電子展示室72号「いたばしの初春」

こうぶんしょ館電子展示室72号

「いたばしの初春」

皆さま、新年あけましておめでとうございます。
日頃より板橋区公文書館および当館ホームページをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
さて新春第1回目の電子展示室は、平成25年のお正月ということにちなみ、「いたばしの初春」と題しまして、板橋区内の古いお正月の風景、また区民の皆さまが新春を祝う姿などを当館所蔵の写真を用いて振り返ってまいります。
それでは、本年が皆さまにとって良き年となりますよう、お祈り申し上げつつ紹介に入りたいと思います。

• いたばしの初春1 （PDF 114.0KB）

正月の“ぞめき”

お正月を迎える前、人はどことなく落ち着かない不思議な気分になるものです。お正月ならではの雰囲気とでもいいましょうか、なかなか説明しづらいものですが、あえて言葉にしなくても、皆さまにもきっと心当たりがあるのではないでしょうか。
そう、お正月を迎えるたびに感じる、あの特別な感覚です。
遠くの方から、にぎやかなお囃子の音が聞こえてくる。
お正月の朝の独特の空気感、今日から始まる新しい年への期待、人々の心はいやが上にもぞめいてくる。
初春の醍醐味だ。

ぞめく・・・「騒く」。浮かれさわぐこと。落ち着かない様子。

• いたばしの初春2 （PDF 123.8KB）

人々の祈り

一年の中で、最も人が純粋に神仏に祈りを捧げる時間があるのも、お正月の期間といえるでしょう。
家族の無事を祈る人、仕事の順調を祈る人、また自分の将来をかけた勝負に勝つことを祈る人と、その祈る内容はまさに千差万別ではありますが、祈りを捧げた瞬間、人は最も尊い存在に近づきます。
人々は新年の平安や繁栄を願い、神仏に祈る。
神仏を前に、同じ思いを持ち集う老若男女の視線は、明日という未来に向かい注がれている。
お賽銭奮発しましょうね。今年はもっといい年になって欲しいねぇ。

• 板橋の初春3 （PDF 109.5KB）

子ども達の遊び

お正月休み。子どもの頃はとびきり楽しみなものでした。いろんな人からお年玉をもらったり、普段つきあいの少ない親戚の子がやってきたり、親戚ぐるみで旅行に出かけたりなど、普段の生活から離れ、貴重な体験ができるのも、このお正月という期間ならではのことだったのではないでしょうか。
「正月　おじさん　お年玉」子ども達にとっても、お正月は特別なとき。
普段つきあいのない親戚のおじさんも、お正月にはポチ袋を持って大黒様に早変わり。
今も昔も変わらないもの。人が願ってやまないもの。
子ども達の元気と笑顔。
元気で、元気に微笑み続けて・・・。

• 板橋の初春4 （PDF 135.8KB）

さて皆さま、今回の写真資料の中に、気になる「初春の一コマ」はありましたでしょうか？
板橋区公文書館には今回紹介した写真以外にも、過去の板橋区を知る手掛かりとなる写真資料が約5万点ほど保存され、皆さまのご利用をお待ちしております。
ぜひ新春のひととき、公文書館へぶらり立ち寄ってみませんか？
※板橋区公文書館には、写真資料以外にも、板橋区に関する各種資料が所蔵されています。皆さまのご来館をぜひともお待ちしております。

おまけ　【いたばし区トリビア】

[No.1]　区長「新春あいさつ」のルーツ

初春といえば、毎年恒例となっている広報紙への区長の新春あいさつの掲載。
これがいつはじめられたかを確認してみると、昭和31年1月15日号『板橋区広報』に、当時の村田哲雄区長が書かれた「年頭の辞」がその端緒であるようです。
このとき村田区長は、前年8月に渋谷常三郎区長から区政を引き継いだばかり。いまだ終戦後10年ほどであり、土木事業の整備、住宅対策、学校校舎の建設、上下水道施設の改善拡充など、多くの課題が山積されている時期でありました。
この「年頭の辞」には、これら区政の課題を表明した上で、この年頭を自分の区長就任第1年目の出発点と考え、区政を伸展させる覚悟が述べられた上で区民に向けて、一層の理解と協力が呼びかけられています。
「一年の計は元旦にあり。」まさにこれを地でいくような村田区長の「年頭の辞」が、区長の新春あいさつのルーツであったわけです。
このような強いトップの使命感が、現在の板橋区を作り上げる基礎となったのですね。
【参考資料】『板橋区広報　第113号』（板橋区役所発行、昭和31年1月15日）

• 【参考資料】村田哲雄区長の「年頭の辞」 （PDF 2.1MB）