令和4年度 施政方針説明概要

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ページ番号1038169  更新日 2022年3月2日

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板橋区長 坂本 健

令和4年度施政方針説明

 本日、令和4年度予算をご審議いたくにあたり、私の所信、並びに予算の基本的な考え方、及びその概要を申し上げ、議員各位、並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 はじめに、新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化し、区民の皆様の暮らしや経済・文化活動などに大きな影響を及ぼしています。医療現場等の最前線で奮闘されている方々や感染予防・防止行動の徹底に御協力いただいている皆様に対して、改めて心から感謝申し上げます。

 令和3年度は、これまでに過去最多の10回にわたる補正予算を編成し、スピード感をもって柔軟に対策を講じてきました。依然として収束の兆しは見られず、先の見えない中ではありますが、引き続き区民の皆様の生命と健康・財産を守ることを第一に、国や東京都の動向を注視しながら、感染予防と医療提供体制の強化をはじめ、区民生活や文化活動の支援並びに地域経済の活性化対策などに全力で取り組んでいきます。

 我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う景気減速を背景に、令和2年5月の「景気の谷」を境とした緩やかな回復基調が継続しているものの、力強さには欠け、本格的な景気回復までには至っていない状況です。

 さらに、新たな変異株の出現による感染拡大や物価上昇の懸念などによる経済の下振れリスクについて、今後も十分に注視していく必要があります。

 このような中、令和4年度の予算編成方針を立てるにあたっては、財政状況の好転は見込めないものと想定し、昨年度から実施している緊急財政対策の方針を継続することとしましたが、景気の回復基調により、想定を超える特別区交付金及び特別区民税の改善となりました。このことにより、当初予算フレームにおいて不足していた財源約119億円は約20億円まで縮減することができました。

 しかし、今後の不透明な景気動向などに鑑みると、未だ歳入の改善傾向を楽観視できる状況にはなく、新型コロナウイルス感染症対策など緊急を要する課題に対して機動的に財政出動しながら、板橋区子ども家庭総合支援センターの開設、まちづくり事業の進展など、多額の経費負担を伴う事業が今後も続いていくことを踏まえ、一時的な歳入環境の変動に左右されない、将来を見据えた健全な財政基盤を確立していく必要があります。

 そこで、令和4年度予算は、新型コロナウイルス感染症拡大防止及び医療等支援体制強化、生活支援、地域経済活性化対策などに迅速に取り組むとともに、2年目を迎える「いたばしナンバー1実現プラン2025」のステップ・アップを図るため、「SDGs戦略」「デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略」「ブランド戦略」の三つの重点戦略へ限られた経営資源を集中的に投入し、前例に捉われず、あらゆる創意工夫を重ねることで、区民サービスの質の向上をめざす予算編成としました。

 それでは、区政の主要事業につきまして、重点戦略の展開に資する事業を中心に、基本計画2025における「三つの基本目標」に沿って申し上げます。

 

第一の柱「未来をはぐくむあたたかいまち」

 「子育て安心」の実現については、板橋区子ども家庭総合支援センターを令和4年4月にいよいよ開設します。7月からは政令の指定を受けて児童相談所設置市となり、多くの事務と責任を担うこととなります。区民に最も身近な基礎的自治体のメリットを最大限に活かし、次世代を担う子どもたちを誰一人取り残すことなく、心豊かに成長できる環境づくりに全力で取り組んでいきます。

 旧母子生活支援施設跡地への移転改築を進めてきた弥生児童館は、弥生小学校のあいキッズや集会所・防災備蓄倉庫と複合化し、環境に配慮したZEB Readyの認証を受けた施設として4月にリニューアルオープンします。

 DXによる子育て支援として、区立保育園全36園へ保護者と保育園の連絡をデジタル化するシステムを導入することで、情報共有の迅速化を図っていきます。併せて、保育士の事務作業時間の短縮化により、園児との時間を増やすことで、保育の質の向上につなげていきます。

 「いたばし子育てナビアプリ」については、従来有している情報発信機能に加え、オンライン相談や各種事業の予約機能を新たに追加します。

 また、オンラインによる妊婦面接を開始し、妊娠期から切れ目ない子育て支援につなげていきます。

 「魅力ある学び支援」については、上板橋第二中学校の改築工事が完了し、4月から新しい教育環境で学校運営が始まります。教科センター方式の採用やメディアセンターの設置など、学習環境の充実を図り、生徒の学力向上と学校運営における地域との連携・協働を進めていきます。

 また、令和4年度から10年度にかけて、学校施設における照明のLED化を進めます。令和4年度は小学校14校、中学校6校で工事を実施し、電気使用量と温室効果ガスの削減を図るとともに、環境配慮への意識を高めていきます。

 区立高島幼稚園においては、3歳児保育と要支援児を含めた通年・長時間の預かり保育を実施することにより、待機児の解消と区内幼児教育のモデルとして、さらなる検証を進めていきます。

