2025年9月20日 狩野派の中の人講演会
現在開催中の「館蔵品展 狩野派の中の人 絵師たちのエピソード」の関連イベントとして講演会を開催しました。
講師は池上本門寺霊宝殿学芸員の安藤昌就氏です。
「狩野典信「日蓮聖人縁起絵巻」にみる中の人」というテーマでご講演いただきました。
江戸狩野派の多くの家が日蓮宗を信仰しました。日蓮宗の大本山である池上本門寺は狩野派の菩提寺でもあります。
今回の講演では、木挽町狩野家6代目当主の狩野典信について、「日蓮聖人縁起絵巻」とともにお話いただきました。
「日蓮聖人縁起絵巻」は典信が安永9年に仕上げ、翌年の日蓮大聖人五百遠忌を期して池上本門寺に奉納された絵巻です。
それまで広く流布した「日蓮聖人註画讃」とは異なる独自の絵巻であり、典信と彼の母である妙性尼の信仰を色濃く含んでいます。
残念ながら、典信の描いたものは空襲により焼失しましたが、岡山県津山市の妙法寺が所蔵する摸本は、典信の在世中に作られた極めて良質なものです。
この摸本をもとに典信たちの信仰や、典信の周囲の人々への想いなどをお話いただきました。
また、典信のお墓や位牌から、彼が木挽町狩野家にとって非常に重要な人物であったこともわかります。
そのことも写真とともにご説明いただきました。
狩野典信やその周辺の人物たち、木挽町狩野家について理解が深まるとともに、典信という人物へ親しみを持つことができるご講演で、ご参加の皆様も熱心に聴講されていました。
安藤先生、ありがとうございました。
展覧会は9月28日(日曜日)までです。ぜひお越しください。
(参加者56名)