2025年11月29日 戦争と子どもたち展 小林エリカ氏講演会
作家でアーティストの小林エリカさんによる講演会「子どもたちの戦争」を開催しました。
「戦後80年 戦争と子どもたち」展の担当者が展覧会の準備にあたり、読んでいた1冊が小林エリカさんの『女の子たち風船爆弾をつくる』(2024年)でした。太平洋戦争末期、「風船爆弾」作りのために女学生たちが集められました。小林さんが資料調査や取材をもとにまとめられた同作では、知られざる歴史の一面を明らかにするとともに、「女の子たち」のリアルな心情までもが描き出されており、展覧会作りにあたって刺激を受けました。
今回のご講演では、最初に2023年に行われた『女の子たち風船爆弾をつくる』の音楽朗読劇の一場面を動画でご紹介いただきました。「女の子たち」の言葉が音となって広がり、その時代に誘われるような感覚を受けました。小林さんからは当時秘密兵器だった「風船爆弾」の目的や製造、アメリカでの被害についてもご紹介いただきました。「風船爆弾」については、明治大学平和教育登戸研究所資料館で詳しい展示が行われているそうです。

小林エリカさんの『親愛なるキティーたちへ』(2011年)とも繋がる、アンネ・フランクと同じ年に生まれたご自身のお父様の戦時中の日記のお話、戦時中には「風船爆弾」の工場となってしまった東京宝塚劇場と歌劇団の少女たちのお話も伺いました。
『女の子たち風船爆弾をつくる』を発表された後も、風船爆弾に関する情報が寄せられているとのこと。今回の講演にもご親族が風船爆弾の製造に携わったという方々からお話がありました。
戦争も含め、さまざまな出来事を「無かったことにしない」ことが大切だという小林さんのお言葉が印象的でした。
小林エリカさん、お忙しい中お話をいただき、ありがとうございました。

