令和8年度 施政方針説明概要

板橋区長 坂本 健
1 予算編成及び区政経営方針
本日、令和8年度予算をご審議いただくにあたり、私の所信及び経営方針、並びに予算の基本的な考え方について概略を申し上げ、議員の皆様、並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
来年度は、令和7年10月に議決をいただきました新たな基本構想のもと、「板橋区基本計画2035」及び「いたばしNo.1実現プラン2028」の初年度として、区の将来像「未来をひらく緑と文化のかがやくまち板橋」、そしてそれを政策分野別に具体化した9つのめざす姿の実現に向け、創造都市クリエイティブシティとしての象徴的な1年と位置づけ、10年後にめざすまちの実現へ向けた礎づくりの重要なスタートの年としてまいります。
我が国の景気は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、国内外における社会情勢、物価、金融資本市場の変動など、その動向に十分注意する必要があります。区財政におきましては、一人あたり平均税額の堅調な伸び、納税義務者数の増などにより、特別区民税の増収が見込まれるものの、ふるさと納税による流出額は、拡大を続けています。
また、都区財政調整交付金は、景気変動の影響を受けやすく、不合理な税制改正などによる影響を踏まえると、区財政の先行きは、決して楽観視できない状況です。令和7年度は、現基本計画と「いたばしNo.1実現プラン2025改訂版」の最終年度であり、「東京で一番住みたくなるまち」の実現に向けた各施策の集大成とともに、新たな基本計画への橋渡しとなる重要な年でした。老朽化が進む公共施設の更新需要や駅周辺まちづくりなどの中・長期の課題対応はもちろん、区民生活や地域経済に直結する今日的課題にもスピード感を持って、的確に対処してまいりました。
一方、人材確保の点におきましては、近年の少子化に伴う全国的な生産年齢人口の減少などにより、公務員のなり手不足も深刻で、区が今後も安定した区民サービスを提供していくためには、優秀な人材の確保・育成に努めるとともに、限られた人材を最大限に活用することが求められております。出生数の大幅な減少、気候変動による風水害の激甚化、首都直下地震発生リスクの高まりなど、区を取り巻く環境は著しく変化しており、多様化・複雑化する課題に、スピード感を持ちながら、的確に対応していくためには、職員一人ひとりが、区のめざすべき方向性と自身の役割をしっかり捉えながら、組織一丸となって取り組んでいく必要があります。
また、様々な主体との連携を大切に、新たな価値を共に創り上げていく「共創」の視点を持って取り組み、従来の枠組みを超えた新たな発想を取り入れながら、戦略的に取り組んでいく必要があります。
そのため、ナンバー1実現プラン2028に掲げたウェルビーイング戦略、クリエイティブ戦略、トランスフォーメーション戦略の3つの戦略を分野横断的に展開していくことで、将来像が実現されたまちの姿「誰もが幸せを実感している」「つながりと愛着がはぐくまれている」まちを具体化してまいります。
そこで、令和8年度予算を「みんなにかけ橋未来をひらく創造都市デザイン予算」と銘打ち、創造都市クリエイティブシティとして、基本構想が示す新しい時代にふさわしい板橋区の未来をデザインするため、全庁一丸となって施策を展開してまいります。
それでは、区政の主要事業につきまして、基本計画2035に基づく9つの基本政策に沿って取組内容をご説明いたします。
2 令和8年度予算の主要事業
子ども・若者に関する基本政策「子ども・若者・子育て世代が住みたくなるまち」
子ども・若者に関する基本政策「子ども・若者・子育て世代が住みたくなるまち」の実現に向けましては、産後の母子の健康診査につきまして、都内では、住んでいる自治体とは異なる産科医療機関で出産をするケースが約半数を占めているため、妊婦健康診査や各乳幼児健康診査に加え、産婦健康診査及び1か月児健康診査についても、都内共通受診方式を導入し、費用負担の軽減を図ります。
新たに5歳児発達健康診査の機会を希望する方に提供し、3歳児健康診査以降、就学時まで公的健康診査の機会がない事で生じる切れ目をなくし、適切な支援・相談につなぐことで、親子の安心した就学につなげてまいります。
既存の未就学児対象のベビーシッター利用支援事業の一時預かりを拡充し、区独自の助成制度として、病児・病後児の利用に対し、小学校3年生まで、シッター利用料の助成対象を広げ、切れ目のない子育て支援を推進してまいります。
