令和6年度 施政方針説明概要

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ページ番号1051758  更新日 2024年2月29日

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板橋区長 坂本 健

1 予算編成及び区政経営方針

本日、令和6年度予算をご審議いただくにあたり、私の所信、及び経営方針、並びに予算の基本的な考え方について、その概要を申し上げ、議員各位、並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

はじめに、本年元日に発生した能登半島地震によって亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。被災地への必要な支援を把握しながら、迅速に対応するとともに、区におきましても、改めて首都直下地震をはじめとする大災害へ備えるため、自助・共助・公助の連携による減災・防災対策を強化してまいります。

さて、3年以上にわたって私たちの生活や地域経済に多大な影響を及ぼしたコロナ禍から漸く抜け出し、まちに以前の賑わいが戻ってまいりました。かつて経験したことのない風雪に耐え、デジタル化を積極的に取り入れながら、新たな日常の定着をめざし、様々な工夫に取り組んできた成果が、今につながっていると感じております。改めまして、区民の皆様、区議会の皆様をはじめ、ご尽力・ご協力いただいた関係者の皆様に、厚くお礼を申し上げます。

私は、書をほんの少し嗜む程度ではございますが、以前に題字とさせていただいた『百舎重繭』という言葉を今、思い出しています。これは『荘子』の故事にちなんでおり、「百舎」とは、百日行って、やっと一泊すること、「重繭」とは、多くのマメが手足にできるほどの苦労を言い、困難を乗り越えて遠き路をいくという意味があるそうです。まさに、コロナ禍を乗り越えてきた、この数年を言い表している言葉だと思います。

昨年4月の区長選挙では、百舎重繭のその先を見据え、これまで積み上げてきた成果と築いてきた信頼を糧に、「東京で一番住みたくなるまち」の新たなステージをめざしていく決意と覚悟を示し、多くの区民の皆様から信託をいただきました。そして、今年1月、マニフェストを踏まえながら「No.1プラン2025」を改訂し、これまで取り組んできた「SDGs戦略」「デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略」「ブランド戦略」の三つを柱とする重点戦略のバージョンアップにチャレンジしていく政策を明らかにしたところです。

令和6年度は、その初年度にあたります。物価高騰などの影響を受け、依然として厳しい状況が続く区民生活への支援や地域経済の活性化対策など、緊急課題にスピード感を持って的確に対応しながら、『重点戦略をバージョンアップする未来創造積極予算』と銘打った令和6年度予算を着実に執行し、「啓発から実践へ」「デジタル化を変革へ」「魅力を愛着と誇りへ」積極果敢にスタートダッシュを掛けていく所存です。

それでは、重点戦略のバージョンアップにチャレンジする主要な事業につきまして、基本計画2025の基本目標に沿って申し上げます。

2 令和6年度予算の主要事業

第一の柱「未来をはぐくむあたたかいまち」

基本目標の第一の柱は、「未来をはぐくむあたたかいまち」であります。

初めに、1つ目の基本政策「子育て安心」の実現に向けましては、既存の子育てサポート事業に加え、妊娠中もしくは、生後6か月未満の乳児と同居し、お世話をする方のもとに専門的な資格を持つ「産後ドゥーラ」が訪問する、「産前産後支援事業」を導入し、家事や育児の援助、相談対応を行うことで、負担の軽減と育児の不安解消を図ってまいります。

出産後において心身の不調、または不安がある母子に対しましては、従来の訪問型・宿泊型の産後ケアに加え、日帰りで利用できる通所型の産後ケアを新たに開始いたします。また、宿泊型の産後ケアについては、自己負担を軽減し、利用日数の拡大も図ってまいります。

児童養護施設等で社会的な養育を経験したケアリーバーへの応援プロジェクトについて、これまでの経済的支援と相談支援の両輪による取組に加え、関係機関や若者同士がつながる仕組みづくりを進めるため、居場所づくりや自立前における施設等への訪問、なんでも相談といった伴走型支援の拡充を図ってまいります。

社会問題として顕在化しているヤングケアラーについて、今年度実施した実態調査の結果を踏まえ、新たに専門のアドバイザーを設置し、関係機関へのサポートや連携体制の充実を図ることによって、早期発見と迅速な支援を推進してまいります。

