2023年8月12日 対談「2023ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア総復習」

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ページ番号4001794  更新日 2023年8月13日

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8月12日(土曜日)には、絵本評論家の広松由希子さんと当館館長による対談「2023ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア総復習」を開催しました。「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア」は、世界でも最大の児童書専門のブックフェアです。ボローニャ展(国際絵本原画展)は、このブックフェアが主催する多数のイベントの一つなのです。
2017年から続いている対談「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア総復習」は、今では当館のボローニャ展の名物イベント(?)です。長年ボローニャのブックフェアに通っている広松さんと松岡が、その年のブックフェアの傾向や注目イベントについてレポートしたり、ラガッツィ賞受賞絵本を紹介したりするもので、二人の息もぴったりの軽快なトークを毎年楽しみにしてくださっている方も多いようです。

対談では、最初にブックフェアの概況をご紹介したうえで、今年のラガッツィ賞の絵本を広松さんが紹介くださいました。この賞は、出版された児童書に与えられるもので、ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアが主催する賞の中でも長い歴史を誇ります。いくつかの部門ごとに優秀賞(Winner)と最優秀賞(Mention)を選出し、受賞作は世界の児童書業界から注目を集めます。
広松さんは、各部門(フィクション部門、ノンフィクション部門、オペラプリマ部門、ニューホライズン部門、2023特別部門・写真の本)で受賞した絵本を、1冊1冊丁寧にコメントしながら見せてくださいました。素朴な作風や、色数を抑えた作品、サイレントブックなど、現在のトレンドを反映した要素も見られますが、受賞した絵本にはそれだけにはとどまらない魅力があります。数年前からラガッツィ賞に加わったコミック部門からも、広松さんが数冊を取り上げて解説してくださいました。
ラガッツィ賞は、コロナ禍以降、ブックフェアに出展していない出版社の絵本も参加できるようになり、応募が増えています。さらに近年は言語や国にも幅が出ています。また、ブックフェアに出展していない小さな出版社の書籍がラガッツィ賞にも入るようになったことも注目すべき変化です。ラガッツィ賞の受賞作は各部門ごとに数冊ですが、昨年からは100冊のショートリスト(BCBF Amazing Bookshelf)も発表されるようになったことで、より広がりが生まれています。広松さんは、このショートリストからも数冊をご紹介くださいました。

 ラガッツィ賞の絵本の紹介の後は、今年3月にボローニャで開催されたブックフェアについてのお話にうつりました。沢山の写真のスライドをお見せしながら、ブックフェア会場の様子や、現地での展覧会やトークイベントのことなど、話は尽きませんでした。ボローニャのブックフェアはたった4日間のイベントですが、巨大な会場には、おびただしい数の出版社のブースが立ち並び、会場内外で関連のイベントが開催され、期間中にはとても回り切れないほどです。今年のブックフェアでは、広松さんや松岡自身が講師として登壇したイベントも複数あり、日本の絵本に焦点をあてた企画もたくさんありました。また、大きな合同ブースを設ける国もあり、そうした事情についてもお話をしました。
最後には、2024年のブックフェアやボローニャ国際絵本原画展の応募について説明しました。来年のブックフェアは4月に開催、そして絵本原画展の応募締切りは今年の10月です。イラストレーターのみなさん、ぜひふるってご応募くださいね!

恒例のボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア総復習、いかがでしたか? ブックフェアのホームページにも情報や写真が満載ですので、ぜひご覧ください。

8月12日講演会1

8月12日講演会2