また、民間保育施設に通う乳幼児を安心・安全に保育するため、民間保育施設への巡回指導を追加で実施し、年3回以上に拡充することで、育て環境の充実に向けて支援してまいります。
そのほか、社会的養護経験者の方には、家賃、光熱水費、資格取得などの支援を拡充するとともに、自立支援拠点を新たに整備し、経済的支援と相談支援の両輪で、社会的養育を推進してまいります。
教育に関する基本政策「学びを通じて成長と幸せを実感できるまち」
教育に関する基本政策「学びを通じて成長と幸せを実感できるまち」の実現に向けましては、小学校入学後、新たな学習環境に適応が難しい児童への支援といたしまして、小学校に入学した新1年生を対象に一定期間、学校生活をサポートする「小1サポーター」を各校に設置いたします。
また、学校生活支援員やスクールカウンセラーの配置を拡充し、児童・生徒が、安心して学び、学校生活を送ることができる環境の充実を図ります。
小学生の放課後の居場所である「あいキッズ」を、多様なニーズに応え、「放課後の居場所」から「一日の居場所」へと進化させるほか、地域との連携強化により体験交流活動を充実し、学びの場としての価値を高めてまいります。
小中学校の学校図書館では、図書館司書の配置を週1日から週3日に拡充し、児童・生徒の読書活動の支援を充実いたします。また、新たな取組として、舟渡小学校の図書館を、地域の子どもたちを対象に、土日・祝日や夏休みなどの長期休業期間中に開放いたします。魅力的な地域開放となるよう、通帳型の冊子に読書記録を行える「読書通帳機」を導入し、利用者の読書意欲の向上につなげてまいります。
不登校に関する取組として、フリースクールなどを利用するための費用の一部を助成し、保護者負担の軽減を図ってまいります。
そのほか、入国直後など、日本語での意思疎通が困難な児童・生徒を対象とした常設の「日本語学習初期支援クラス」を高島第二中学校内に新設し、日本語指導の充実を図ってまいります。
福祉・介護に関する基本政策「安心して住み慣れた地域で暮らせるまち」
福祉・介護に関する基本政策「安心して住み慣れた地域で暮らせるまち」の実現に向けましては、地域福祉の取組といたしまして、
重層的支援体制整備事業を展開し、その中核を担う地域福祉コーディネーターの活動地区を段階的に18地区に拡大してまいります。令和8年度は、「旧蓮根高齢者在宅サービスセンター」の一部を新たな拠点として整備し、12地区で事業展開してまいります。
医療的ケアが必要な方の支援に向けましては、ショートステイ事業所に対し、医療的ケアを要する方の受入を拡充するとともに、安定した事業所運営が継続できるよう、医療的ケアに必要な専門職員を雇用する経費を助成してまいります。
また、重度訪問介護利用者が大学などに修学するにあたり、通学や敷地内における身体介護など、必要な支援を行う事業を新たに実施してまいります。
健康に関する基本政策「すべての人が健康で自分らしく輝けるまち」
健康に関する基本政策「すべての人が健康で自分らしく輝けるまち」の実現に向けましては、今後も増加が見込まれる単身高齢者への対応といたしまして、経済状況に関わらず、誰もが健やかな気持ちで老後を過ごすことができるよう、遺言・相続・葬儀などの相談や情報提供を行う「終活支援事業」を実施してまいります。
医療への取組といたしましては、板橋区医師会の地域における在宅医療推進強化事業に対して、費用助成制度を設け、地域における在宅医療体制の構築に向けた支援をしてまいります。
感染症防止の取組といたしましては、生まれてくるお子さんのRSウイルス感染を防ぐため、妊娠28週から36週の妊婦の方を対象に、「RSウイルス母子免疫ワクチン」の、定期接種事業を開始いたします。
スポーツ・文化に関する基本政策「スポーツ・文化に親しみ魅力へつなげるまち」
スポーツ・文化に関する基本政策「スポーツ・文化に親しみ魅力へつなげるまち」の実現に向けましては、旧保健所跡地において、地域の文化・交流ニーズへの対応、地域経済と社会の活性化、機能の充実化と災害対応力の強化の3つの視点から、ホール機能などを設置する複合施設整備計画を進めてまいります。
また、文化会館地下一階をリニューアル工事し、様々な創作活動や体験ができる文化の居場所として開放いたします。文化の居場所では、区内で活動する様々なステークホルダーを開拓しながら連携し合い、文化芸術を主なテーマとしたプログラムを定期的に企画・開催いたします。気軽に立ち寄り、日常的に活動できるオープンな空間を創ることで、人と人との交流をより一層促進し、新たな文化の創造・発信拠点としての機能強化を図ってまいります。
産業に関する基本政策「板橋らしい産業の魅力を創造・発信するにぎわいあふれるまち」
