2025年5月17日 ギャラリートーク
「あの時の風景 あの風景を見つめる目」展の、当館学芸員による2回目のギャラリートークを開催しました。
今回は北九州で生まれ育ち、長年板橋区前野町に暮らした寺田政明の作品を中心にお話しました。
この作品は、寺田政明が東京で最初に暮らし、太平洋画会洋画研究所(後の太平洋美術学校)があった谷中を描いたものです。作品名《谷中真島町(モデル坂付近)》とあるように、絵画モデルの斡旋所があったことから、モデル坂と呼ばれた付近の様子が、荒々しい筆遣いで表現されています。フォービスム(野獣派)の流行を意識したようなこの作品からはじまり、時代や寺田政明自身の内面を反映したような風景画を、年代を追ってご紹介しました。
その後、寺田はシュルレアリスムと出会い、戦後に「池袋モンパルナス」から板橋区前野町に引っ越し、亡くなるまで前野町の風景や生き物を描き続けました。展示室では広い空間で寺田のみた風景を追体験していただけます。
あいにくの天気にもかかわらず、ご参加いただきありがとうございました(参加者5名)。
「あの時の風景 あの風景を見つめる目」展は6月15日(日曜日)まで開催します。
ご来館をお待ちしております。