 区立図書館においては、ICT化やライフスタイルの多様化に対応するため、電子書籍及び音楽配信型サービスを導入します。利用者の利便性向上を図るとともに、障がい者や近くに図書館がない方など、気軽に来館できない方々に対して利用機会を創出することによって、誰一人取り残さない環境整備を進めていきます。

 「安心の福祉・介護」については、高齢者にかかる「なんでも相談」、また、高齢者及び障がい者の「虐待相談」について、24時間365日受け付ける体制に拡充します。令和3年度から実施している「子どもなんでも相談」「児童虐待相談」と相互に連携を図りながら、重層的な支援につなげていきます。

 ひきこもり対策を強化するため、関係機関との連携や具体的な施策を検討する担当組織を新たに設置します。令和4年度はひきこもりに関する調査を実施し、対象者の実態やニーズを把握することで、支援が必要な人に届く体制を構築していきます。

 介護・障がい者施設の基盤整備に関しては、東京都板橋ナーシングホーム跡地である栄町の都有地を活用し、小規模多機能型居宅介護事業所、認知症高齢者グループホームのほか、重症心身障がい児を受け入れる児童発達支援事業所などの整備により、誰もが安心して地域で暮らせる環境づくりを進めていきます。

 

第二の柱「いきいきかがやく元気なまち」

 「豊かな健康長寿社会」の実現に向けては、自殺防止対策を担当する組織を強化し、関係機関や団体等の協力のもと「いのちを支える地域づくり計画」を策定・進行管理するとともに、様々な周知活動を通じて社会的孤立や排除をなくし、共に支えあう地域共生社会の実現をめざしていきます。

 令和4年3月末廃止する「いこいの家」の後利用については、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で暮らせるよう、ウェルネススペースや地域包括支援センターへ転用するほか、地域集会施設としての活用に向けた整備を進めていきます。

 国民健康保険に加入している子育て世帯への支援については、未就学児に係る保険料の均等割額を5割減額し、子育て世帯の経済的負担を軽減していきます。

 「心躍るスポーツ・文化」については、令和4年10月に区制施行90周年の節目を迎えるにあたり、記念式典や記念誌の発行をはじめ、各種記念事業を実施します。これまで築いてきた区の歴史・文化を振り返るとともに、コロナ禍を乗り越えた新しい未来に向けたメッセージを発信していきます。

 令和4年度は、北京市石景山区との友好都市提携25周年を迎えます。これを記念し、石景山区から訪問団を受け入れるほか、中国の文化に触れ、これまでの交流を紹介するイベントを開催し、より一層の友好促進を図っていきます。

 美術館所蔵の経年劣化が進んでいる11作品の修復を3年かけて行うとともに、改修後初めての重要文化財の展示となる関東初の「椿 椿山展」を開催し、継承と刷新を極めた美術館の価値をさらに高めていきます。

 「光輝く板橋ブランド・産業活力」については、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、現に厳しい状況が続いている区内中小企業・事業者をサポートするため、経営安定化特別融資の延長やデジタル環境構築補助事業などを実施するとともに、板橋区商店街振興組合連合会によるデジタル地域通貨「(仮称)いたばしPay」の導入に対して支援を行うことで、キャッシュレス決済を推進していきます。

 併せて、新型コロナウイルス感染症による企業活動への影響などを把握する中小企業を対象とした実態調査を行い、今後の施策に活かしていくことで、未来を見据えた産業支援につなげていきます。

 板橋ブランドに磨きをかけ、企業価値や競争力の向上を図るため、SDGs及びESG経営に取り組む意欲や関心のある区内中小企業に対し、啓発セミナーを開催するほか、経営計画の策定から実行までを一貫して支援していきます。

 農業振興については、農業体験学校を受講した方などが、学校給食への提供や収穫体験で収穫する農作物の栽培を実際に行い、農業の担い手としての経験を積むことで、新たな形の農の継承につなげていきます。

 

第三の柱「安心・安全で快適な緑のまち」

 「緑と環境共生」の実現に向けては、令和4年1月26日に行った「板橋区ゼロカーボンシティ表明」の実現に向けた取組を積極的に進めていきます。令和4年度はエコポリスセンターなど新規導入3施設を含め、本庁舎をはじめ25施設へ再生エネルギー100%の電力を導入、マイボトルの活用とワンウェイプラスチックの削減をめざすウォーターサーバーを本庁舎へ設置、庁有車への電気自動車の導入、いたばし環境アクションポイント事業の拡充など、脱炭素社会の実現に向けた取組を加速させていきます。

 プラスチックごみについては、約100世帯で実際に分別を実施し、意見を聴取するモニター調査や無作為抽出による区民アンケートを実施することで、対象品目や排出方法を具体化し、再資源化に向けた検討をさらに深めていきます。

 緑化の推進・区立公園等の維持管理については、街路樹の診断を行うととともに、舟渡水辺公園における川への転落防止策の強化を図るなど、安心・安全なまちづくりを進めていきます。

