コラム「史跡公園実験室」第15回 津々浦々を旅する史跡
定員の2倍!
2025年4月12日(土曜日)、講座「津々浦々を旅する史跡。」を開催しました。
今回は、なんと募集定員の約2倍ものお客様からのご応募がありました。会場の広さなどの都合から定員以上の人数をお招きすることは叶わず、残念ながら抽選で参加者を決定させていただきました。ご応募くださった皆さま、ありがとうございました。
なお今回の講座の詳しい内容は、今後なんらかの手段でアーカイブスすることを検討しています。詳しくはホームページまたはSNSでご案内いたします。
意外と「グローバル」
今回の講座のテーマは、史跡「陸軍板橋火薬製造所跡」と「日本、世界各地とのつながり」です。
「板橋にある産業遺産」と聞くと、どこか「ローカル」な印象をお持ちではないでしょうか?しかし、丁寧に歴史を振り返れば、この場所が常に日本や世界中の地域、人、物、知識、技術と密接な交流関係を持ち続けて来た過去が浮かび上がってきます。それはローカルとは正反対に、「グローバル」な姿なのです。
そこで今回は史跡とさまざまな場所との関係性に注目する講座を企画しました。
発見は突然に?調査の舞台裏
また本講座では、歴史そのものだけではなく、学芸員が史料を発見した経緯や調査の裏話も詳しくお話ししました。
例えばポスターのビジュアル写真に選んだ「鉛ブロック」。一見する限りでは何の変哲もないブロックですが、実は去る2024年の秋、史跡である取材を受けていた最中に、建物の中で偶然発見したもので、理化学研究所の宇宙線研究室が宇宙線の観測装置と一緒に使っていた貴重な資料だということがわかりました。
鉛ブロックと津々浦々
さまざまな史料を使って丁寧にリサーチを重ねた結果、このブロックは戦前、宇宙線研の本拠地だった駒込に始まり、戦時中に宇宙線の観測を行っていた麻布、そして疎開先の金沢を経て板橋にやってきたことがわかりました。それと同時に、ブロックと共に活動の場所を転々せざるを得なかった宇宙線研究室の姿も浮かび上がって来たのです。史跡の中にひっそりと残っていた鉛ブロックは、戦前、戦後の科学研究ありようまでも示していたのです。
ブロックの見つけたこと自体は些細な出来事かもしれませんが、宇宙線研究室の歴史を考える大切なヒントを与えてくれた貴重な発見となりました。
この史跡には、実際に見たり、話を聴いたりしながら、歴史や文化をじっくり考えることができる楽しみがあります。そんな魅力をいかしたプログラムを今後も開催する予定です。ぜひご参加ください!
補足
鉛ブロックを発見した日に取材を受けた「やるね板橋」は、下記リンク先で公開されています。ブロックについては言及していませんが、旧理研の建物の雰囲気を味わうことができますので、ぜひご覧ください。
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