電子展示室81号「石神井川の水害と整備」

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ページ番号1032211  更新日 2022年3月30日

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こうぶんしょ館電子展示室81号

「石神井川の水害と整備」

狩野川台風による水害

画像:流される木橋
流される木橋(昭和33年)

区内を東西に流れる石神井川は、全長25.2キロメートルの一級河川です。この石神井川はこれまで、何度も水害を発生させてきました。

もっとも大きな被害がおきてしまったのは、「狩野川台風」として知られる昭和33年(1958)9月の台風22号(国際名:アイダ)のときです。区内の浸水家屋は12,800戸に達し、浸水地域は5平方キロメートルに及びました。板橋区の面積は約32平方キロメートルですので、区内の約6分の1が浸水したことになります。

区内の橋も大きな被害を受けました。11もの橋が流失し、6つの橋が壊れてしまいました。当時は木造の橋が多かったことから、下頭橋(南常盤台・弥生町)では、上流部から流れてきた木造橋が橋げたにぶつかり、道路上に打ち上げられています。

区道橋の橋梁被害状況

橋名

位置(当時の地名)

位置(現地名)

橋長(m)

巾員(m)

面積(平方メートル)

橋種

破損程度

氷川橋

氷川21

氷川町2
氷川町22

14.30

 

5.10

 

72.93

木橋

流失

新西原橋

双葉11

双葉町11
中板橋6
14.00 3.60 50.40 木橋 流失

久保田橋

双葉18

双葉町13
中板橋27
12.00 6.30 75.60 木橋 流失

宿橋

上板橋町1-372 南常盤台1-7
弥生町56
11.60 3.60 41.76 木橋 流失

山崎橋

上板橋町3-6089 東山町4
大谷口北町49

12.00

3.60 43.20 木橋 流失

根村橋

中板橋6 双葉町9
中板橋6

14.30

3.60 51.48 木橋 大破

境橋

長後1-4 不明 6.50 3.60 23.40 木橋 流失
都道橋の橋梁被害状況

橋名

位置(当時の地名) 位置(現地名) 橋長(m) 巾員(m) 面積(平方メートル) 橋種 破損程度

西堰橋

栄町10

双葉町1
栄町11

14.00

 

2.70

 

37.80

 

木橋

流失

 

向屋敷橋 上板橋町2-6932 双葉町14
中板橋28
13.05 3.80 49.59 木橋 流失
学校橋

上板橋町3-6082

東山町6
大谷口北町89
12.60 3.60 45.36 木橋 流失
西宿裏橋 大和町3 大和町3
氷川町23
17.80 4.50 80.10 木橋 中破
堰の上橋 氷川町23 大和町50
栄町7
16.94 5.40 91.48 木橋 大破
山中橋 中板橋18 双葉町12
中板橋19
14.00 4.18 58.52 木橋 大破
下頭橋 上板橋町1-350

南常盤台1-3
弥生町53

11.30 6.60 74.50 合成桁 橋脚流失
台橋 小山町3224 小茂根3-9
東新町2-41
10.80 4.90 52.92 合成桁 大破

(無名)21の橋

長後2-17 不明 6.30 3.50 22.05 合成桁 流失
(無名)10の橋 志村前野町298 不明 5.40 3.00 16.20 合成桁 流失

(昭和33年『区勢概要 昭和33年度版』1959年3月に一部加筆)

この狩野川台風による被害は、以後の河川防災対策において常に教訓とされるものになります。

なお石神井川は、その後も昭和51年(1976)9月の台風17号、同53年(1978)4月と54年(1979)5月の集中豪雨の際に氾濫しています。

画像:上流より流失した氷川橋
上流より流失した氷川橋(昭和33年)

石神井川の整備

画像:護岸工事中の石神井川
護岸工事中の石神井川(昭和38年)

狩野川台風の次の年である昭和34年(1959)には本格的な護岸工事が始められるなど、石神井川の改修工事は進んでおり、板橋区流域では昭和58年(1983)には1時間あたり50ミリの降雨に対応できる規模の改修工事が終了しています。

現在も東京都の主導の下、石神井川流域自治体の周辺の自然環境にも配慮しながら、河川整備が進んでいます。河道の拡幅、河床の掘削に加え、調整池の設置などを進めることで、1時間あたり75ミリの降雨にも対応できる石神井川が目指されています。

特に調整池は、都立城北中央公園(板橋区桜川一丁目、小茂根五丁目、練馬区氷川台一丁目、羽沢三丁目)の石神井川沿いに設置されることが決まっており、現在第一期工事が進められています。この城北中央公園調整池は、長さ約163メートル、幅約33メートル、深さ約35メートルという巨大なもので、完成後の貯留量は25メートルプール約300杯分に相当する約9万立方メートルです。

画像:浚渫工事の進む石神井川
浚渫工事の進む石神井川(昭和39年)

石神井川と親しむ

画像:石神井川フェスティバルの様子
石神井川フェスティバル(平成3年)

都市を流れる河川である石神井川は、用地取得の面からも経済的な面からも、拡幅工事による整備は困難な状況にあります。そのため過去の整備においても、河床の掘削を優先的に行ってきました。ですがその結果、川底が深くなり水面が低くなっているところが多く、親水性に乏しく、川に対する関心や意識が深まりにくいという課題があります。

そのため板橋区では、防災への意識を払いつつ、石神井川が地域住民の憩いの場となるように努めています。調整池建設が進む城北中央公園は拠点整備の候補地となっていますが、その整備テーマは「かつての石神井川と川沿い風景をしのばせる大規模公園」です。

画像:石神井川の生物調査
石神井川の生物調査(平成16年)

おわりに

板橋区としても洪水などの被害に備え、万全を尽くしておりますが、自然を相手に100%の安全はあり得ません。区民の皆さまにおきましても、石神井川に親しみつつ、かつての災害にも思いをはせながら、日々の暮らしのなかでの備えを怠ることのないよう、お願いいたします。

なお板橋区では、昭和43年(1968)4月30日以降に区内で発生した浸水被害をまとめた「浸水履歴」を作成しており、地域別に掲載しています。また、水害が発生しやすいエリアを地図上に示した「板橋区洪水ハザードマップ」の作成も行っております。この機会にお住まいの地域について調べてみてはいかがでしょうか。

 

板橋区公文書館には、今回ご紹介したような資料以外にも、板橋区に関する様々な資料が所蔵されています。皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

画像:上板橋三丁目付近 石神井川の桜
上板橋三丁目付近 石神井川の桜(昭和30年)

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