こうぶんしょ館電子展示室43号「区の木けやきと区民生活」

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ページ番号1009270  更新日 2020年1月25日

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こうぶんしょ館電子展示室43号

「区の木『けやき』と区民生活」

ケヤキは肥沃で水はけのよい武蔵野の関東ローム層(赤土)に生育環境がマッチしており、伸び伸びと育ちます。
ケヤキは板橋の農家の屋敷林を構成するスダジイ、カシ、イチョウなどの中心的な樹木となっており、現在も区内の各地に屋敷林の名残りが見られます。
今回の電子展示室では、ケヤキが「区の木」に指定される経過や公文書館が所蔵している「ケヤキと区民生活」にかかわる写真をご紹介いたしましょう(断りのない限りは当館所蔵の写真資料を使用)。

ケヤキが区の木になるまで

区民から「区の木」を募集

昭和45年2月15日号の「板橋区のお知らせ」(「広報いたばし」の前身)で次のような記事を掲載し、区の木を募集しました。
「東京の町からは日に日に緑が失われています。区では緑をふやし、住みよい環境をつくるため、毎年春・秋に区民苗木頒布会を催し、区民のみなさんのまわりに少しでも緑がふえるように努めるほか、公園・学校などにもたくさんの植樹を行うなど、緑化運動を進めてきました。
この運動をより強力に推し進めるために「区の木」を決めることになりました。これは、区民のみなさんから末長くいたわり、愛される木を選び、区発展の象徴にするためのものです。」

区の木に「ケヤキ」決まる

昭和45年3月15日号の「板橋区のお知らせ」に区の木に「ケヤキ」が決まった経過が次のように載っています。
「寄せられた木の種類は、ケヤキ、エノキ、マツなど約20種で、これらを慎重に検討の結果〝ケヤキ〟を区の木として選びました。
「ケヤキ」はニレ科に属し、ケヤケキ木(顕著な木)という意味からこの呼び名がつけられたと伝えられ、樹形はまっすぐにのび、風に強く公害にも強く、古くから武蔵野を象徴する名木でもあります。また、イチョウ、マツなどととともに代表的な老樹に数えられ、その巨木は 大空に高く枝を広げ、四季それぞれに人びとを感動させて来ました。当区内にも多くのけやきが壮大な樹冠をみせていますがこのように「ケヤキ」はますます発展する板橋区を象徴するにふさわしい木といえましょう。」

板橋区緑化推進に関する条例にケヤキが区の木として規定

条例の前文に樹木の保存・育成の必要性を明記し、第6条にケヤキを区の木に定めています。
「自然は、健康で文化的なうるおいのある生活を営むために欠かすことのできない貴重な財産であり、その恵沢は、何ものにも代えることのできないものであつて、これを保存し、育成し、後世代に伝えることは、現代に生きる人々の重大な責務である。
ここに板橋区民は、自然環境を損うことによってもたらされる損失が計り知れないものであり、その回復がきわめて困難であることを思い、残された自然環境の保存と損われた自然の回復を希い、樹木等の保存と育成に努めて緑化の推進を図り、健康で住みよい都市を建設するため、住民の総意に基づいて、この条例を制定する。(中略)
第6条 (区の木、区の花及び区の鳥)
板橋の自然を代表し、発展する板橋区の象徴として、ケヤキを区の木、ニリンソウを区の花、ハクセキレイを区の鳥と定める。」

欅百態 「気になる木」ケヤキを観察

欅(ケヤキ.学名Zelkova serrata)ニレ科 ケヤキ属
【写真提供】岡山理科大学植物生態研究室 波田研究室「植物雑学事典」より
(http://had0.big.ous.ac.jp/~hada/plantsdic/zatsugakujiten.htm)

写真1
ケヤキの葉
写真2
ケヤキの花(雄花)

写真3
ケヤキの樹皮
写真4
ケヤキの果実

写真5
ケヤキの年輪

ケヤキと区民生活・・・ケヤキのある風景

農家の屋敷林〝三景〟

一景(初夏)・・・ケヤキの高さに泳ぐ鯉のぼり(昭和30年代)
わらぶきの家の前には麦が実っている。右手にはわら塚が見える。泳ぐ鯉のぼりから初夏の風のそよぎが感じられる。
二景(初秋)・・・屋敷林のケヤキを背景に洗濯物を干す農家(昭和30年代)
家のすぐ前は畑で、〝職住接近〟。右下にススキが銀色の穂を出しているのが見える。ケヤキはまもなく黄葉し、落葉となる。おびただしいケヤキの落葉は堆肥となった。

写真6
一景(初夏)
写真7
二景(初秋)

三景(冬)・・・すっかり葉を落とした屋敷林のケヤキ(昭和16年・大谷口)
冬のケヤキは「秩父下ろし」という冷たい北西風に見舞われる。ケヤキはこの寒風を防いでくれる。右手にはわらでつくった冬囲いが見える。舗装をしていない広い道路は自動車が1日1回、地響きをたてて通過していた。

写真8
三景(冬)

五本ケヤキ三題

一題・・・川越街道の道路工事で残った5本のケヤキ
川越街道の上板橋1丁目と桜川3丁目にはさまれた中州に5本のケヤキがそびえている。(写真右側)昭和13年川越街道の道路工事で用地を売却した飯島弥十郎氏(上板橋村長)が、屋敷内にあったこのケヤキ5本を残すように要請し、これが受け入れられた。
二題・・・1本枯れて〝四本ケヤキ〟になってしまった(昭和44年)
自動車の排気ガスと給水不足で、昭和45年7月にはさらに1本枯れて、〝三本ケヤキ〟になった。それでも五本ケヤキと呼ばれていたが、子どもたちは3本しかないのに五本ケヤキというのは変だと疑問を投げかけた。そこで、地元の有志が2本のケヤキを寄付し、五本ケヤキにもどった。

写真9
一題
写真10
二題

三題・・・ドライバーのオアシス=現在の五本ケヤキ(平成18年11月撮影)
自動車の排気ガスも減って、すこやかに立つ五本けやき。昭和45年には「五本ケヤキ保存会」が設立され、給水などをおこなって大切にされてきた。

写真11
三題

志村延命寺に眠る「こぶケヤキ」

樹齢がおよそ800年前後といわれた延命寺の「こぶケヤキ」は、幹の周りが10メートルもあり、延命寺は「こぶ寺」とも呼ばれていた。昭和6年に東京府の天然記念物に指定されたが、昭和40代のはじめに枯れてしまった。寺では枯れたケヤキを手厚く供養し、雨露で腐らないように屋根をつけて保存している。

写真12
元気なころのこぶケヤキの雄姿
写真13
枯れたこぶケヤキ

高島平団地内のケヤキのプロムナード(平成18年11月撮影)

昭和47年に完成した高島平団地内の歩道にケヤキが植樹され、並木ができた。現在では大木に成長し、夏はすずしい木かげをつくり、秋はきれいな黄葉をみせてくれる。

板橋駅前の「むすびのけやき」(平成18年11月撮影)

平成14年に商店街の経営者たちが、JR板橋駅前のケヤキを「むすびのけやき」と名づけ、商店街の振興をはかってきた。板橋区本町にある「縁切榎」で悪い縁を切り、「むすびのけやき」でおみくじを結んで良縁を願うという趣向。板橋に新しいケヤキの名所ができた。

写真14
高島平団地内のケヤキ
写真15
板橋駅前の「むすびのけやき」

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