こうぶんしょ館電子展示室66号「いたばしあの街角」

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ページ番号1009241  更新日 2020年1月25日

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こうぶんしょ館電子展示室66号

「いたばしあの街角」

昭和29年 2つの写真コンクール出品作品から

はじめに

昭和29年(1954)、板橋区では「商業写真コンクール」(主催:区役所、区商店街連合会)、「産業と観光写真コンクール」(主催:区役所、区産業連合会、区商店街連合会、および富士写真フイルム株式会社)と2つの写真コンクールが開催されました。
日本にとって昭和29年という年は、未だ戦争のにおいを残しつつも、戦後の新しい社会への脱皮をはかろうとしていた時期でした。3月に第五福竜丸がビキニ環礁での水爆実験の「死の灰」を浴び、11月にはこの事件をモチーフとした“水爆大怪獣映画”ゴジラが公開される一方で、4月には初の集団就職列車が青森から上野駅に到着して高度経済成長期の幕開けを告げ、後半期には経済規模も戦前の水準にまで回復しています。
そしてこの年は、板橋区にとってもシンボリックな1年でした。渋谷常三郎区長、篠統一郎区議会議長という体制のもと、はじめて区の人口が30万人を突破、「記念碑的な文化事業」と呼ばれた『板橋区史』(旧版)が2年半にわたる編さん作業を経て完成します。そして文化の殿堂である区民会館の建設も開始されます。区政映画「伸びゆく板橋区」が製作されたのもこの年です(完成は翌30年)。
戦後の混乱が落ち着きを見せ始める中、板橋区はこれらの取り組みを通して、区民の方々に板橋への「郷土愛」を深めてもらおうと、これら施策に取り組んだものと思われます。この2つの写真コンクールも、こうした流れの一環に位置づけられるものです。今回の電子展示室では、公文書館に大事に保管されている、この57年前の2つのコンクールへの応募作品のなかから、いくつかの写真をピックアップして展示いたします。
住民の方々の視線で撮影された「これぞ我が板橋」という思いのこもった珠玉の一枚から、在りし日の「いたばし」の街角に思いを馳せていただくと共に、戦後から9年という短い期間でここまでの復興が実現していたという事実を再確認することで、どのような苦境のもとからでも復興をなし得たという記憶を、区民の皆さまに知っていただき、また思い出していただければ幸いです。

コンクール出品写真の紹介

御愛キョー(青池嘉一氏撮影)

写真1
御愛キョー【写.00436】

写真コンクールの関連事業で行われた見次公園での撮影会の光景。香辛料の正しい使い方を各地で実演した、当時人気の「ヱスビーキッチンカー」に乗った二人の女性を撮影する多くの人々の姿が目に浮かんできます。

夜の市場内(澤田久次氏撮影)

写真2
夜の市場内【写.03710】

細い路地にはたくさんの商店。夜の大山商和会通りの光景です。たくさんの品物が並べられ、その活況ぶりが伝わってきます。また、今まさに路地を三輪のボードで駆け抜けようとする少年の姿も印象的です。

大山銀座(高橋雄一氏撮影)

写真3
大山銀座【写.03718】

ネオンの明かりが灯る大山銀座の夜景。「大山銀座通り」の看板の上にはネオンで作られたクジャクが、暗闇にそのまばゆい翼を広げています。商店街を行き交う人々の姿からは、明るい笑い声が聞こえてくるかの様です。

商店街(細井伊佐美氏撮影)

写真4
商店街【写.03711】

十丁目上町商店街の光景。「1の日特売」の幟を先頭に、懐かしい響きを奏でるチンドン屋さんが商店街を練り歩きます。夕焼け空のした、行列の後ろをいつまでもついて歩いていたあの日が思い出される光景です。

夜景(早川禎一氏撮影)

写真5
夜景【写.03838】

飯原蓄音機店前の光景。店頭には憧れのオーディオセット、壁に貼られた「セ・シボン」、「グレンミラー」、「街角のブルース」のポスターからは時代を感じさせます。店内には庶民にとっては未だ高嶺の花であったピアノ、ギターなどの楽器が飾られています。

無題 十丁目岩田屋前(細井伊佐美氏撮影)

写真6
無題 十丁目岩田屋前【写.03685】

店先には「本日特売 生菓子 全品一割引」、「いなり寿司 一ツ 七円」の文字も。明かりの灯る店内には、ラムネ瓶を傾ける親子の姿も見えます。

縁日の金魚すくい(青池邦和氏撮影)

写真7
縁日の金魚すくい【写.3714】

みんな大好き夏の縁日。金魚すくいをする子ども達の何とも真剣なまなざし。金魚すくいの達人はアッというまに仲間内のヒーローに。そんな時代を思い出させる光景です。

魚屋さん(萬里功氏撮影)

写真8
魚屋さん【写.03793】

白熱電球で照らされた店頭には、たくさんの魚が並べられています。
軒下には魚を買う白い割烹着を着た女性と、お釣りを渡す店主がやり取りをしている様子がみられます。

商店 大山にて(高橋雄一氏撮影)

写真9
商店 大山にて【写.03726】

大山銀座商店街の夜景。商店の明かりはまぶしいほどに照らされ、これが戦後10年の光景かと思うほどです。これを見ても日本は復興の歩みを着実に進めていたことがわかります。

大山銀座 雪の日(松野栄仁氏撮影)

写真10
大山銀座 雪の日【写.03670】

大山銀座通りはこの日大雪。夜にはネオンを灯し、華やかな雰囲気を醸し出す商店街も、この日ばかりは水墨画の世界のようです。

大山駅にて(宮川武雄氏撮影)

写真11
大山駅にて【写.03716】

朝の駅前いつもの光景。ひかりを失った「大衆喫茶酒場」のネオンサインはどこか寂しげです。とはいえ朝は一日のはじまり。力強く歩く人々の姿がとても印象的です。

板橋5丁目にて(宮川武雄氏撮影)

写真12
板橋5丁目にて【写.03783】

スーツを着た男性が商店街で颯爽と自転車をとばしています。周囲には靴店、金物屋、カメラ店などの看板も見えます。

荷ガ着キマシタ(岡崎正雄氏撮影)

写真13
荷ガ着キマシタ【写.03821】

大山駅通り。八百屋に横づけられたトラックの荷台には大量の「カブ」が積まれています。それにしても当時の仕入れ作業は豪快でした。

※公文書館には今回紹介した写真資料の他にも、多くの資料が保存されています。是非、ご来館の上、活用ください。

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