令和7年度 施政方針説明概要

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ページ番号1056498  更新日 2025年2月28日

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板橋区長 坂本 健

1 予算編成及び区政経営方針

本日、令和7年度予算をご審議いただくにあたり、私の所信及び経営方針並びに予算の基本的な考え方について、その概要を申し上げ、議員各位並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

はじめに、昨年は、年明けの能登半島地震をはじめ、気候変動の影響による異常気象が各地で猛威を振るい、多くの人々の生活に甚大な被害をもたらしました。今もなお、復興に向かって懸命に歩まれておられます皆様に、改めましてお見舞いを申し上げます。これらの出来事は、私たち板橋区にとっても、決して他人事ではありません。激変する気候変動や首都直下地震への対応も含めた防災対策の強化は、喫緊の課題であり、区民の皆様の生命と財産を守ることを最優先に、減災・防災対策をさらに推進してまいります。

さて、ポストコロナにおける新たな日常が定着してまいりましたが、物価高などの影響を受け、区民生活や中小企業の経営は、厳しい状況がうかがわれ、これまでも区議会の皆様のご協力を得ながら、既に6回にわたる補正予算を編成してまいりました。引き続き、区民の皆様の安心・安全を第一に、適時・的確に、生活支援と地域経済の活性化に取り組んでまいります。

我が国の経済は、緩やかな回復が期待されている一方、物価上昇や、米国(アメリカ)の今後の政策、進行中の国際紛争、金融資本市場の影響等による経済の下押しリスクなど、景気の先行きを十分注視していく必要があります。このような中、令和七年度の予算編成にあたりましては、特別区民税の増収や企業収益の改善などによる特別区交付金の増により、堅調な歳入環境を反映し、収支均衡予算となりました。

令和7年度は、現基本計画と、「いたばしNo.1実現プラン2025改訂版」を締めくくる最終年度であり、「東京で一番住みたくなるまち」の実現に向けて取り組んできた、各種施策の集大成とするとともに、次期基本計画への橋渡しとなる重要な年度であります。加えて、防災対策、老朽化が進む公共施設の更新需要、駅周辺のまちづくりなどの、中・長期的な課題に対応するとともに、今日的課題に対しても、スピード感をもって的確に対応していかなければなりません。

そこで「重点戦略の集大成と未来へつなぐ積極予算」と銘打った令和7年度予算を着実に執行し、「SDGsの取組を啓発から実践」へ、「デジタル化を変革」へ、「魅力を愛着と誇り」へとバージョンアップさせるべく、積極果敢にチャレンジをしていく所存です。

それでは、区政の主要事業につきまして、基本計画2025における3つの基本目標に沿って申し上げます。

2 令和7年度予算の主要事業

第一の柱「未来をはぐくむあたたかいまち」

基本目標の第一の柱は、「未来をはぐくむあたたかいまち」であります。

初めに、1つ目の基本政策、「子育て安心」の実現に向けましては、全ての妊婦とパートナー・家族が、安心して出産・子育てができる環境を実現するため、従来の母親学級・両親学級をリニューアルした「ウェルカムベビー講座」を実施するほか、育児支援ヘルパー派遣事業及び産後ドゥーラ派遣事業において、一部無料で利用できる枠を新設するなど、個々の生活スタイルやニーズに合わせた支援を展開し、妊娠期から子育て期を切れ目なくサポートしてまいります。

昨今の共働き世帯の増加、父親も母親も協力しながら家事・育児を実践するという意識や役割の変化により、父親への支援の必要性も増しています。母親への支援と同様に、父親が育児に関する不安や悩みを相談できる「パパのためのこころの相談室」を実施するなど、早期に必要な支援につなげ、すべての子どもたちの健やかな成育を支えてまいります。

また、今年度に試行した「いたばし子どもワークショップ」を拡充して本格的に実施するなど、子どもの意見を聞く機会を確保し、尊重しながら、次期「いたばし子ども未来応援宣言」の策定などに取り組んでまいります。

次に、2つ目の基本政策、「魅力ある学び支援」につきましては、不登校児童・生徒への、きめ細かな対応を図るため、校内に多様な学びの場として、教室以外の居場所の整備を進めてまいります。

