コラム「史跡公園実験室」第1回

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ページ番号1031747  更新日 2023年3月14日

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発見!板橋火薬製造所を走っていた電気機関車

 史跡陸軍板橋火薬製造所跡には、現在も軽便鉄道の線路敷跡が残されています。この鉄道路線は明治39年(1906)に敷設されたのち徐々に延伸され、板橋区・北区に展開した軍の工場や施設間を結び、物資や製造された製品などの運搬に用いられていました。扱っているものが火薬類であり、可燃性の燃料を用いた機関車を走らせることはできないため、軽便鉄道には電気機関車が走っていました。

 このたび行った、国立国会図書館での資料調査の結果、板橋火薬製造所の時代に線路敷を走っている電気機関車の様子を確認することができました。当時の陸軍造兵廠が発行していた『造兵彙報』という雑誌(昭和7年(1932)1月20日発行号)に、「大正12年4月」(1923)当時のものとして、「王子板橋間」を運行する「蓄電工場車」として画像が掲載されています【写真1】。その説明には、「牽引力15t時速16km」で、おもに「船渠より陸揚せる石炭コークスの運搬工事用材料の配給」に用いられていたと記されています。その運行のための電力は、「十條構内配電室内に容量150K・V・A・回転変流機2台を備へ電圧500Vの直流を供給す」とあり、十條製造所内に制御設備があったことが分かります。また運搬する際には、電気機関車に画像のような「貨車」をつないで使用していました【写真2】。

 これまで文字資料のみでの記録や、推論で説明されてきた軽便鉄道について、より詳細な画像資料を確認したことにより、具体的なイメージをもって今後の史跡整備にあたることができればと思います。

蓄電工場車の写真
【写真1】王子板橋間を運行する蓄電工場車
(国立国会図書館所蔵『造兵彙報』第10巻特別號、177頁より)
貨車の写真
【写真2】貨車
(国立国会図書館所蔵『造兵彙報』第10巻特別號、177頁より)
軽便鉄道の線路敷跡
【写真3】現在の史跡指定地内に残る、軽便鉄道の線路敷跡

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