 また、交通公園として親しまれている板橋公園の再整備については、今年度策定した基本構想に基づき、引き続き地域の皆様のご意見を伺いながら、基本計画の策定を進めていきます。

 「万全な備えの安心・安全」については、新型コロナウイルス感染症対策として、昨年度から実施している電話相談窓口の設置、保健所運営体制の強化、病院間連携による転院支援、自宅療養者に対する医療サポート事業などを継続するほか、ワクチンの3回目接種、子育て世帯・住民税非課税世帯等への臨時特別給付金支給など、区民の安心・安全を守る取組を全力で進めていきます。

 減災・防災対策に関しては、舟渡・新河岸地区を中心とした浸水想定区域の総合的な対策として、避難行動要支援者に対する個別避難計画の作成と、「河川空間」と「まち空間」が融合した荒川河川区域の一体的な整備を進めていきます。ソフト・ハード両面から地域防災力の向上を図ることで、水害対策と荒川河川敷のにぎわい創出を両立させる、新たなまちづくりを進めていきます。

 低地等に溜まった雨水を河川等に強制排水し、浸水被害の軽減を図る排水機所のうち、特に老朽化が著しい三園二丁目の排水機所については、改修に向けた浸水地域の調査や改修設計を実施していきます。

 「快適で魅力あるまち」の実現については、高島平地域について、今年度策定した高島平地域都市再生実施計画に基づき、旧高島第七小学校跡地周辺の再整備地区と高島平駅周辺エリアで形成する交流核エリアにおいて、連鎖的な都市再生を進める取組を具体化していきます。

 駅周辺のまちづくりについては、大山駅周辺地区、板橋駅周辺地区、上板橋駅南口駅前地区それぞれにおいて、東京都から事業認可や組合設立認可を受けるなど、まちづくりが着実に進展しています。

 特に、大山駅付近の東武東上線連続立体交差事業、鉄道付属街路事業及び駅前広場整備事業は、昨年12月の認可を受け、事業に着手しました。引き続き、快適・便利で、個性と魅力あるまちづくりを地域の皆様とともに進めていきます。

 携帯キャリア端末のGPS統計データの活用により、特定の場所や時間における人の流れや交通量などを把握し、課題の設定や効果の検証につなげていくことで、エビデンスに基づいたまちづくりをはじめ、様々な施策の企画立案に活かしていきます。

 

「計画を推進する区政経営」

 「絵本のまち板橋」のブランディングを強力に推進するため、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展の開催や外国語絵本の蔵書、印刷製本業の集積など、絵本に関する資源を活かした取組を実施していきます。絵本に親しむだけでなく、創作者支援を行うなど、複合的な視点に立った取組により、絵本文化の新たなストーリーを展開していきます。

 全庁的なDXの推進については、ICTに関する専門的知見を有する外部事業者から技術的な助言や支援を受けることで、効率的かつ効果的な業務改善とサービスの向上を推進していきます。

 また、マイナポータルを利用した行政手続きのオンライン化を令和4年度末までに進めるとともに、戸籍住民課窓口にキャッシュレス決済を導入し、利便性の向上と接触による感染リスクを軽減していきます。

 ダイバーシティ&インクルージョンの理解促進については、性的マイノリティ当事者からの意見のほか、学識者による専門的な知見からの助言等を受けるため、検討委員会を設置するとともに、区民意識を把握する実態調査を実施し、性的マイノリティ支援のためのパートナーシップ制度の検討を進めていきます。

 以上、令和4年度予算の基本的な考え方と、主要事業について申し上げました。

 

予算規模

一般会計予算におきましては、2,297億9,000万円、前年度比4.0%増となりました。

このほか、国民健康保険事業特別会計では、558億9,000万円、前年度比、5.8%の増。

介護保険事業特別会計では、452億700万円、前年度比、2.6%の増。

後期高齢者医療事業特別会計では、135億900万円、前年度比、8.4%の増。

東武東上線連続立体化事業特別会計では、1億5,000万円、前年度比、66.7%の増。

全会計合わせまして、予算総額は、3,445億4,600万円、前年度比、4.3%の増となっております。

 

おわりに

 令和4年度は、「区制90周年 持続可能な未来を創る「安心・安全」予算」と銘打った予算案を編成しました。

 近い将来の見通しも立たない不安を感じる状況ではありますが、区制施行90周年を契機として、今までの価値観にとらわれず、ポストコロナを見据えながら新たなチャレンジの良い機会であると捉え、行政サービスの質の向 上と持続可能な区政を実現していきます。

 今後も、基本構想における将来像「未来をはぐくむ緑と文化のかがやくまち〝板橋〟」を実現し、「東京で一番住みたくなるまち」と評価されるまちをめざして邁進していきます。

 よろしくご審議のうえ、ご決定を賜りますよう、お願い申し上げます。

 

令和4年3月

板橋区長 坂本 健(さかもと たけし)

(令和4年3月2日 区議会本会議にて)

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