板橋フレンドセンターにおいては、通級制度に登録したものの通級が難しい、児童・生徒を対象として、メタバース空間を活用した支援を導入するとともに、心理的に落ち着ける専用ルームを設置し、個別支援につなげていきます。

区と連携協定を締結している区内2大学に、不登校児童・生徒の学校外の居場所として「大学内居場所」を設置いたします。学校の内外に、安心して過ごすことのできる環境を提供することで、学びに向かう力を育むとともに、コミュニケーション能力や規則正しい生活習慣等のソーシャルスキルを養いながら、社会的に自立する力を育ててまいります。

また、学校部活動の地域移行においては、現在、区立中学校にある野球部を教育委員会が運営する「いたばし地域クラブ」に移行し、新たに「野球クラブ」を設置いたします。この取組を手始めに、学校部活動の「いたばし地域クラブ」への移行を本格化させるとともに、学校部活動を教員に代わり、部活動指導員が受け持つ「地域連携」の活用も図りながら、中学生のスポーツ・文化芸術活動を通じた成長機会の確保と、教員の長時間労働の是正の両立を図ってまいります。これに続き、子どもたちのニーズに応じた新しい種目・分野の個別クラブを創設するための「プレクラブ」を設立し、子どもの活動の場を拡充してまいります。

その他、教員の負担軽減及び学校の組織体制の充実、授業の質の向上に向けて、子どもからの相談対応、学習・生活指導の補助を行う、「エデュケーション・アシスタント」を配置いたします。

次に、3つ目の基本政策、「安心の福祉・介護」につきましては、近年、医療的ケアを必要とする児童・生徒等に寄り添った施策が求められており、個々の状況に応じた適切な支援体制の充実が必要となっています。そのため、「医療的ケア児等コーディネーター」を配置し、関係機関と連携を図りながら、適切な支援を届けてまいります。合わせて、子ども発達支援センターにおける相談窓口の設置、児童発達支援センターの相談機能を拡充し、医療的ケア児とその家族などへの支援強化を図ってまいります。

また、重い病気や障がいのある兄弟・姉妹がいる「きょうだい児」を養育する親同士が悩みを共有し、集まれる、交流会の開催等による「きょうだい児支援」など、新たな体制の構築や、取り組みを展開してまいります。

障がい者就労支援センターにおいては、精神保健に関する相談員及び「地域開拓促進コーディネーター」を配置し、増加・複雑化する障がい者の就労ニーズをサポートしてまいります。

その他、地域福祉の重要な担い手である民生・児童委員の活動を支援するため、一人一台、タブレットを配付し、資料の電子化・活動記録のオンライン提出・オンライン会議等に活用することで、業務の効率化や、活動の負担軽減を図ってまいります。

第二の柱「いきいきかがやく元気なまち」

基本目標の第二の柱は、「いきいきかがやく元気なまち」であります。

初めに、1つ目の基本政策、「豊かな健康長寿社会」の実現に向けましては、がん検診受診率向上対策として、日時と場所を指定される集団検診に加え、肺がん検診を区内医療機関でも受診可能とし、利便性を向上させてまいります。検診を定期的に受け、自身の健康状態を確認する機会の充実を図り、自分らしく生き生きと暮らし続けることのできる健康長寿社会をめざしてまいります。

また、精神保健福祉法に基づく、措置入院を経て、退院した方が、入退院を繰り返すことなく、安定した地域生活を送ることができるよう、精神科専門医療機関への業務委託により、医師・看護師等の多職種チームが、医療・保健・福祉等のサービスを包括的に提供する重層的支援体制の充実を図ってまいります。

次に、2つ目の基本政策、「心躍るスポーツ・文化」につきましては、都内初となる近代化・産業遺産を保存・活用した史跡公園の整備に向けまして、施設デザイン計画及び「(仮称)産業ミュージアム基本構想・基本計画」の策定に着手し、令和11年度のグランドオープンをめざしてまいります。WEB環境を利用し、史跡内の遺構・建造物を展示するデジタルミュージアムを構築することで、多くの方に知っていただける環境を整えるとともに、遺構・建造物を守るための整備に向けた、基本設計を開始いたします。

令和7年は、戦後80年、「板橋区平和都市宣言40年目」を迎えます。そこで、「平和のつどい」において、40周年記念事業として、平和コンサートを開催するとともに、平和に関連する区内の遺構や文化財、区民からの空襲や、戦後復興期の体験談等を紹介する映像を制作、広く発信し、平和の大切さと命の尊さの再認識及び、平和意識の一層の醸成を図ってまいります。

