2025年3月16日 エド・イン・ブラック記念講演会
3月16日(日曜日)にエド・イン・ブラック展の記念講演会「墨:日本美術のなかの黒」を開催しました。
講師は島尾新氏(元学習院大学教授、『国華』編輯委員)です。
展覧会であまり触れることのできなかった「墨」についてお話いただきました。
現代の日本では「墨離れ」が起きていて、日常的に墨の魅力を感じる機会が少なくなっているようです。
このため、まずは様々な画像や映像から、墨の美しさについてご紹介いただきました。
そもそも墨とは何が原料でどのように作られているのでしょうか。
墨は煤を膠で固めたもので、大きく「松煙」と「油煙」に分けられます。
煤を作る様子は神秘的で、なかなか知ることのできない様子をお教えいただきました。
墨の歴史についてもお話いただきました。
中国での伝説や日本での現存例など、墨は古くから東アジアで用いられていたことがわかります。
また、源氏物語などの文学上でどのように「墨」という言葉を記されているかご紹介いただきました。
最後に展示中の作品の墨の使い方や表現について、解説してただきました。
狩野了承「二十六夜待図」、森一鳳「星図」については『美術の窓』3月号の「墨縁談義」にも詳しく書かれています。
墨という伝統的な日本の絵画のほとんどに用いられている画材について、様々な視点からお話いただき、その魅力を感じることができました。
島尾先生、ありがとうございました。