2025年4月26日 原田光氏講演会「隅田川岸をさまよう 長谷川利行の1930年代」
展覧会初日の4月26日に美術史家の原田光氏に「隅田川岸をさまよう 長谷川利行の1930年代」と題してご講演いただきました。
長年、長谷川利行や彼を慕った靉光、麻生三郎、寺田政明といった画家たちの紹介を展覧会や論考で紹介されてきた原田氏。
今回は板橋の所蔵作品である《水泳場》を中心に、隅田川や東京の街を描いた作品についてお話しいただきました。
鮮やかな色彩を使い、荒い筆致で描かれた建物はおおざっぱに見えてしまいますが、実はリアルであると原田氏は指摘されます。
当時の写真と見比べてみると、《水泳場》に描かれたプールと周囲の建物、ガス灯などはそのままに描かれていることがわかります。
また、プールを取り囲む群衆は一見、ごちゃっとしているようだけれども、きちんと描き分けられているのも特徴的だとのこと。
講演の中では、本展では紹介していない利行の作品もスライドでお示しいただき、利行が街をどのように見て、描いたのか、その思考や創作のプロセスがほんの少しだけ解き明かされたようにも思われました。(参加人数45名)
展覧会ではご講演で触れていただいた《水泳場》《靉光像》のほかにも利行が街や人物を描いた作品を複数展示しています。
実物をぜひご覧ください。