板橋区史跡公園(仮称)
板橋区史跡公園(仮称)は、板橋区加賀一丁目に所在する「史跡陸軍板橋火薬製造所跡」を整備し、当時の遺構や建造物を含めて公開を行う歴史公園です。現在はグランドオープンに向けて、計画の策定や調査研究を進めています。


史跡陸軍板橋火薬製造所跡とは
板橋火薬製造所は、明治9年(1876)、現在の板橋区加賀地域に所在した加賀藩下屋敷の跡地に設置された官営工場です。明治政府が初めて設置した近代的な火薬製造所であり、昭和20年(1945)まで国内有数の火薬工場として稼働していました。
第二次世界大戦後、火薬製造所はその役割を終え、その跡地には研究所や学校、工場などが入居することになり、現在につながる加賀地域へと姿を変えてきました。板橋区は、明治初年からの火薬製造所の歴史を、「工都」板橋における工業のさきがけとして位置付けるとともに、その遺構や建造物を近代化遺産・産業遺産として評価しています。また、製造所内に置かれていた火薬研究所による最先端の研究が、戦後日本の科学技術の発展に大きな貢献を果たしたことも重要な点です。
こうした近代的な火薬製造所と研究所の歴史的価値が認められた結果、平成29年10月、加賀一丁目7および8番の地域とそこに残された火薬製造所の遺構や建造物を含め、国の史跡に指定されました。
板橋区史跡公園(仮称)の整備にむけて
板橋区史跡公園(仮称)の整備にむけた取り組みを紹介します。
整備スケジュール
板橋区史跡公園(仮称)は、令和11(2028)年度のグランドオープンをめざしています。
近代化・産業遺産を保存活用した史跡公園は、都内初となります。現在は計画作業や調査研究を進めており、その成果に基づき、設計作業や整備工事を行う予定です。
これまでの主な取り組み
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年
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主な出来事
- 平成26年(2014)
- 旧東京第二陸軍造兵廠内火薬研究所抔近代化遺産群調査団を組織し、板橋火薬製造所の遺構に関する学術調査を開始。
- 平成28年(2016)
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調査成果を『旧東京第二陸軍造兵廠火薬研究所 近代化遺産群調査報告書』(文化財シリーズ96集)として刊行。
板橋区史跡公園(仮称)整備構想委員会を設置。
- 平成29年(2017)
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追加調査の成果も踏まえた『陸軍板橋火薬製造所跡調査報告書』(文化財シリーズ97集)を刊行。
「板橋区史跡公園(仮称)基本構想」を策定。
板橋区加賀一丁目7および8の敷地が、国史跡「陸軍板橋火薬製造所跡」に指定。
- 平成30年(2018)
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史跡陸軍板橋火薬製造所跡保存活用計画整備基本計画策定委員会を設置。
株式会社トプコン、日本大学生産工学部創生デザイン学科中澤研究室、ボローニャ大学、板橋区の産官学連携プロジェクトとして史跡の建物調査を実施。
史跡指定後初めて、建物を見学する文化財講座を開催。
- 平成31・令和元年(2019)
- 史跡陸軍板橋火薬製造所跡保存活用計画を策定。
- 令和2年(2020)
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史跡陸軍板橋火薬製造所跡整備基本計画を策定。
新型コロナウィルスのパンデミックが発生。史跡に関する調査研究活動を促進。
- 令和3年(2021)
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株式会社トプコンの最新技術を活用し、史跡全域の3D測量調査を実施。
日本大学生産工学部創生デザイン学科中澤研究室との共同研究により、史跡の3Dモデル化に成功。
- 令和4年(2022)
- 板橋区史跡公園整備準備展覧会シリーズを開始。初年度は”工都”光学産業展を開催。