産業に関する基本政策「板橋らしい産業の魅力を創造・発信するにぎわいあふれるまち」の実現に向けましては、新たな製品やサービスの開発をめざす事業者に、研究機関や区内事業者とのマッチング、実証実験環境の提供など、実装までを見据えた伴走支援を行う「イノベーション創出・社会実装推進プロジェクト」を開始いたします。
30回目の開催を迎える産業見本市では、区内産業振興に関わる企業、大学・研究機関の誘引による区内企業との交流・連携促進を図り、内外のブランディングにつながる企画と情報発信を行う、記念事業として実施いたします。
農地の確保及び保全、有効活用に向けては、農地を所有する農業者を対象に、非農地から農地への転換や、農地が持つ多面的機能の発揮に必要な施設整備、農的空間を確保するための整備など、支援の充実を図ります。
環境に関する基本政策「みどり豊かで人と地球にやさしいまち」
環境に関する基本政策「みどり豊かで人と地球にやさしいまち」の実現に向けましては、「板橋区かわまちづくり基本構想」で示している全体コンセプト「自然体験型アーバンリバーパーク」の実現に向けて、にぎわい創出と防災の2つを軸に、自然豊かな空間を整え、荒川河川敷の魅力及び機能向上をめざしてまいります。
あわせて、板橋公園については、「ひと・まち・みどりをつなぐ」ことをコンセプトに、園内を巡る次世代モビリティや農園を整備するなど、令和9年4月のリニューアルオープンに向け、魅力あふれる公園づくりを進めてまいります。
区内の集合住宅や公園などでは、専門家派遣による、ボランティア団体の育成や植栽管理の指導などを行うとともに、多様な主体が連携するみどりの協働体制の構築に向けた現状調査を行い、ワークショップなどを通じて、参加しやすい協働事業や活動内容を模索しながら、協働体制を活性化・維持する仕組みを構築してまいります。
環境に関する取組として、現行の「いたばし環境アクションポイント事業」をアプリ利用が中心の事業にリニューアルし、環境配慮行動の実践や太陽光パネル設置者に対しても「いたばしPayポイント」を付与するなど、より多くの方が取り組める事業展開を図っていくとともに、これまで取り組んできた食品ロス削減・生ごみ減量に資する施策を「生ごみ減量プログラム」としてパッケージ化し、ゼロカーボンシティに向けた行動変容を促進してまいります。
防災・危機管理に関する基本政策「地域で支え合い安心・安全に暮らせるまち」
防災・危機管理に関する基本政策「地域で支え合い安心・安全に暮らせるまち」の実現に向けましては、危険ながけ・よう壁の解消を促進するため、再調査が必要な区内約900か所の実態調査を行い、その結果を踏まえた「がけ・擁壁防災対策方針」を策定いたします。
老朽建築物対策といたしましては、所有者不明・不存在の空き家に対し、区が財産管理制度を活用して除却・改善を図るとともに、所有者などに、空き家問題解決に向けた専門家による無料相談会を定期的に開催するほか、接道要件を満たさず再建築が困難な空き家の解消に向け、隣地との統合による売買に要する経費の一部を助成するなど、建築物の適切な維持管理につなげてまいります。
災害に向けた対応といたしましては、火災発生時における初期消火体制の強化を図るため、街頭消火器の設置を推進するとともに、緊急医療救護所の運営に必要となる非常食・飲料水・医薬品の備蓄の増強のほか、区立小中学校全校、区営住宅などへの24時間使用できる屋外型AEDの増設と、設置箇所の夜間の視認性を高めるための蓄光サインボードなどを設置し、防災対策を推進してまいります。
都市づくりに関する基本政策「身近な暮らしの中でこころの豊かさを感じる魅力にあふれるまち」
都市づくりに関する基本政策「身近な暮らしの中でこころの豊かさを感じる魅力にあふれるまち」の実現に向けましては、区内各地で、同時並行的に進めておりますまちづくりについて、大山駅周辺地区では、補助第26号線と商店街が交差する場所を、まちのにぎわいや商店街の活性化の場とすべく、再開発事業で整備された広場などの活用を図ってまいります。
板橋駅周辺地区では、駅前エリア全体を「えんのもり」と名付け、区民の創造的な活動や人と人とのつながりが育まれる空間をめざします。地域の様々な主体との協働・共創により、空間を「つかう」方法や「まもる」維持管理の仕組みづくりに取り組み、誰もが社会とのつながりを実感できるような、あたたかでやさしい区の玄関口を創造してまいります。
