2023年8月2日 中高生絵本講座

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ページ番号4001793  更新日 2023年8月3日

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8月2日には、中高生を対象にした絵本作り講座を開催しました。講師のなかむらしんいちろうさんは、保育の専門学校や美大でも絵本制作を指導しています。講座は午前10時から午後4時までの長丁場です。参加者のみなさんには、好きな絵本を数冊持参することと、事前に絵本のアイデアを考えてくることをお願いしておきました。
朝、9時30分の開館と同時に次々に参加者のみなさんが到着しました。午前中は、最初に絵本制作の手順をなかむら先生が説明してくれました。ご自身が作った絵本のための資料をたくさん見せながら、1冊の絵本の最終形から巻き戻っていくように様々な工程についてお話してくれました。ラフスケッチやストーリーボードなどを描きながら少しずつ完成に近づいていくこと、そして日々のスケッチの積み重ねも欠かせないことなどがよくわかったのではないでしょうか。
次に、「マッピング」の手法を使って、自分のことや、自分の好きな絵本について、掘り下げる作業をしました。現在さまざまな場面で使われるこの手法は、頭の中を整理したり客観的に見たりするために有効で、絵本を作るための準備にもなります。持参した絵本のどんなところが好きなのか細かく書き出していくと、意外な発見や好きな理由が見えてきます。参加者のみなさんも、手が止まることなくどんどん枝葉が広がっていくようです。さらに、それらの絵本のプロットを書き出して、どの場面が一番好きなのかということも考えてもらいましたn。なかむら先生によれば、自分の好きな絵本は一番の先生になってくれるのだそうです。「自分は今日の1日しかみんなに教えられないけれど、好きな絵本はいつでも教えてくれて、みんなを導いてくれる」とおっしゃっていました。
お昼休みを挟んで、絵本の構図の工夫について、なかむら先生が絵を描きながら具体的に教えてくれました。実際に絵本をめくってみると、そうした工夫が随所に見られることに気づいたのではないでしょうか。
その後、事前に準備してきた絵本のアイデアと、午前中に分析した好きな絵本を要素を組み合わせて、各場面を文章にして、それをストーリーボードのなかに落とし込んでいきます。ストーリーボードは小さなコマの中に絵本のおおまかな展開を描き込むもので、絵本制作のプロセスの中でもとても大事な工程です、終始やさしい語り口のなかむら先生ですが、実はなかなかハードな講座です。それでも、みんなしっかりついてきてくれました。
ストーリーボードが完成した参加者が出てきたころ、次はハードカバーの本の製本について教えてもらいました。各パーツはすべてなかむら先生が準備してきてくれたので、時間の少ない中でもそれぞれが製本を体験することができました。今回は全員が横長の小ぶりなハードカバーの本を完成させました。自分で本を作るというのは皆さん初めてだったのではないでしょうか。真っ白い紙の本を手にするみなさんが、とてもうれしそうだったのが印象的です。最後に、そこに1場面だけ下描きをしてみました。
ここまでで終了予定の4時となりました。講座の中で全場面の絵を描き終えることはできませんでしたが、ストーリーボードをもとに、それぞれで完成させてくださいね。困ったり悩んだりしたときには、みなさんの好きな絵本がいつでも教えてくれるはずです!絵本が好き、絵本を作りたいという気持ちをもって、なによりも「続けること」によって道がひらけていく、というなかむら先生のお話で講座は終了しました。

参加してくれた中学生・高校生のみなさんの熱意になかむら先生も驚いていたっしゃいました。丁寧なご指導をありがとうございました。そして参加者のみなさん、ご参加ありがとうございました。

中高生絵本講座1

中高生絵本講座2

中高生絵本講座3
構図の工夫について説明中
中高生絵本講座4
製本作業の様子