2025年7月2日 夏のアトリエ・2日目

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ページ番号4001983  更新日 2025年7月12日

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クリスさんによる夏のアトリエ2日目。今日のテーマは「キャラクター」です。

クリスさんは、キャラクターをよくコラージュで制作されるそうです。キャラクターはなるべくシンプルにすることが大事であるとのことで、確かにクリスさんのキャラクターはとてもシンプルだからこそ、かわいらしさやおかしみが感じられるものになっています。
また、色に惑わされたくないということから、制作の際は白黒ではじめることも多いとのことでした。元々ドローイングが好きで、学生時代などは、ほとんど白黒のみで制作されていたというクリスさん。初期の作品についても、白黒がベースになっていたといいます。しかしながら、今出版されている絵本はいずれもカラフルです。

このことについて、絵本を作る前に行った、フェアトレードの雑貨を取り扱うピープルツリーでの仕事を例にお話くださいました。ピープルツリーのために制作したシルクスクリーンのカレンダーのデザインは、白黒で描いた絵をベースにしながらも、背景にビビッドな色を使っています。このときのやり方が自分にあっていたそうで、例えば木であれば緑を使うという必要はなく、どんな色をつかっても大丈夫なのだと気が付いたことで、クリスさん自身にとっても飛躍になったそうです。その後、物語を語るのにはどのような色を使えばいいのかが、わかるようになっていったといいます。
また、過去に行われた実験を引き合いに、キャラクターや人物の絵のなかでは、目や顔が一番注目されており、人はほとんど顔しか見ていない、ということも教えてくれました。また、キャラクターが正面ではなく別のところを見ている場合は、何を見ているかについても人は関心を持っているとのことでした。


クリスさん キャラクターについて話している様子


講義のあとには、キャラクターに関するエクササイズを行いました。
前日に作業した、2つのイメージを組み合わせた場面をもとにしたキャラクターを使って「Before」と「After」と、2つの場面を制作します。白い紙の上に、白と黒とグレーの3つの色の紙をコラージュしながら、なるべく簡略化し、自分のキャラクターに合った動作を考えるようにとのことでした。
キャラクターがある場面にどう反応するかを考えることによって、お話が動いていくとクリスさんは話します。「シークエンス」、つまり場面の展開やお話の連続性の大事さについて、講座のなかで繰り返しお話してくださいました。

このエクササイズは1時間半ほどの時間をかけて実施しました。出来上がったものは壁に貼り、クリスさんとみんなで一緒に作品を見ていきます。
Beforeの画面には、何かが起きそうな「兆し」のような、期待感の出るものを入れると効果が出やすいとお話くださいました。また、絵によっては、より効果が見えやすくなる方法の提案などもしてくれます。他の参加者の多種多様な作品にも、興味津々の様子です。
短い時間のなかで、紙をコラージュしてつくるという制作方法は、こだわりすぎずに思い切りつくれたという意見もあり、そのあとの制作にプラスとなった参加者もいた様子でした。

クリスさんは、このエクササイズを受けて、口承伝承や絵本には3つの規則があると話してくれました。まずリアクションがあり、それが一度繰り返された後、次にサプライズ的な別の動きが起こる、というものです。こうしたお話を語っていくうえで、この2つの場面を制作するエクササイズは一番シンプルで、基本的なパターンであると言います。特に小さな子どもにとっては、シンプルであればあるほど伝わるといいます。繰り返すということも、シンプルなものであれば子どもたちは次のシークエンスから参加することができ、お話についていきやすいとのことでした。こうしたお話の流れ、動きを学ぶことによって、自分の制作する絵本の中にシークエンスを生むヒントとなるとお話してくれました。

エクササイズの様子

エクササイズで作られた作品の前のクリスさん、森泉さん


午後からは、昨日の制作のつづきです。
途中で、みんなの様子を見て、「明日話そうと思っていたことだけど」と、3日目に話す予定だった「Storyboading」を先行して少しお話してくれました。自身の絵本である『しーっ! ひみつのさくせん』を参考に、制作にあたって制作した、16見開きのラフを見せてくれました。こうしたものを編集者に見せて、内容をよりよいかたちに変更していったそうです。
明日はこのストーリーボードについて、さらに深めていきます。