- 令和5年(2023)
- "工都"印刷産業展を開催。
保存活用計画・整備基本計画
板橋区では、史跡の価値を未来に向けて保存し、活用するための指針となる保存活用計画と、その具体的な整備方針と史跡のみならず周辺地域の魅力を引き出し発信するために「整備基本計画」を策定しました。下記のページで、そのデータを公開しています。
策定にあたっては、学識経験者、関係団体の代表者からなる「史跡陸軍板橋火薬製造所跡保存活用計画・整備基本計画策定員会」を組織し、貴重なご助言とご指導を賜りました。
史跡指定地の概要
史跡指定地の歴史
史跡指定地の現状
「国史跡陸軍板橋火薬製造所跡」は、石神井川を挟んで大きく2つの地区に分かれています。この場所は板橋火薬製造所全体の一部分ではありますが、現在も戦前の遺構や建造物が多数残されています。戦後は国史跡指定地のうち、石神井川の南岸側には野口研究所が、北岸側には理化学研究所がそれぞれ入居して約70年間使用されてきました。また隣接する南岸東側の加賀公園は、現在も区民の憩いの場となっています。
なお、旧野口研究所跡地および旧理化学研究所跡地については現在、整備に向けて準備をしており、公開しておりません。今後は遺構群を調査研究し、適切な保存処置を施したのち、史跡公園として整備して公開することを予定しています。
史跡指定地内の主な遺構
旧野口研究所跡
- 爆薬製造実験室 (PDF 320.8KB)
- 燃焼実験室 (PDF 273.3KB)
- 弾道管 (PDF 388.1KB)
- 常温貯蔵室 (PDF 358.2KB)
- 加温貯蔵室試験火薬仮場 (PDF 1000.5KB)
- 加温貯蔵室 (PDF 968.3KB)
- 軌道敷き (PDF 2.9MB)
- 試験室(NO.552) (PDF 443.4KB)
- 試験室(NO.672) (PDF 501.5KB)
- 射垜(しゃだ) (PDF 1013.7KB)
- 土塁 (PDF 596.8KB)
- 発射場基礎 (PDF 450.2KB)
- 擁壁 (PDF 1.0MB)
- 銃器庫 (PDF 469.9KB)
旧理化学研究所板橋分所跡
関連する主な文化財
旧東京第二陸軍造兵廠建物群(東京家政大学構内)(区登録有形文化財〈建造物〉)
加賀五四自治会(肥田一穂氏寄贈)文書(区登録有形文化財〈古文書〉)
加賀前田家下屋敷跡(区登録記念物〈史跡〉)
招魂之碑(明治35年陸軍板橋火薬製造所爆発事故)(区登録有形文化財〈歴史資料〉)
板橋区史跡公園(仮称)のオープンにむけて―コラム「史跡公園実験室」―
板橋区史跡公園(仮称)および国史跡陸軍板橋火薬製造所跡に関して、担当学芸員によるコラムを不定期で更新します。
- 第1回 発見!板橋火薬製造所を走っていた電気機関車
- 第2回 傾げる標柱、動く境界線 その1
- 第3回 傾げる標柱、動く境界線 その2
- 第4回 最後の工都展がはじまります!
- 第5回 昭和20年代のものだった!机をめぐる物語
- 第6回 文化財講座をアーカイブする(1)
- 第7回 文化財講座をアーカイブする(2)
- 第8回 文化財講座をアーカイブする(3)
情報をお寄せください
板橋区史跡公園(仮称)の整備に向けて、皆様からの情報を募集しています。東京第二陸軍造兵廠(二造)や戦後に入居した野口研究所、理化学研究所板橋分所などについて、写真、映像、書類のほか、ご自身やお知り合いの体験談などがございましたら、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。
また、板橋区史跡公園(仮称)では、X(旧Twitter)による情報の発信を行っております。皆様に史跡公園を身近に感じていただけるような内容をつぶやいておりますので、気軽にご覧ください。
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このページに関するお問い合わせ
教育委員会事務局 生涯学習課 近代化遺産担当
〒173-8501 東京都板橋区板橋二丁目66番1号
電話:03-3579-2664 ファクス:03-3579-2635
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