時代を紡ぐ 「東武東上線の車窓から地形を読む」

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ページ番号1004889  更新日 2020年1月25日

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写真
赤塚2-27で東上線線路下を横切る流路跡

この4月から、私は通勤に成増駅まで東上線を利用するようになりました。朝、池袋で急行に乗り込みます。上りとは比ぶべくもありませんが、それでも座席は皆埋まっています。それにしても、近頃は手もとの画面を見ている人が多いですね。その中で私は、走り始めた車窓から地形を意識して風景を眺めています。
鉄道は傾斜を緩めるため、地形の高い部分は削って掘割状に、低い部分は土を盛って建設しています。ちなみに、東上線の開通は池袋・田面沢(たのもさわ)(現川越市内)間が大正3(1914)年です。
高層の建物が増えた昨今ですが、それでも平坦地を走っている時は見通しがききます。そして視界が遮られると、そこは地形が高いところ、視線の高さに民家の2階部分や屋根が見えてくると、そこは土地の低いところです。
下赤塚駅が近づき、民家の2階の屋根が眼下に見えます。ここは赤塚六丁目・徳丸六丁目を東に流れた後北に向きを変え、徳丸と西台を画して荒川へ注いでいた前谷津川の支流の谷です。この駅は、以前発掘調査やその整理作業を行った時に通っていましたので、地形が把握できています。
さて、間もなく成増駅、ん?、一瞬ですが視線の高さに民家の2階の屋根が見えたような気がしました。翌日以降この部分を右窓・左窓と順次注意深く観察したところ、確かに小さな谷が東上線を横切っています。戦前の地図で確認しましたが不明瞭でした。しかし気になり、後日赤塚六丁目の赤塚保育園辺りから前谷津川の暗渠(あんきょ)を遡ってみました。途中たどるのに苦労しましたが、果たして、赤塚二丁目27番部分で、東上線の盛土状の線路下を水路が横切っていることを確認。さらにその先を追うと、最後は通れませんでしたが川越街道までたどることができ、地図に描かれていない流路を確認することができました。
みなさんも、たまには地形を意識して車窓の風景を眺めてみてはいかがでしょうか。

【学芸員 秋山道生】
※平成25年10月26日発行「広報いたばし」掲載

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