絵馬から祭りの風景を読む ~赤塚氷川神社所蔵「祭礼図絵馬」~

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ページ番号1004899  更新日 2020年1月25日

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赤塚氷川神社所蔵「祭礼図絵馬」

寺社に奉納される絵馬は、奉納者の信仰心だけでなく、時には描かれた画像によって彼らの生きた時代の風景や習俗を今日に伝える貴重なタイムカプセルとなります。明治14年8月の拝殿新築を記念して挙行された祭礼の様子を描いた、赤塚氷川神社所蔵の明治16年1月の祭礼図絵馬もその一つです。
当絵馬は縦144.5cm、横223cmと、区内に現存する絵馬の中では最大のものです。その大きな画面の左上隅に小さく富士山が描かれていて、そこから右下隅へ向かって直線上に本殿・拝殿・二之鳥居・一之鳥居が並び、その左手には、御嶽社・額殿・八幡社・浅間社(富士塚)といった境内社などがあります。拝殿前では、右手の祭壇で祈祷(きとう)が行われ、左手の舞台では神楽が演じられており、櫛(くし)やかんざしを売る屋台や物売りの姿も見られます。特に目を引くのは、一之鳥居から拝殿前へ向け、村人に引かれて境内を巡行している五台の山車です。それらは、「アメノタヂカラオ」や能の「猩々乱」の舞を模した人形を載せる笠鉾(かさほこ)型の山車で、その周りには山車を引く村人や見物人により人だかりができており、賑やかな祭礼であった様子が窺(うかが)えます。
本来は見えない北の方角に富士山があったり、二之鳥居と一之鳥居の間が縮められていたり、また数多くの人がちょんまげ姿で描かれていたりと、実際とは異なっている部分もありますが、建造物の位置は、明治18年の「神社調査」(東京都公文書館蔵)の境内図と同じなので、当時の境内の風景や村人たちの習俗をよく伝えていると考えられます。現在、額殿はなく、八幡社は拝殿に向かって右手に遷されていますので、当絵馬は在りし日の赤塚氷川神社の風景を知る上では貴重な資料なのです。
なお、当絵馬を始めとした当社所蔵の絵馬・扁額は、平成22年度に前野町五丁目熊野神社所蔵の絵馬・扁額とともに板橋区の登録文化財になりました。
【文化財専門員 畠山 聡】
※現在、祭礼図絵馬の見学はできません。
※平成23年6月18日発行「広報いたばし」掲載

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