次に、2つ目の基本政策「魅力ある学び支援」につきましては、物価高騰の中、経済的な負担の軽減を図るため、昨年9月から実施している学校給食費の無償化について、令和6年度においても、国が負担すべきものとして要望しつつ、区として継続して実施し、児童・生徒の健やかな成長を支援してまいります。

中学校の部活動について、今年度から試行実施している「いたばし地域クラブ」を正式なクラブとして位置づけるとともに、サイエンスクラブを新設するほか、部活動指導員の配置の拡充や地域移行に向けたシンポジウムを開催するなど、教員の負担軽減と中学生の新たな活動の場・居場所づくりに向けて持続可能な仕組みの構築をめざしてまいります。

魅力ある学校づくりでは、志村小学校・志村第四中学校による小中一貫型学校や上板橋第一中学校の改築にかかる実施設計を完了し、工事に着手するほか、板橋第四小学校の増築にかかる設計や板橋第六小学校の改築に向けた基本構想・計画策定を進めるなど、教育機能の向上とともに環境やユニバーサルデザイン、地域との連携などに配慮した新しい学校づくりを推進してまいります。

次に、3つ目の基本政策「安心の福祉・介護」につきましては、板橋ジョブトレーニングセンターの受け入れ体制を拡充し、ひきこもり当事者の居場所を常設化するとともに、ひきこもり経験者であるピアサポーターを配置するなど、ひきこもり支援の充実を図るほか、多様な求人や社会参加の場を開拓するなど、個々の状況に応じて一体的な支援を推進してまいります。

福祉事務所につきましては、包括的支援体制の構築が求められる時代の要請を踏まえ、幅広く相談支援を行うための機能強化として、3つの福祉事務所体制から区内全域を所管する1つの福祉事務所へ転換するとともに、障がい者へ一貫した支援を実現する体制の構築に向けて、組織と窓口を再編いたします。

板橋キャンパス跡地における障がい者施設の整備について、共同生活援助や短期入所・生活介護・相談支援など民間活力による多機能型の施設整備を進めるほか、重症心身障がい児などへの支援が可能な児童発達支援事業所の開設を促進し、障がいの特性に応じた切れ目のない支援の充実に取り組んでまいります。

第二の柱「いきいきかがやく元気なまち」

基本目標の第二の柱は、「いきいきかがやく元気なまち」であります。

初めに、1つ目の基本政策「豊かな健康長寿社会」の実現に向けましては、敬老入浴事業における新たな取組として、入浴券をシール方式から二次元コードが付いたカード方式へ、令和7年度に移行するための準備を進め、高齢者におけるデジタル活用の支援を強化してまいります。

また、区内5か所のふれあい館において、「シニアのスマートフォン個別相談会」を週3日程度、通年で開催し、一人につき30分程度のマンツーマン方式による相談の機会を設けることによって、高齢者におけるデジタルデバイドの解消に向けた支援の充実を図ってまいります。

健康づくりでは、デジタル地域通貨「いたばしPay」との連携による「いたPay健幸ポイント事業」を継続し、歩数の計測や健康データの入力などアプリの活用にポイントを付与することで、健康意識の醸成と健康管理・活動の継続を推進してまいります。

次に、2つ目の基本政策「心躍るスポーツ・文化」につきましては、上板橋体育館と都立城北中央公園におきまして、誰もが参加できるユニバーサルスポーツ体験会を開催し、2025年のデフリンピック東京開催に向けた機運醸成につなげるとともに、あらゆる世代に対して、自発的な運動への関心と意欲の向上を促してまいります。

史跡公園につきましては、整備を再開するにあたり、近代化・産業遺産を保存・活用する都内初の史跡公園として付加価値の高い事業運営を実現するため、史跡公園担当課長を設置するなど、教育委員会と区長部局双方の組織・連携体制を強化するとともに、設計に向けた基本方針の策定や劣化している遺構部分の修繕などに取り組んでまいります。

文化・国際交流では、令和6年度にバーリントン市との「姉妹都市宣言書」調印35周年、及びペナン植物園との「友好提携に関する共同声明」調印30周年を迎える記念事業として、相互訪問や交流事業を実施するほか、熱帯環境植物館において「マレーシア・ペナンフェア」を開催するなど、多文化共生の推進に取り組んでまいります。

