3年3月2日 区議会本会議にて)

より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

このページに関するお問い合わせ

政策経営部 政策企画課
〒173-8501 東京都板橋区板橋二丁目66番1号
電話:03-3579-2011 ファクス:03-3579-4211
政策経営部 政策企画課へのお問い合わせや相談は専用フォームをご利用ください。