2023年3月26日 椿椿山展 記念講演会

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ページ番号4001762  更新日 2023年3月30日

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3月26日(日曜日)に現在開催中の「椿椿山展 軽妙淡麗な色彩と筆あと」の記念講演会を開催しました。
「私、つばきちんざんと申しますー江戸後期の花鳥画家の生涯と芸術」というタイトルで、展覧会特別協力の田原市博物館の館長・増山禎之氏にご講演を頂きました。
田原は椿山の師である渡辺崋山とゆかりのある土地で、田原市博物館では崋山やその弟子の作品を継続的に収集し、展覧会を開催されてきました。

増山氏は、椿山の初めての回顧展「椿椿山展」(田原町博物館、1994年)を担当された、椿山研究の第一人者です。

まずは椿山の人となりについてお話いただきました。孝養・勤勉・忠義それぞれに秀でた椿山の逸話からは、相当な人格者だったことがうかがえます。
さらに、崋山と椿山の強いつながりを示す資料として、「蛮社の獄」で捕らえられた崋山のために奔走する記録や、崋山から椿山宛ての遺書も遺されています。崋山・椿山周辺の人間関係は、皮肉にも蛮社の獄を通じて緊密になったようです。

肖像画の中でも代表的な作品が「渡辺崋山像」(重要文化財)です。12年かけて制作し、多数の画稿が伝わっています。これらは一見似たような顔貌に見えますが、顔を重ねてみると違いも多くみられ、試行錯誤した様子がうかがえます。

また、椿山は多くの縮図を遺しています。現在のように簡単にコピーをとったり写真を撮影したりできないので、当時の画家はひたすらメモをとるように記録していました。これらを注文制作に生かすこともあります。当館所蔵の「君子長命図」も、その一例です。

椿山の花鳥画から、近代以降の画家たちへの影響についてもお話いただきました。「華椿系」と呼ばれる崋山・椿山に私淑した画家たちは、画風に倣うのみならず、崋山や椿山のように人格を磨くことも重視していました。

自ら浅野梅堂(椿山の弟子で鑑定家でもあり、椿山を絶賛した)に次ぐ椿山ファンと公言された、椿山への愛情が随所に表れたご講演となりました。ありがとうございました。

講演会1

講演会2

講演会3

講演会4

講演会5