次に、3つ目の基本政策「光輝く板橋ブランド・産業活力」につきましては、区内中小企業における人材の確保や育成にかかる課題の解決に向けて、若手人材の確保を目的とした合同企業説明会や採用に向けたサポートを実施するほか、職務にかかる訓練・研修等への参加を支援するなど、人材の定着と技術力の向上、及び企業の活性化を促進してまいります。

いたばし産業見本市については、より多くの区民に区の産業ブランド力をアピールし、未来の「ものづくり人材」をはぐくむため、土曜日を加えた開催へ拡充し、教育委員会と連携しながら、小中学生などがものづくりについて学んだり、体験したりできる企画を新たに実施するなど、持続可能な地域産業の育成に取り組んでまいります。

消費喚起と地域経済の活性化、及びキャッシュレス決済の推進に向けて、「いたばしPay」を活用し、利用者や店舗へのポイント還元などを実施するとともに、物価高騰対策としてだけでなく、健康づくりや環境行動の促進などと連携することによって、政策の相乗効果を創出してまいります。

農業の継承支援では、農作物を育て、提供する技術を持った「農のサポーター」を継続的に養成することによって、収穫体験事業や学校給食へ提供する食材の拡充を図り、農にふれる環境の充実を図ってまいります。

第三の柱「安心・安全で快適な緑のまち」

基本目標の第三の柱は、「安心・安全で快適な緑のまち」であります。

初めに、1つ目の基本政策「緑と環境共生」の実現に向けましては、令和6年4月から区内全域で、「可燃ごみ」として収集していたプラスチックを「資源」として回収し、再商品化することによって、ごみ排出量の抑制及び温室効果ガスの排出削減を図り、循環型社会の実現に向けた取組を推進してまいります。

ゼロカーボンシティをめざす施策の充実として、公共施設における照明のLED化を計画的に進めていくほか、いたばし環境アクションポイント事業の付与ポイントを拡充し、参加者の拡大を図るなど、脱炭素社会の実現に向けた取組を促進してまいります。

交通公園として親しまれている板橋公園の再整備につきましては、にぎわいのあふれる魅力的な公園をめざし、新たな公民連携の仕組みを導入しながら、令和8年度の整備完了に向けて基本設計を進めてまいります。

次に、2つ目の基本政策「万全な備えの安心・安全」につきましては、9月に、都立城北中央公園において東京都と板橋区の合同総合防災訓練を開催し、行政及び各防災機関による実践的な訓練を合同で行うほか、板橋区独自の訓練、イベント等を実施するなど、減災・防災対策の推進に取り組んでまいります。

18地区ごとに策定している「地区別防災マニュアル」については、災害対策基本法に基づく「地区防災計画」として位置付け、水害対策に コミュニティ・タイムラインの考え方を取り入れながら、1年間に6地区ずつ順次改定し、自助・共助による地域防災力の向上に取り組んでまいります。

高台まちづくりにつきましては、舟渡四丁目に整備される民間施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」と連携し、災害時における物資の保管と配送拠点となる環境整備を進めるとともに、効率的・効果的な備蓄管理体制を強化してまいります。

その他、災害に強いまちづくりの更なる推進に向けまして、火災が発生した場合の被害予測などを行える、3D都市モデルを活用した延焼シミュレーションを作成し、都市復興訓練などで活用するほか、老朽建築物等対策計画の改定に向けた実態調査や木造住宅密集地域整備方針の検討にかかる調査などを実施してまいります。

次に、3つ目の基本政策「快適で魅力あるまち」の実現につきましては、国と連携し、新河岸陸上競技場と荒川堤防を結ぶ避難通路の整備工事に着手するとともに、にぎわいの創出につながる水辺空間の形成に向けた「かわまちづくり基本構想」を実現するため、新たに担当部長を設置するなど推進体制を強化し、基本計画の策定に取り組んでまいります。

大山駅周辺では、クロスポイント周辺地区における市街地再開発事業の建築工事が令和6年度中に完了する予定のほか、ピッコロ・スクエア周辺地区では、権利変換計画の作成に向けて支援してまいります。

東武東上線の沿線では、大山駅周辺における立体化及び駅前広場の整備に向けた用地の取得を進めるほか、成増・下赤塚・東武練馬の各駅における可動式ホーム柵の早期整備に向けて、東武鉄道を支援してまいります。

