2025年7月5日 夏のアトリエ・最終日

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ページ番号4001986  更新日 2025年7月15日

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クリスさんによる夏のアトリエ、ついに最終日です。

午後の発表に向けて、みんな必死に制作を進めます。これまでの4日間は、クリスさんといっしょにお昼ごはんを食べていたのですが、今日は制作の間にお昼を取っている人も多かったように思います。最後の最後までどのような結末にするか悩んだり、絵に手をいれたり・・・。これまでの4日間に学んだことを取り入れながらの制作です。
その間にも、クリスさんはすべての受講生の机をまわり、アドバイスをしたりお話をしてくれていました。
 

午後になり、発表・講評の時間です!
受講者は、この5日間をかけて、それぞれ用意していた2つのイメージを組み合わせ生まれたイメージをもとに、絵本のストーリーボード(16見開き、32ページ)と、そこから2場面を選んで絵を制作しました。発表はひとり3分ほど。短い時間なので、事前にストーリーの要約をしてもらいました。ひとりずつ発表していき、その都度クリスさんがコメントをしてくれます。
1日目に、受講者はそれぞれが持ってきた2つのイメージとともに自己紹介をしました。芹沢銈介と和田誠、杉戸洋とミロコマチコ、ジョセフ・コーネルと倉俣史郎、古代メキシコと田中一光、ミナ・ペルホネンとわかやまけんなど、その人それぞれの関心と組み合わせから生まれた物語やイラストに、クリスさんも他の受講生も興味津々です。

この講評の際、クリスさんはアドバイスのひとつとして「SHOW, DON’T TE LL」ということわざのような言葉を教えてくれました。これは、語らずに示す、つまり言葉で語りすぎないように、という意味をもつものです。言葉がかえって物語を複雑にしたり、限定しすぎてしまうことがあります。そうではなく、例えば会話や絵の表現でストーリーやキャラクターの心情を感じさせることが大切とのことです。
クリスさんはその作品のいいところを指摘しながらも、その作品がよりよくなるようなアドバイスも伝えてくれました。それは作品のテンポやリズム、キャラクターなど、これまでクリスさんがお話してくれたことが反映されているものも多くありました。

無事に全員分の発表・講評が終わり、最後にはクリスさんが描いた「修了証」をお渡ししました。夏のアトリエ期間中に、クリスさんが制作してくださったものです。クリスさんが、受講生の名前とご自身のサインも入れてくださいました。大変な5日間を乗り越え、嬉しそうな様子で終了証を手に持っていました。


今回の「夏のアトリエ」のテーマは、自分の「声」を見つける、というものでした。絵本をつくりたいと思いながらも、その方向性に悩んでいるイラストレーターたちにとって、事前課題であった自分の好きなイメージを2つ見つける、というところから、「声」を探すための旅ははじまっていたように思います。
選んだイメージも、受講生のみなさんの作品も、それぞれに異なる特質、ヴィジュアル・ランゲージ(視覚言語)を持っています。異なる「声」から生まれた、絵本のためのキャラクターやストーリー。毎日の講座とエクササイズ、そしてクリスさんとの対話を経て、それらに合うかたちを試行錯誤する5日間だったのではないでしょうか。
クリスさん自身も試行錯誤のなかで、クリスさんなりの「声」を見つけていっています。今回、自作の絵本を題材としながら、そうした軌跡を惜しげなく丁寧に、そして何より論理的に教えてくださいました。色々なことに関心があり、勉強熱心なクリスさん。受講生ひとりひとりのイラストや考えに関心を持ち、向き合ってくださいました。そうした真摯な姿勢も、受講生にとって刺激となったように思います。

クリスさん、そして素晴らしい通訳をしてくださった森泉文美さん、本当にありがとうございました!そして受講生のみなさんのお力によって、素晴らしい夏のアトリエとなりました。この夏のアトリエが、皆さんの次の活動につながるものとなることを願っています。


制作の様子

発表の様子

発表の様子

クリスさんと森泉さんと当館学芸員