2025年8月6日 ティーンズ絵本のアトリエ

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ページ番号4001999  更新日 2025年8月7日

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板橋区立美術館では、小学生向け、イラストレーター向けなど、さまざまな対象に向けて絵本づくり講座を実施しています。8月6日には、中高生に向けの絵本づくり講座「ティーンズ絵本のアトリエ」を実施しました。1日で絵本づくりやそのコツについて学ぶものです。
講師は、絵本作家のなかむらしんいちろうさんです。なかむらさんは、絵本やイラストのお仕事をしながら、女子美術大学や日本児童教育専門学校などで絵本について教えていらっしゃいます。当館ともかかわりが深く、過去にはイラストレーター向け絵本づくり講座である「夏のアトリエ」に参加してくださっていたり、近年ではこの中高生向けの絵本講座の講師を担当されています。

10時ころに全員が集合しました。今回、参加者のみなさんには、それぞれ好きな絵本を持ってきてもらうようにお願いしていました。自己紹介がわりに、それぞれ持ってきた絵本を見せあったり、どういう絵本かを紹介してもらいました。

なかむら先生はまず、ご自身のつくった絵本『ラピちゃんのあまやどり』を見せながら、絵本制作の手順をお話してくれました。まずラフスケッチを描き、それを冊子状(ダミー本)にして検討する作業を繰り返し行い、そこから絵本原画を制作したそうです。持ってきてくれた絵本原画は水彩絵の具で描かれており、雨をテーマとした作品の雰囲気にあわせて、さまざまな工夫をしたとのことでした。また水彩絵の具の場合、乾かしながら描いていく必要があります。そのため、原画を描く時は、一枚ずつ描くのではなく、すべてのページを同時進行で描いていったそうです。

その後、参加者にはそれぞれ白い横長の画用紙が配られました。それらを二つ折りにしたあと、その内側に絵をつくっていきます。なかむら先生は、今回たくさんの折り紙を持ってきてくれました。それぞれ四角や丸、三角のかたちをしています。これらの紙を組み合わせることで、ヨットや家など様々なものをつくることができます。色鉛筆などの画材をつかうのではなく、色と形の構成を中心にして絵をつくってていきます。だんだんとカエルや家など、様々なものができあがっていきました。最初は緊張気味だった参加者も、制作していくうちに少しずつ打ち解けていきました。
このワークのあとは、みんなでお話しながらの昼食となりました。

午後からは、キャラクターについてお話くださいました。キャラクターは、絵本にとってとても大切な要素です。例えば同じ猫のキャラクターであっても、さまざまなバリエーションがあります。今回の参加者のなかには、すでに自分のキャラクターを持っている人もいました。こうしたキャラクターをより深めていくために、三面図(正面・側面・背面から捉えたもの)を描いたり、生年月日や家族構成、年齢、趣味などを考えていきます。
また、そのキャラクターが暮らしている場所の絵地図を描いていきます。カエルのキャラクターなら川のそばに住んでいたり、学生なら通っている学校やコンビニなどを描き込んだり・・・。このようにキャラクター自身やその周辺についての密度を高めていくことで、新たなストーリーが生まれたり、絵本を制作するときの手助けになります。もちろん絵本だけでなく、漫画やアニメなどでも活用できるものです。さまざまな関心を持っている参加者にとっても、興味深いものだったのか、それぞれじっくりとキャラクターや絵地図づくりに取り組まれていました。

そのあとは、ハードカバーの本の製本を行いました。画用紙とボール紙をつかい、切り貼りしながらそれぞれ一冊の本をつくっていきます。1時間ほどで、白い横長の本ができあがりました!大人でも大変な作業が多いですが、全員丁寧に作業をしていました。午前中に折り紙をつかって制作した絵も一緒に製本した人もいました。
残りの時間では、つくった本の中に絵を描いたり、表紙を描きます。最後に、それぞれが描いたものを見せ合いました。なかむら先生は、ひとりひとりにコメントしてくれました。

1日がかりのながい講座でしたが、みんな集中して取り組まれていました。ぜひ今回の講座をきっかけに、キャラクターを考えてみたり、絵本をつくってみたりしてくれると嬉しいです。参加者のみなさま、なかむら先生、ありがとうございました!

なかむら先生が自身の絵本を紹介

折り紙で絵をつくる

キャラクターについて説明する

製本をする