令和5年度 施政方針説明概要

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ページ番号1044932  更新日 2023年3月1日

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板橋区長 坂本 健

1 予算編成及び区政経営方針

本日、令和5年度予算をご審議いただくにあたり、私の所信、並びに予算の基本的な考え方、及びその概要を申し上げ、議員各位、並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症の拡大から3年が経過し、長期にわたり医療・介護・福祉等の現場で対応されている関係者の皆様をはじめ、感染予防の徹底にご協力いただいているすべての皆様に対しまして、改めて心から感謝申し上げます。

令和4年度は、コロナ禍に加え、ウクライナ情勢の長期化等による物価高騰の影響も相まって、区民生活や中小企業の経営は厳しい状況が続きました。区は、区議会のご協力を得て、既に6回の補正予算を編成し、生活支援や地域経済の活性化対策などに全力で取り組んできました。

令和5年度についても、区民の皆様の生命と健康・財産を守ることを第一に、スピード感を持って柔軟かつ適切に対応していきます。

さて、我が国の経済は、ウィズコロナの下で、各種政策の効果等によって景気は緩やかに持ち直しているものの、世界的な金融資本市場の変動や感染症の動向による経済の下振れリスクなど、景気の先行きを十分に注視していく必要があります。

このような中、令和5年度の予算編成にあたっては、景気回復の基調を踏まえ、令和2年度から取り組んできた緊急財政対策は実施しない方針とし、現下の社会経済情勢に応じた対策を含め、No.1プラン2025のさらなる推進を図ったものの、想定を大幅に超える特別区交付金や特別区民税の増収などによって、5年ぶりの収支均衡予算となりました。

今後も、緊急課題への対応をはじめ、老朽化が進む公共施設の更新需要、同時並行的に進展する駅周辺のまちづくりなど、多額の経費負担を伴う事業が継続していく中、今般の歳入環境の改善を好機と捉え、健全な財政基盤を確立し、区の将来を支える財政運営を推進していく必要があります。

そこで、令和5年度予算は、「明日につなげ 未来を描く『みんなのくらし応援予算』」と銘打ち、新型コロナウイルス感染症対策、物価高克服及び地域経済活性化対策などに迅速かつ的確に取り組むとともに、時代の先を見据えながら、No.1プラン2025の重点戦略である「SDGs戦略」「デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略」「ブランド戦略」をさらに展開し、区民サービスの質の向上をめざす積極的な予算編成としました。

それでは、区政の主要事業につきまして、重点戦略の展開に資する事業を中心に、基本計画2025に定める「3つの基本目標」に沿って申し上げます。

2 令和5年度予算の主要事業

第一の柱「未来をはぐくむあたたかいまち」

初めに、1つめの基本政策「子育て安心」については、昨年7月から政令指定を受けて開始した児童相談所設置市としての事務が通年化するとともに、子ども家庭総合支援センターでは、支援対象となる児童の見守り強化として、地域や団体と連携し、定期的な家庭訪問によって子育て世帯の孤立防止に取り組むなど、総合的で切れ目のない子育て支援のさらなる充実を図っていきます。

これまで区内児童養護施設を卒園し、大学等に進学した方々に実施してきた家賃の一部助成に加え、里親委託措置解除者や区が措置し、児童養護施設等で社会的な養育を経験したケアリーバーの自立を応援するプロジェクトとして、支度金や家賃、医療費補助による経済的支援と、居場所事業等による相談支援の両輪で、自立する際の貧困や孤独等の不安軽減を図っていきます。

近年、社会問題として顕在化してきたヤングケアラーへの効果的な支援策を検討するため、区内在住の小学4年生から高校3年生及び関係機関を対象に実態調査を実施するほか、子どもの現場に近い保健師やスクールソーシャルワーカー等を対象に研修を実施し、知見を深めるとともに庁内における相談支援体制の構築に努めていきます。

国の令和4年度第2次補正予算において創設された出産・子育て応援交付金を活用し、妊娠・出生それぞれの届出時における経済的支援と伴走型相談支援の強化を図るとともに、1歳を迎える子どもの家庭を対象にバースデーサポート事業を開始し、「板橋区出産・子育て応援事業」として、子育て支援のさらなる充実に取り組んでいきます。

