2026年3月20日 焼絵展 当館学芸員講演会
「焼絵 茶色の珍事」の関連イベントとして、展覧会の担当学芸員植松有希による講演会を開催しました。
内容は、日本の江戸時代の作品を中心に「いといと珍らかなる焼絵の世界」というタイトルでお話しました。
内容は次の通りです。
1 焼絵とは
2 古(いにしえ)の焼絵
3 江戸の焼絵と稲垣如蘭
4 江戸の焼絵はなぜ描かれた?
はじめに焼絵技法について、現代の暮らしにもとけこんでいる例をあげながら簡単に説明を行いました。
その後、日本において「焼絵」ということばが確認される鎌倉時代頃の文献を確認し、古筆切に用いられる料紙装飾の例もご紹介しました。
古(いにしえ)の時代にも焼絵技法は存在していたものの、それらは数が少なく、しかも書と調和することで美しさを発揮するといった種類のものであったことがわかります。
その技が再び表舞台に躍り出たのは江戸時代でした。
国学者らによって、古の時代の焼絵が見出され再評価の機運が高まりました。
焼絵は、江戸藩邸で暮らした近江山上藩主の稲垣如蘭、また作品はほとんど残っていないものの複数の文献に名のある木元才荘という人物が深く関わり、復活したと考えられます。
展覧会で出品している稲垣如蘭の作品を示しながら、その画風や背景、技法についてお話し、さらに江戸の焼絵作者の多くが「如」と名のつく如蘭の関係者だということもご紹介しました。
最後に、江戸時代に、なぜこのような珍しく難しい焼絵が制作されたのかということを、様々な角度から考察しました。古への憧れ、単彩画の美と実、茶色の流行、質素倹約の時勢など、複数の要因が重なって行われたと考えられますが、焼絵研究は今後も新たな展開があるので、今後もより広い意味で考えることができそうです。
参加者の皆さまご清聴ありがとうございました。