さらに本年は、「イタリア・ボローニャ市友好都市交流協定」締結20周年を迎えます。公式訪問団による相互訪問のほか、区民とともに機運を盛り上げる本庁舎と、中央図書館を周遊するイベントを実施するなど、両都市のさらなる発展の機会としてまいります。

次に、3つ目の基本政策、「光輝く板橋ブランド・産業活力」につきましては、世界情勢の緊迫化や円安、物価高、人材不足など社会経済を取り巻く環境は、区内中小企業にとっても深刻な影響を与えており、対策が急務であります。そこで、区内中小企業の魅力向上による人材確保及び、販路拡大の支援を図るため、既存の助成金を見直した「(仮称)中小企業魅力向上支援包括補助事業」を創設いたします。

また、区内中小企業の育成と振興を目的とし、前年同時期から利益等が一定以上減少している企業を対象とした「業績改善支援融資」、資金需要の高まる時期に特化した「夏季・年末資金融資」、成長期の企業の更なる成長を後押しする「持続成長支援融資」を実施し、産業融資利子補給による支援を図ってまいります。

その他、公衆浴場につきましては、昨今の物価高、設備改修費の上昇に伴い、設備投資が難しくなっているため、既存の補助事業の見直しを図り、区民の健康維持、及び公衆衛生の確保に努めてまいります。

第三の柱「安心・安全で快適な緑のまち」

基本目標の第三の柱は、「安心・安全で快適な緑のまち」であります。

初めに、1つ目の基本政策、「緑と環境共生」の実現につきましては、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの実質的な排出量をゼロにする「ゼロカーボン」の実現に向けて、「宅配ボックス・EVバイク車両の購入助成事業」、区施設における「ウォーターサーバー設置の拡充」のほか、区民参加型イベントを実施するなど、区独自の様々な事業を展開し、幅広く環境に配慮した行動や、生活様式の変化を促すことで、ゼロカーボンの実現を加速してまいります。

また、魅力にあふれ、健康に暮らせる持続可能なまちをめざす、現行のスマートシティ推進方針に基づく取組の検証・見直しを行い、現在の時勢に合わせた、「新たなスマートシティ推進方針」の策定に向けた検討を行ってまいります。

その他、令和8年度の再整備完了に向けて、取り組みを進めている板橋公園につきましては、実施設計、既存施設の解体、造成工事に着手し、公民連携による新たな整備手法のもと、誰もが快適で安全に利用し、多様な楽しみ方ができる、板橋ブランドとなる新たな交通公園の実現に向けて取り組んでまいります。

次に、2つ目の基本政策、「万全な備えの安心・安全」につきましては、昨年発生し、甚大な被害をもたらしました能登半島地震を教訓とし、首都直下地震に備え、木造住宅の耐震化を促進するため、耐震診断、耐震計画、補強工事の助成率と助成上限額の拡充を図ります。

また、新たにVRと連携した起震車を導入し、住民防災組織等が、防災訓練や防災関連イベントを行う際に、派遣することで、幅広い層の訓練参加を促進するなど、ハード、ソフト両面から防災対策の強化を図ってまいります。

その他、AEDの設置につきましては、従前の施設内設置に加え、施設の入り口等の施設外からアクセスできる場所へ、移設・新設するなど、24時間いつでも使用可能で、わかりやすい場所への適正配置を推進し、救命率の向上、地域の安心・安全につなげてまいります。

次に、3つ目の基本政策、「快適で魅力あるまち」の実現につきましては、にぎわいの創出につながる水辺空間の形成に向けた「かわまちづくり基本構想」の実現に向けて、基本計画の策定に取り組んでまいります。国と連携して進めている新河岸陸上競技場と荒川堤防を結ぶ連絡通路の整備工事を完了させるとともに、河川敷内にある新河岸水再生センター前駐車場出入りの際の、混雑解消に向けた整備を行ってまいります。

区内各地で、同時並行的に進めております、まちづくりにつきまして、大山駅周辺においては、クロスポイント周辺地区における市街地再開発事業の建築工事が本年度完了し、ピッコロ・スクエア周辺地区においては、権利変換計画の認可に向けて支援を進めてまいります。

