2023年7月1日 絵本講座「さわる絵本づくりワークショップ」3日目

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ページ番号4001781  更新日 2023年7月5日

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さわる絵本作りワークショップ、最終日の3日目です。梅雨真っただ中の蒸し暑い毎日ですが、19人の受講者たちは3日とも参加してくれています。参加者の中には、学校や仕事を休んできた人もいれば、夜に仕事をしている人もいるようです。さらに、帰宅後に絵本のアイデアを練り直したり、材料を調達したり、夕方以降も講座のことが頭から離れない様子です。ピエトロさんと森泉さんも、お疲れを見せることなく毎日とっても情熱的です。

この日の朝も、まずはピエトロさんのお話から。何度も強調しているのは、視覚に障がいのある子どもが楽しめるようにするには、できるかぎりシンプルであること。そして、視覚に障がいのある子どもが一人で読むのではなく、大人や仲間とコミュニケーションをしながら読むということの重要性です。制作の参考になるように、たくさんの種類の紙を使った音の鳴るさわる絵本も紹介してくれました。

その後、午後の発表に向けて制作が始まりました。ピエトロさんからは、発表まで完成させる必要はなく、どんなプロジェクトかわかるようにとアドバイスがありました。ワークショップの部屋はシーンと静まり返り、参加者のみなさんの集中した張り詰めた空気となりました。ときに硬いものを切る音が聞こえたり、素材のこすれる音が聞こえたり。材料が足りなければ参加者同士で譲り合い、ときに励ましあい、なんだか学校のクラスのような一体感が生まれていきました。ピエトロさんと森泉さんは、次々に参加者の相談にのり、アドバイスをして、作業を見守ってくれました。黙々と制作が続き、12時を回っても休憩をとることも忘れてみなさん作業に没頭していました。発表の始まる予定時刻の午後2時が近づきましたが、作業を終えた人はほとんどいません。そこで、作業時間をもう1時間延長すると、ラストスパートで作業スピードも上がっていくようでした。

午後3時、あわただしく作業を終えて、片づけて、発表のために部屋の模様替え。そして、まずはお互いの作品を見せ合う時間を少しとりました。それまでは自分の制作に必死だったので、ようやくほかの参加者の作品を見ることができたようです。制作を終えた安堵感と開放感もあいまって、みなさんのとても楽しそうな表情が印象的でした。19点の作品は、素材も多種多様ですが、テーマもさまざまです。虫や動物など子どもたちに身近なものから、私たちの気持ち、多様性、距離感といった目に見えないものを表現した作品も少なくありませんでした。
その後一人ずつ発表をしました。それぞれにピエトロさんが温かな、そして的確なコメントをしてくれました。こうした講評会では、自分の作品へのコメントだけでなく、ほかの参加者へのコメントも勉強になります。2時間近くかかりましたが、森泉さんが訳してくれるピエトロさんのたくさんの言葉に、みなさん熱心に耳を傾けていました。クリエイターのみなさまの講座であることから、
参加者の方の感想の中には、ずっと視覚的に仕事をしてきたけれど今回はそのやり方をすっかり変える必要があり、「手や指さきで選ぶ」という未知の素晴らしい体験をすることができたけれど、やはり視覚的なやり方から離れて制作することは難しかった、というものがありました。みなさん、同じような思いをしながら制作をしていたと思います。でも、いつもと違う感覚を使うことの面白さを知った方も多いと思います。最後にピエトロさんは、イタリアで主催するコンクールに日本からも応募があることを願っていると締めくくりました。

通訳の森泉さんは、ご自身もさわる絵本の専門家であり、今回はもう一人の講師のように明るく温かくみなさんの制作を支えてくださいました。ピエトロさん、森泉さん、3日間ありがとうございました。お二人のさわる絵本への情熱は、参加者一人ひとりの心に強い印象を残したはずです。日本でもピエトロさんたちの活動が知られ、広がっていくことを願っています。

さわる絵本ワークショップ3日目‐1

さわる絵本ワークショップ3日目‐2

さわる絵本ワークショップ3日目‐3

さわる絵本ワークショップ2日目-4

さわる絵本ワークショップ3日目‐5

さわる絵本ワークショップ3日目‐6