2026年1月25日 絵本講座「ムナーリの子どものための教育とさわる本」

このページの情報をXでポストできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号4002026  更新日 2026年1月29日

印刷大きな文字で印刷

1月25日に、藤田 寿伸氏(東京成徳大学子ども学部准教授)を講師に、絵本講座「ムナーリの子どものための教育とさわる本」を開催し、ムナーリをはじめとするイタリアにおける子どもに向けた造形教育にみられる、触覚をはじめとする諸感覚を使った遊びやワークショップの歴史・事例について、講義と実践で学びました。
当館は、2007年にムナーリの展覧会を開催した際に藤田先生と知り合いました。先生は1990年代にミラノでインダストリアルデザンの勉強と仕事をされていたときにムナーリに関心をもち、ブログなどを通じてムナーリを中心にイタリアのデザインや教育の情報を発信しておられ、当時は幼児教育に携わっていました。2020年頃より、当館はイタリアの「さわる絵本」を紹介するなど触覚に注目した活動を展開するようになりました。一方藤田先生もムナーリの触覚のワークショップへの研究を深め、現在は大学で幼児教育を学ぶ学生たちを指導されています。このようなご縁から、このたびの絵本講座を開催することになりました。

藤田先生は今回の講座のために、午前と午後それぞれに講義と実践を組み合わせたプログラムを考えてくださいました。
午前中の講義では、まず自己紹介としてご自身のイタリアでの経験をお話され、その後、20世紀イタリアにおける幼児教育を、モンテッソーリ、ムナーリ、レッジョ・チルドレンの活動について、造形や触覚などをキーワードに説明くださいました。この3者は直接的な影響関係は明らかにされていませんが、共通するところも多くみられるとおっしゃいます。これらの教育活動において、子どもが主体的に表現できるように大人がやるべきことや、創造性を重視する姿勢、社会背景と教育の関係など、スライドとともに藤田先生が分かりやすくお話してくれました。
午前の後半の時間は、保育の現場でもよく取り入れられている光をつかった遊びを、参加者のみなさんにも体験してもらいました。ムナーリはスライドプロジェクタを作品やワークショップに展開しましたし、レッジョでも子どもたちが光学機器や映像をつかって遊ぶ様子がよく見られるといいます。藤田先生は、鏡、セロハン、ライト、立体的なしかけの絵本、蛍光クレヨン、蓄光塗料のボード、ライトテーブルなどたくさんの道具や素材を用意してくださり、自由に遊んでほしいと伝えました。すると参加者たちはそれらを組み合わせたり、ひっくり返したりしながら、徐々に面白い見え方や遊びを発見し、他の参加者たちと共有するようになっていきました。45分ほどでしたが、みんな熱中し、どんどん盛り上がっていきました。

午前中の遊びの体験を通してみなさんすっかり温まり、お昼休みは先生も交えて和気藹々とランチを取る様子も見られました。

午後は「さわる絵本」にフォーカスを当てて講義と実践を行いました。講義の前半では、ムナーリが1920年代から晩年までの長い活動期間全般にわたって手がけた多様な本の仕事を紹介しながら、その特徴や意図を解説してくれました。なかでも、幼い子どもたちに向けて多素材で制作した「本の前の本」は触感で楽しむ本として有名です。そして、1970年代以降にムナーリが始めたさまざまな造形ワークショップの活動にも言及し、1980年頃からは触覚のワークショップを積極的に行ったことや、未来派の時期からムナーリが触覚に関心をもっていたこともお話くださいました。講義の後半では、「触覚」ということをさらに掘り下げ、ご自身がかかわった乳幼児に向けた触覚を刺激するワークショップの事例についてご紹介くださいました。
午後の後半は、同じ紙をさまざまなテクスチャーを変えたり、それぞれに「さわる本」を作る時間となりました。先生からは、自分が加工した紙を参加者同士で交換するのもいいのではないかとアドバイスがありました。参加者は、様々な素材や道具を使って作業を始めましたが、時間が限られていたため完成を目指したわけではなく、この講座で得た気づきや自身の関心などから、いろいろな実験をしたり、思いつくままに手を動かしたりしていきました。40−50分程度の時間でしたが、参加者のみなさんは集中して作業をすすめ、最後には自分の制作について発表をしてもらいました。

藤田先生は、今回の講座のなかで、「このように遊びましょう」「こういうものを作りましょう」といった具体的な指示はほとんどしませんでしたが、参加者のみなさんは準備された環境や素材を前にすると、どんどん自分たちで何かを発見し、作っていきました。その様子は、ムナーリがワークショップにおいて、大人は道具の使い方やテクニックは子どもに教えるけれど、何をどのように表現するかは子どもが決めることである、と考えていたことに通じるようでした。

今回は朝10時から夕方4時までという長丁場の講座でしたが、20名の参加者は最後まで熱心に取り組んでくれました。中には美大の学生やイラストレーター、デザイナーなど作り手の方々も多く、この講座から今後の制作や活動につながるヒントを得た方もいたかもしれませんね。藤田先生、参加者のみなさん、ありがとうございました。

講義の様子


鏡とライトテーブルを使った遊び

蓄光塗料のボードを使った遊び

制作の様子

制作の様子

さわる絵本作りの作業

さわる絵本の作りの作業

より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

このページに関するお問い合わせ

板橋区役所
〒173-8501 東京都板橋区板橋二丁目66番1号
電話:03-3964-1111 ファクス:03-3579-2028
板橋区役所へのお問い合わせや相談は専用フォームをご利用ください(政策経営部 広聴広報課に送信されます)。