2017年8月6日 第14回 夏の教室

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ページ番号4000748  更新日 2020年1月28日

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絵本研究家の広松由希子さんと当館副館長の松岡希代子がコーディネートする「夏の教室」も、今年で14回目となりました。8月4日・5日の2日連続で、朝10時30分から夕方5時まで、6コマの講義がみっちり。暑い中、みなさん熱心に参加してくださいました。
今年のボローニャ・ブックフェアでは、日本語を知らない読者も楽しめるという観点で選書された約50冊の日本の絵本を展示するブースが評判を呼びました。これらの絵本は、当館でも特別展示2「見て めくって 感じる 日本の絵本」としてご紹介しています。これに関連し、今回のテーマは「絵で読む、感じる 日本の絵本」。言語の壁を越えて伝わる日本の絵本の特色について多方面のゲストのお話を伺いました。

1日目の午前中は、広松由希子さんといっしょに、文字言語を超えて絵本を読むワークショップをしました。外国の絵本をグループで見て、感じたことを付箋に書いていきます。文字を読めない状況の中、ページをめくりながら内容を想像していきました。絵から得られる情報で、どこまで絵本を楽しめるかという刺激的な体験となりました。

午後の1コマ目は、絵本作家のきたむらさとしさんの「絵本で巡った世界のはなし」です。長年イギリスを拠点にしてきたきたむらさんがが実見した中南米のブックフェアや絵本、ワークショップの話、さらにはご自身の制作についてうかがいました。また、ワークショップでされた紙芝居も実演し、世界の子どもたちの反応もお話くださいました。

1日目の最後のコマは、福音館書店編集部の佐々木紅さんが、「わたしが編集してきた絵本のこと」と題して、絵本以外のジャンルで活躍するクリエーターたちを引き込んで新しい絵本作りをされている様子を、広松さんとの対話形式でたっぷりお話くださいました。

2日目の午前中は、ブックフェアで展示した約50冊の絵本を選書した広松さんと土居安子さん(大阪国際児童文学振興財団総括専門員)が、選書した中から何冊かを挙げて紹介してくれました。ふたりの意見が合うところもあれば、観点が違うところもあり、刺激的な対談となりました。さらに、広松さんと土居さんのそれぞれの読み聞かせも圧巻。あっという間の90分でした。

午後は、エディトリアルデザイナーの村山純子さんによる、『さわるめいろ』を出版するまでのお話です。試作を作っては実験し、目の見えない人にテストしてもらい、試行錯誤を重ねたというエピソードから、デザイナーとしての真摯な姿勢がにじみますが、多くの人のアドバイスや協力があって完成させることができたそうで、1冊の絵本に沢山の人たちの思いがつまっていることが伝わりました。

最後のコマは、絵本作家の児島なおみさん。1980年代にニューヨークで絵本作家としてデビューされた児島さんが、海外での絵本作りや、近年のアジアの絵本関係者との交流についてお話くださいました。初めて出版した2冊の絵本は、編集者からすべての場面に細かなコメントが入り、絵を描き直すことになったそうですが、この経験がその後の制作の基礎となったそうです。

今年の「夏の教室」、いかがでしたか? 最後に広松さんは、この講座では1つの答えを出すのではなく、さまざまな見方や問いを持ち帰ってもらいたいとおっしゃっていました。2日間のお話から、参加者のみなさんそれぞれが考えるヒントを見つけてくれたと思います。ご参加ありがとうございました。

写真:教室風景1


写真:教室風景2


写真:教室風景3


写真:教室風景4

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電話:03-3979-3251 ファクス:03-3979-3252
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