電子展示室80号「いたばし商店街小史」

こうぶんしょ館電子展示室80号

「いたばし商店街小史」

東京都産業労働局が実施した「平成25年度東京都商店街実態調査」によれば、板橋区内にはちょうど100ヶ所の商店街があります。
これは東京23区では8番目に多い数です。今回の「こうぶんしょ館電子展示室」では、板橋の商店街について、過去のデータや懐かしい写真から見ていくことにしましょう。

板橋区商店街連合会の誕生

『板橋区史　通史編　下巻』（1999年、板橋区史編さん調査会編）の第9章第2節「商店街再興への足跡」によれば、戦後まもない昭和24年（1949）8月現在、板橋区内の商店の数は2,829店ありました。その業種別の内訳は下の表の通りです。

この表を見てもわかるように、飲食料品関係や生活雑貨関係のお店といった身近な暮らしに関わる業種が多かったことがわかります。その後、朝鮮戦争特需によって消費水準が向上してくると、衣服、ミシン、ラジオなどの商品を扱うお店も増えるようになり、それにともなって商店街が形成されるようになっていきます。

昭和25年5月には、板橋区商工会が発足し、昭和27年に区内の40近い商店街で開催された「板橋区商業祭」を経て、昭和28年5月23日、板橋区商店街連合会（区商連）が、44の商店街、3,127名の会員で誕生します（区商連20周年記念誌『20年のあゆみ』より）。

昭和29年（1949）8月　板橋区内商店街　業種別数一覧

順位	業種	店舗数
1	菓子屋	303
2	飲食店	250
3	青果店	194
4	酒店	142
5	魚屋	118
6	煙草屋	117
7	荒物雑貨店	115
8	漬物・食糧雑貨店	87
9	自転車屋	83
10	乾物屋	80

※『板橋区史　通史編　下巻』（1999年、板橋区史編さん調査会編）より作成

仲宿商店街の歴史

このような古い歴史を持つ板橋区の商店街のなかでも、もっともはやい時期に誕生した商店街の1つが「仲宿商店街」です。仲宿は、旧中山道の最初の宿場町「板橋宿」の中枢であり、江戸時代から商店が軒を並べて建っていました。その仲宿に商店会が結成されたのは、昭和24年（1949）8月のことです。乗蓮寺本堂で仲宿商店会創立総会を開催し、73名の会員で発足しました。

昭和27年には各店舗にネオン広告灯を設置し、街路灯も整備します。その後も28年には街頭放送の設備を整えて宣伝を行ったり、29年には宣伝映画「伸びゆく仲宿商店街」を16ミリで作成するなど、意欲的な活動を続けていきます。そして昭和30年にはネオンアーチが建設され、商店街の顔がうまれます。

その後も、昭和43年には街路灯をすべて水銀灯にとりかえ、完成記念に「仲宿音頭」をつくったり、昭和46年からは、障害児への募金である「あゆみの箱」への協力を開始し、商店会の会員の店に募金箱を設置したり、チャリティーセールの売り上げを寄付するなど、積極的な社会奉仕活動を展開していきます。

仲宿商店会は、昭和63年（1988）11月、仲宿商店街振興組合に改組し、商店街の振興、活性化に向けて新たなスタートを切ります。平成元年（1989）には、往年の板橋宿を彷彿させるレトロなデザインの街路灯88基を新設、翌年には商店街のすべての街路がカラーブロック舗装され、ロゴマーク、シンボルマークもつくりかえるなど、意欲的な活動を続けています。

これからの商店街

平成17年（2005）4月1日に施行された「板橋区産業活性化基本条例」の第6条には、区の産業振興施策が定めてあります。その第3項には商店街についてこのような記述があります。
「区民の交流の場として、地域コミュニティの中心的な役割を商店街が担うことができるまちづくりを進め、商店街の振興を図ること」

このように商店街には、地域コミュニティの中心としての役割が求められています。地域に住んでいる人たちが、歩いていけるところに商店街がある。そこに地域の人たちが集まり、交流の場になる。そんな100の商店街が、今も区民の生活を支える重要な基盤となっているのです。皆さまもぜひ、近くにある商店街に足を運んでみませんか？何か新しい発見ができるかも…。

※板橋区公文書館には、今回紹介したような資料以外にも、板橋区に関する様々な資料が所蔵されています。皆さまのご来館を心よりお待ちしております。