上板橋駅南口周辺地区では、緑豊かで心地良い屋外空間を公民一体で形成し、駅前広場からつながるみどりの軸や、にぎわいの軸を活かして、健康的で文化的なライフスタイルを送ることのできる「新たな公園都市」の実現をめざしてまいります。再開発事業の完了期に向けて、商店街の活性化、防災面の改善、ウォーカブルなまちづくりなどの取組を進めてまいります。
高島平地域では、これから50年、100先を見据え、選ばれるまちへと成長していくための連鎖的都市再生を進めてまいります。職・住・遊が融合したミクストユースへの転換、交通結節機能の強化など、都市の骨格を再構成し、持続可能な都市へと転換していくため、新たなステージに移行する将来デザインを描く、「高島平地域グランドデザイン」の改定に着手してまいります。
小竹向原駅周辺のまちづくりにおきましては、向原小学校や周辺公共施設の再編を契機とした、駅周辺の総合的なまちづくりの推進に向け、まちづくり組織の活動を支援するとともに、向原小学校と地域課題の解決に資する公共施設の機能連携や、再編の検討を進めてまいります。
計画を推進する区政経営
計画を推進する区政経営につきまして、区役所本庁舎周辺施設では、グリーンホールを「よりそい・まじわり・つながり」の3つを活用コンセプトに、高齢・障がい・福祉の総合的・包括的支援拠点整備に向けた検討を進めてまいります。
同時に、本庁舎北館につきましても、行政サービスの継続的な提供とともに、機能の再配置に留まらない、来庁者の利便性向上や、業務効率化などに資する、時代に即した庁舎機能の実現に向け、検討を進めてまいります。
旧板橋第四中学校跡地の活用につきましては、若者・地域交流拠点や多様な学びの場、多目的スポーツ広場としての整備を推進するとともに、立地を活かし区全体・地域の防災力を高めるなど、魅力的な施設整備に向けて整備構想・計画を策定いたします。
栄町集会所につきましては、だれでも相談ができる仕組みづくりや、多世代が自然に集い、交流し、地域活動へ参画しやすく、区民の皆様、一人ひとりのすぐそばにある「つながりの居場所」となる新たな集会所を創り出します。
創造都市として、その歩みを進めるにあたり、「絵本のまち板橋」は、新たな段階へ移行してまいります。その象徴として、「ボローニャ国際絵本原画展」の会期に合わせた多彩なイベントを区内各所で展開し、各施策を横断的に繋ぐことで、「創造都市いたばし」を広く内外に発信してまいります。
以上、令和8年度の基本的な考え方と主要事業について申し上げました。
3 予算規模
予算規模につきましては、一般会計予算は、3,015億円で、前年度比9.5%増となりました。
このほか、国民健康保険事業特別会計では、534億8,000万円で、前年度比微減、
介護保険事業特別会計では、484億1,600万円で、前年度比0.5%の増。
後期高齢者医療事業特別会計では、160億5,000万円、前年度比9.4%の増。
東武東上線連続立体化事業特別会計では、5億9,300万円で、前年度比52.6%の減。
全会計合わせた予算総額につきましては、4,200億3,900万円、前年度比6.9%の増となります。
このうち、No.1実現プラン2028の戦略的取組の予算規模といたしまして、
ウェルビーイング戦略では、計68事業、163億2,000万円、
クリエイティブ戦略では、計42事業、246億4,000万円、
トランスフォーメーション戦略では、計53事業、61億5,000千万円、
全戦略合わせて、計163事業、471億1,000万円を編成し、この3つの戦略を分野横断的に展開し、将来像が実現されたまちの姿「誰もが幸せを実感している」「つながりと愛着がはぐくまれている」まちを具体化してまいります。
以上が、本年度予算の概況であります。
4 おわりに
令和8年度は 新たな基本構想・基本計画のはじまりの年となる重要な年度です。
板橋区の新たな未来を区民の皆様をはじめ、地域関係者の皆様と共創していくにあたり、一人ひとりの物語をつなぐかけ橋をイメージしたロゴマークと合わせ、「みんなにかけ橋」をスローガンに、創造都市クリエイティブシティとして、「東京で一番住みたくなるまち」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
以上、私の所信と経営方針、並びに予算の基本的な考え方について申し上げてまいりました。
関係の皆様におかれましては、令和8年度予算のご審議・決定を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
令和8年3月
板橋区長 坂本 健(さかもと たけし)
(令和8年3月2日 区議会本会議にて)
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