板橋駅周辺地区においては、西口地区における解体工事の着手に向けて支援するとともに、駅前広場の再整備に係る基本設計、整備計画の検討を進めるほか、協働によるまちづくりを推進するため、エリアプラットフォームの構築、未来ビジョンの策定に向けた検討を深めてまいります。

上板橋駅南口駅前地区においては、建築工事に着手した東地区とともに、西地区での再開発組合設立認可に向けた支援を継続し、駅周辺や商店街等を中心とした、にぎわいのあるまちづくりを推進してまいります。

高島平地域においては、交流核の形成に向けて、引き続き、駅前拠点エリアの基本構想・基本計画の策定と、民間活力の導入検討、分野別まちづくり方策の検討を進め、都市再生の第一歩となる、旧高島第七小学校の解体設計に着手してまいります。加えて、交流核を一体的につなぎ、地域全体へと効果を波及させるため、新たにデッキネットワークの検討に着手してまいります。

その他、令和6年度に策定を予定している高島平緑地再整備方針を踏まえ、高島平九丁目地区における高島平緑地の新たな魅力や、にぎわいに繋がる大規模社会実験を実施し、緑地を自発的な区民の活動空間とできるよう、再整備に向けた準備を進めてまいります。

「計画を推進する区政経営」

最後に、「計画を推進する区政経営」においては、地域コミュニティの活性化を図るため、地域交流アプリの導入を支援し、電子回覧板や地域情報の発信、防災情報伝達、安否確認を町会・自治会内で可能にするとともに、区から町会等への情報提供にも活用してまいります。

問い合わせの多い、戸籍住民課への電話対応の向上を図るため、ナビゲーション型AIによる自動応答システムを導入し、音声AIが24時間365日応答する体制を整備いたします。必要に応じて、音声AI応答からチャットボットに移行し、画面による案内を行えるようにするなど、利便性の向上を図り、質の高い区民サービスを提供してまいります。

絵本のまちにつきましては、来庁者が最も多い、南館一階の待合エリアへ「絵本コーナー」を新規設置するとともに、地域と連携したイベントの実施などにより、誰もが絵本に触れられる機会を創出し、「絵本のまち板橋」が、より魅力的に感じられるよう取り組んでまいります。

その他、区役所北館4階において、フリーアドレス等の導入により、省スペース化を図るなど、新たな会議スペースや、集中して作業のできるブース等を設置し、業務の効率化を進めるとともに、働きたい職場として選ばれるための環境改善を図り、安定的な人材確保につなげてまいります。

以上、令和7年度の基本的な考え方と主要事業について申し上げました。

3 予算規模

予算規模につきましては、一般会計予算では、2,753億円、対前年度比8.8%の増となりました。

このほか、国民健康保険事業特別会計では、534億9,000万円、前年度比3.6%の減。

介護保険事業特別会計では、481億6,700万円、前年度比1.4%の増。

後期高齢者医療事業特別会計では、146億7,300万円、前年度比3.4%の減。

東武東上線連続立体化事業特別会計では、12億5,000万円、前年度比60.9%の増。

全会計合わせた予算総額については、3,928億8,000万円、前年度比5.6%の増となります。

このうち、No.1プラン2025改訂版で展開する重点戦略として、SDGs戦略では、計108事業、予算額212億6,230万円、DX戦略では、計33事業、予算額59億3,527万円、ブランド戦略では、計35事業、予算額80億4,700万円を編成し、「未来を担う人づくり」「魅力あふれる元気なまちづくり」「安心・安全な環境づくり」の3つの視点からバージョンアップに取り組んでまいります。

4 おわりに

ただいま概要を申し上げましたが、令和7年度は、現基本計画の集大成と、次期基本構想、基本計画及び実施計画をまとめ上げる重要な年度となります。急速に変化する社会情勢やニーズを的確に捉えながら、将来に夢と希望が持てる、持続可能な板橋区の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

以上、私の所信及び経営方針並びに予算の基本的な考え方について申し上げてまいりました。

令和7年度予算につきまして、ご審議の上、ご決定賜りますよう心からお願い申し上げます。

令和7年2月

板橋区長 坂本健(さかもとたけし)

(令和7年2月28日区議会本会議にて)

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