コロナ禍が子どもの心身に大きな影響を及ぼし、改めて健康管理の重要性が認識される中、現在中学生までとしている医療費助成について、4月から対象を高校生等までに拡大することで、子どもたちの保健の向上と健全育成の充実を図っていきます。

次に、2つめの基本政策「魅力ある学び支援」については、子どもが安心して過ごせる学校をめざし、教室に入れない生徒の学校内における居場所推進事業実施校を拡充するほか、専門職であるスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーを増員することで、子どもと学校への効果的・専門的な支援体制を強化します。

医療的ケアを必要とする児童・生徒等が近年増加する中、適切な支援を受けられるよう、区立幼稚園、小・中学校及び「あいキッズ」に医療的ケアを行う看護師を必要に応じて配置し、幼稚園から中学校まで円滑に引継ぐことで、切れ目なく安心して個別最適な教育を受けられる環境を整えていきます。

スマートスクールプロジェクトのさらなる推進にあたり、区立全小・中学校の専科教室や特別支援教室等に電子黒板を追加配備するほか、特別支援学級へICT支援員を集中的に派遣し、児童・生徒の特性に応じたきめ細かな支援と指導の充実を図っていきます。

国における「部活動の地域移行に関する検討会議」の提言を踏まえ、単一校では実施が難しい女子サッカーや新しい種目であるe-スポーツ及びロボットプログラミングについて、実践研究モデル事業を実施しながら、スポーツや文化芸術を通じた生徒の成長機会を確保しつつ、教員に頼らない活動体制の構築を実現する部活動の地域移行について計画づくりを進めていきます。

教育環境の充実に向けては、志村第六小学校の長寿命化改修工事に着手するほか、魅力ある学校づくりでは、志村小学校と志村第四中学校の小中一貫型学校及び上板橋第二中学校旧校舎を仮校舎として暫定活用しながら上板橋第一中学校の改築に向けた実施設計を進めていきます。

次に、3つめの基本政策「安心の福祉・介護」については、生活困窮や自立支援等の課題を抱えている世帯を対象に、食料品などを安定的に無料で配布するフードパントリーとして「(仮称)いたばしコミュニティフリッジ」を23区で初めて設置するほか、子どもたちの居場所として期待される子ども食堂を気軽に利用できるよう、各小学校の学区域に一か所を目標として、立ち上げの支援に取り組むなど、子どもの食と居場所支援の充実を図っていきます。

地域における生活課題が複雑化する中、地域共生社会を実現する包括的な相談支援体制の整備に向けて、蓮根・舟渡・志村坂上地区に、地域と行政等の関係機関をつなぐ地域福祉コーディネーターを配置するモデル事業を実施し、早期発見・早期解決に向けた協働による取り組みを進めていきます。

また、生活に関わる相談窓口のワンストップ化を図るため、「いたばし生活仕事サポートセンター」の分室を赤塚・志村の福祉事務所に設置するとともに、ひきこもり、ひとり親家庭にそれぞれ特化した相談窓口を開設し、多様な暮らしの悩みごとに対する相談支援の充実に取り組んでいきます。

民間活力による施設基盤の充実については、介護の地域密着型サービスが不足する地域において区有地を活用した整備促進を図るほか、都有地の板橋キャンパス跡地を活用し、障がい者施設の新たな整備方針に基づく事業者公募などに取り組んでいきます。

第二の柱「いきいきかがやく元気なまち」

初めに、1つめの基本政策「豊かな健康長寿社会」については、コロナ禍によって人とのつながりが希薄化する中、自殺対策を強化するため、新たに策定した「いのちを支える地域づくり計画2025」に基づき、ゲートキーパーとしての役割が期待される地域の方々等に対して理解促進を図る研修を実施したり、検索連動型広告を活用して東京都のLINE相談を案内したりするほか、自殺予防を啓発する絵本の制作に取り組むなど、重点戦略の3つの視点から事業を推進していきます。

また、筋力の低下を感じる区民が多い中、デジタル地域通貨「いたばしPay」と連携し、歩数や健康データの入力など、健康づくりの活動に対してポイントを付与することで、健康意識の醸成、健康活動の継続、健康管理の習慣化をめざしていきます。