板橋駅周辺では、西口地区における権利変換計画の認可、及び解体工事の着手に向けて支援するとともに、駅前広場の再整備にかかる基本設計を進めるほか、施行者による建築工事が進んでいる板橋口地区では、公益エリアの整備計画を策定し、板橋の玄関口にふさわしいまちづくりを推進してまいります。

上板橋駅南口駅前地区では、東地区において整備工事に着手するほか、西地区では再開発組合の設立認可取得に向けて支援を継続し、駅周辺や商店街等を中心としたにぎわいのあるまちづくりを推進してまいります。

高島平地域では、3月下旬に策定を予定している交流核形成まちづくりプランに基づき、UR都市機構と連携し、地域の顔となる高架下を含めた高島平駅前での拠点づくりに向けて整備の検討に着手するとともに、まちづくりの進展を早期に実感できるような取組の具体化を図ってまいります。

「計画を推進する区政経営」

SDGsを自分ごととして捉え、行動する「ローカライズ」を推進するため、板橋のまちが舞台のボードゲーム「いたばしさんぽ」の活用や、「SDGsプラットフォーム」の専用サイトを開設することによって、啓発から実践へ取り組んでまいります。

DXの推進については、高島平や赤塚地域においてデジタル技術が体験できる環境を整備するなど「スマート東京推進プロジェクト」の更なる展開を図るほか、キャッシュレス決済に対応する区の窓口の拡大や、利便性の高い新たな電子申請システムを積極的に活用したオンライン申請の拡大などに取り組んでまいります。

絵本のまちの推進では、ブランド力を高めるため、ユネスコ創造都市をめざしながら、地域や企業などとの連携を強化するほか、区民まつりにおける「絵本のまちひろば」の拡大や、絵本創作者への支援事業を新たに実施するなど、絵本文化のさらなる展開と発信を強化してまいります。 

以上、令和6年度予算の基本的な考え方と、主要事業について申し上げました。

3 予算規模

予算規模は、一般会計予算においては、2,530億円、対前年度比、6.6%増となりました。このほか、国民健康保険事業特別会計では、554億6千万円、前年度比、0.7%の減、介護保険事業特別会計では、475億1千8百万円、前年度比、2.5%の増、後期高齢者医療事業 特別会計では、151億9千万円、前年度比6.6%の増、東武東上線連続立体化事業 特別会計では、7億7千7百万円、前年度比76.6%の増、全会計合わせた予算総額は、3,719億4千5百万円、前年度比、5.0%の増となります。

4 結びに

令和6年度は、令和8年度を始期とする次期基本構想・基本計画の策定に着手いたします。中長期的な課題解決に向けまして、広く知恵を出し合いながら、区民の皆様が共有でき、ともにめざすことができる新しいビジョンを描いてまいりたいと考えております。

結びに、あらゆるものを取り巻く環境がめまぐるしく変化し、将来の予測が困難である現代は、「VUCAの時代」と呼ばれています。変動が激しく、不確実で複雑な事柄が多い中、絶対的な解決策が見つからない曖昧な状態を乗り越えていくためには、改めて歴史や文化から学びや気づきを得ながら、多様性を受け入れるコミュニケーションと国際感覚をもって、パートナーシップを拡げていくことが重要であると感じています。

私が初めて区長に就任した直後、金沢市長とお会いした時に、野口研究所の創設者であった野口遵氏が金沢市の出身であるという話をしたことがあります。そののち、友好交流の協定締結へとつながりました。また、ペナン植物園との交流は、中学生のマレーシア派遣事業へと広がりをみせております。交流と連携を推進することで、より心豊かで、多様性のある社会づくりに取り組んできたところです。

これからの新たな時代を切り開いていくためには、「人づくり」が肝要であります。私は、区長就任以来、一貫して「あたたかい人づくり」を政治信条に掲げてまいりました。人材の育成には、葡萄がワインへ熟成するように、相当の労力と時間が必要であります。対話とチャレンジを繰り返しながら、混沌とした時代にあっても、将来に夢と希望が持てる、持続可能な板橋区を実現してまいりたいと考えておりますので、ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

令和6年2月

板橋区長 坂本 健(さかもと たけし)

(令和6年2月29日 区議会本会議にて)

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