2025年12月21日 さわる絵本ひろば

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ページ番号4002023  更新日 2025年12月25日

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12月21日(日曜日)の午後、「さわる絵本ひろば」を開催しました。
板橋区立美術館では、2020年頃より、特にイタリアの「さわる絵本」を収集しています。さわる絵本とは、視覚に障害のある方に向けてつくられた、触察絵本のことです。紙や布など、さまざまな素材でつくられており、その触り心地によって、絵本の世界を楽しめるようになっています。
当館には現在30冊以上のさわる絵本がありますが、常設展示室がないこともあり、展示機会がそれほど多くありません。今回は、いろんな方にさわる絵本を親しんでいただこうと企画しました。

今回は、ローマにあるイタリア全国視覚障害者支援施設連盟で制作されたものを中心にしつつ、日本の点字つきさわる絵本や、フランスのさわる絵本も展示しました。展示総数は40冊以上となります。
この企画を目的にお越しくださった方もいれば、通りがかりに偶然ご覧になってくれた方もいらっしゃいました。お子様連れで、ゆっくり見て回ってくださった方も。お越しいただいた方の多くは、こうしたさわる絵本にはじめて出会った方たちです。どのように見るのかや、それぞれの絵本の特徴などをお伝えしながら、自由にご覧いただきました。
以前、イタリア全国視覚障害者支援施設連盟のピエトロ・ヴェッキアレッリさんが来館された際、自身らが制作するイタリアのさわる絵本について、「これらは教育的な目的の本というよりも、子どもたちの感性を刺激し、他者とのコミュニケーションを育むための本」というお話をされていました。今回のイベントも、絵本にさわりながらも、さまざまなところで会話が生まれているところを目にすることができました。

帰国中だった、さわる絵本についても詳しい、イタリア在住の森泉文美さんもお越しになりました。この時期にあわせて、「さわるクリスマス」のご提案をしてくださいました。その場にいた方に声をかけ、一斉に布の中に手をいれてみます。それぞれが手に触れたものについて何なのかと話していきます。
クリスマスのイタリアでは「プレゼピオ」と呼ばれる、キリストの降誕を題材にしたジオラマを飾ります。聖母マリアやキリスト、父ヨセフや東方三博士、羊などの小さなフィギュアを並べて、馬小屋でキリストが生まれた風景を再現するのです。布の中にあったのはそのフィギュアたち。なにを触っているのだろうと不思議な顔をしていた人たちも、その正体がわかったとき、わっと声があがりました。それを並べていき、小さなプレゼピオの完成です。
知らないものに触れ、出会うワクワク感と、新しいことを知る学び、そしてそれを組み立てていく楽しみなど、さまざまな要素が入ったものだったと思います。森泉さん、素敵な企画をありがとうございました。

さまざまな方に「さわる絵本」に親しんでいただくために、今後もこうした企画を開催していく予定です。
お越しいただいたみなさま、ありがとうございました!

展示風景

さわるクリスマス

プレゼピオが完成したところ