高齢者の保健事業と介護予防の一体的な取組にかかるモデル事業として、医療・介護・健診情報を一元化する国保データベースシステムを活用・分析し、高島平圏域において後期高齢者を対象としたハイリスクアプローチと集団を対象としたポピュレーションアプローチを一体的に実施し、健康寿命の延伸を図っていきます。

がんの治療に伴う外見上の悩みを抱える患者を支援するため、医療用ウィッグ等の購入費用を助成する「がん患者アピアランスケア支援事業」を開始し、就労継続や社会参加等を支援していきます。

次に、2つめの基本政策「心躍るスポーツ・文化」については、子どもと大人の自発的な運動への関心・意欲の向上を促すため、あずさわスポーツフィールド等において「スポーツフェスティバルin板橋」を開催するほか、都立城北中央公園陸上競技場では「(仮称)体験型スポーツマッチングテスト」を実施します。

絵本が持つわかりやすさと親しみやすさを生かし、昭和53年に発行した「いたばしの昔話」の絵本化に取り組み、小学校低学年の児童に配付することで、板橋の歴史や文化を学ぶ機会の創出と郷土愛の醸成につなげていきます。

文化・国際交流では、4月から文化会館・グリーンホールの指定管理者を公益財団法人板橋区文化・国際交流財団とするほか、生誕110年佐藤太清展や海外姉妹友好都市五都市紹介イベントなどを開催し、地域文化の創造支援と多文化共生の推進に取り組んでいきます。

次に、3つめの基本政策「光輝く板橋ブランド・産業活力」については、コロナ禍に加え、物価高騰などの影響を受けて厳しい経営状況が続いている区内中小企業等を支援するため、経営安定化特別融資を継続するほか、施設改修などの区発注工事を増やすなど、地域経済の活性化対策に取り組んでいきます。

また、デジタル地域通貨「いたばしPay」の新たな展開として、利用者及び事業者への還元事業や、観光アプリ「ITA-マニア」を活用したデジタルスタンプラリーとの連携による経済対策に加え、健康ポイントや環境アクションポイントとも連携させ、健康増進や環境行動促進の課題解決にも資する取組を進めていきます。

観光振興では、SDGsの普及啓発とマルシェイベントを融合させた「板橋SDGsマルシェ」を板橋区観光協会と共催で開催し、にぎわいと交流の創出及び板橋ブランドの発信に取り組んでいきます。

農業の継承支援では、農作業を実際に行い、育て、農作物を提供できるスキルを持った「農のサポーター」を養成し、収穫体験事業の拡充や、板橋ふれあい農園会による学校給食食材提供事業の補完に活用していきます。

第三の柱「安心・安全で快適な緑のまち」

初めに、1つめの基本政策「緑と環境共生」については、ゼロカーボンシティをめざす取組として、再生可能エネルギー100%電力の導入施設及び電気自動車の庁有車を増やすほか、いたばし環境アクションポイント事業では基本ポイントを2倍にする経済対策に加え、「食」による地産地消の啓発をはじめポイント獲得のメニューを拡充し、区民・事業者のさらなる行動変容を促します。

プラスチックごみ再資源化の推進については、令和6年度からのプラスチックごみ分別回収の開始に向けて、中間処理施設や収集方法を決定するとともに、住民説明会の開催やハンドブックの全戸配布などに取り組んでいきます。

区立公園では、公園トイレの改築にかかる設計を1か所前倒しするほか、運営できなくなった、こどもの池の跡地に新たな水施設や遊具を設置するなど、ニーズに合った公園の有効活用を進めていきます。

次に、2つめの基本政策「万全な備えの安心・安全」については、新型コロナウイルス感染症対策として、病院間連携や夜間・休日の救急往診、及び自宅療養者への医療サポートなどを継続し、長期化するコロナ禍に万全の体制で備えていきます。

災害対策では、東京都において発表された新たな被害想定と令和5年度に改定される予定の東京都地域防災計画及び近年の災害事例等を踏まえ、板橋区の地域防災計画及び備蓄体制最適化計画を改定します。また、民間事業者や、新たに舟渡四丁目に整備される「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」などの民間施設とも連携し、実効性の高い災害対策を進めていきます。

水害リスクの高い新河岸地区において、国の「かわまちづくり」支援制度に登録された「板橋区かわまちづくり計画」に基づき、新河岸陸上競技場と荒川堤防を活用した避難経路等の整備に向けて、国と連携しながら共同で設計を進め、工事に着手していきます。

次に、3つめの基本政策「快適で魅力あるまち」については、大山駅周辺地区では、東武東上線の立体化、及び駅前広場の整備に向けた用地取得等に取り組むほか、クロスポイント周辺地区における建築工事、及びピッコロ・スクエア周辺地区における再開発組合の設立認可取得などを支援していきます。

上板橋駅南口駅前地区では、東地区において除却等の工事及び道路等にかかる実施設計に着手するほか、西地区では再開発組合の設立認可取得が予定されており、まちづくりの着実な進展を支援していきます。

板橋駅西口周辺地区では、板橋口地区において施行者による建築工事が進む中、令和5年度から2年かけて公益エリアの整備にかかる基本構想・基本計画の策定に着手するほか、西口地区では権利変換計画の認可取得を支援するとともに、駅前広場の再整備にかかる設計に着手するなど、板橋の玄関口にふさわしいまちづくりを推進していきます。

高島平地域では、都市再生実施計画に基づき、再整備地区及び駅周辺エリアを合わせた交流核エリアのまちづくりプランを策定し、UR都市機構とともに連鎖的都市再生の具体化とさらなる展開に向けて取り組んでいきます。

「計画を推進する区政経営」

SDGs未来都市に選定されたことを機に、広く区民や企業等の皆様がSDGsを自分ごととして捉え、行動につなげていく学びの循環と情報共有・連携の仕組みづくりを進める「ローカライズプロジェクト」などに取り組んでいきます。

DXの強化では、高島平地域においてデジタル技術を活用したイベント等を実施するスマート東京推進プロジェクトを実施するほか、区公式LINEの開設、公共施設使用料のキャッシュレス決済対応、区役所戸籍住民課窓口への「書かない窓口」導入など、デジタル化・オンライン化を推進していきます。

「絵本のまち板橋」推進プロジェクトでは、中央図書館や美術館を中心に、絵本文化を享受する「利用者」、創造する「創作者」、区による「絵本の魅力・特徴の体現」を3つの視点とする施策横断的な事業展開に取り組み、それぞれが相互に作用し合うことによって、絵本文化のさらなるブランディングを積極的に強化していきます。

ダイバーシティ&インクルージョンの推進では、板橋区独自のパートナーシップ制度を導入し、記念カードの贈呈や啓発動画の作成などに取り組み、性的マイノリティの当事者が暮らしやすい環境づくりと多様な性に関する理解促進を図っていきます。

以上、令和5年度予算の基本的な考え方と、主要事業について申し上げました。

3 予算規模

予算規模は、一般会計予算においては、2,372億5,000万円、対前年度比、3.2%の増となりました。

国民健康保険事業 特別会計では、558億3,000万円、前年度比、0.1%%の減。

介護保険事業 特別会計では、463億7,300万円、前年度比、2.6%の増。

後期高齢者医療事業 特別会計では、142億4,900万円、前年度比5.5%%の増、

東武東上線連続立体化事業 特別会計では、4億4,000万円、前年度比193.3%の増、

全会計合わせた予算総額は、3,541億4,200万円、前年度比、2.8%の増となります。

4 おわりに

今年は、No.1プラン2025を改訂し、計画期間の残り2年間について、令和8年度からの新しい基本計画を見据えたアクションプログラムとなるよう、内容の充実を図っていきます。

ウィズコロナにおける区政運営を見据えつつ、前例に捉われず、創意工夫を重ねることで、持続可能な区政を実現していきますので、ご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

今後も、基本構想における将来像「未来をはぐくむ緑と文化のかがやくまち"板橋"」の実現に向け、「東京で一番住みたくなるまち」と評価されるよう、引き続き邁進していきます。

よろしくご審議のうえ、ご決定を賜りますよう、お願い申し上げます。

令和5年3月

板橋区長 坂本 健(さかもと たけし)

(令和5年3月1日 区議会本会議にて)

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