2023年 9月12日 夏のアトリエ1日目

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ページ番号4001803  更新日 2023年9月14日

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イラストレーター向けのワークショップ「夏のアトリエ」が始まりました!
23回目となる今回は、カナダの絵本作家シドニー・スミスさんにお越しいただきました。今年のボローニャ展の審査員をつとめたシドニーさんの絵本はいま世界中で注目されていますが、近年は邦訳版も次々に出版され日本でもファンが増えています。たくさんのご応募の中から20名のイラストレーター(または目指す方)のみなさんが参加してくれました。

講師と参加者をつなぐ通訳の方は、「夏のアトリエ」のキーパーソンとも言える存在です。今回は、翻訳家の前沢明枝さんが務めてくださいます。

ワークショップ前日の夕方に日本に到着したシドニーさんは、長時間のフライトや時差による疲れが取れない様子ですが、朝9時すぎに前沢さんと一緒に美術館に到着し、休む間もなく準備。そして10時、第23回夏のアトリエが始まりました。今回は、テキストとイラストレーションに関係性について一緒に考えていくことになります。

この日の午前中は、お互いの自己紹介から。参加者一人ずつ、名前や簡単な活動とともに、シドニーさんのリクエストで、どんな子ども時代だったか話してもらいました。今回のワークショップでは、自分の子どもの頃の記憶に向かい合うことになるそうです。
その後、シドニーさんがスライドを使って自己紹介をしました。幼少期の遊びや好きだった絵本や音楽については、暗くて悲しいもの、グロテスクなものにひかれたという、ちょっと意外なエピソードも。その後はこれまでに手掛けた絵本を何冊か取り上げて、テキストとイメージの関係、感情の表現の仕方、読者のこと、新たな技法の試みなど、ご自身の絵本づくりの核心に迫るようなこともお話くださいました。2日目以降にさらに詳しいお話をしてくださるそうです。

お昼休憩のあと、午後にはさっそく制作のために簡単なエクササイズに取り掛かります。
最初の課題は、それぞれに3枚の紙が配られ、感情を表す線をたくさん描くというもの。色々な画材を使ってさまざまなテクスチャーを試してもらいました。
次の課題は、シドニーさんが用意した6つの短いテキストから一つを選び、具体的なものは描かずに印象や感情を絵にすること。各文章の中には葉っぱやゾウなどが出てくるのに再現的な表現はしないことに戸惑った人もいたかもしれません。
3つめは、同じテキストを再現的に描くというもの。おそらくこのやり方のほうが皆さん慣れているのですが、具体的なものを描かない2つのエクササイズを経たことで、いつもとは違う心持ちで取り組めたのではないでしょうか。この3つのエクササイズでは、描いたものをお互いに見せ合う時間もあったので、ほかの人の表現やとらえ方にも刺激をうけたようです。
実はこの6つの文章は、6人の絵本作家の絵本の中からシドニーさんが選んだものなのです。エクササイズの後で、6冊の元の絵本の該当場面を見せながらが、テキストとイラストレーションの間の多様な関係をシドニーさんが解説してくれました。テキストに書かれていることをそのまま描くのではなく、テキストから感じること表現するというのは、今回のワークショップの重要なポイントのようです。

1日目の最後には、シドニーさんを囲んで、イラストレーター同士のおしゃべりといった雰囲気となりました。シドニーさんの好きな絵本作家の技法を再現してみたり、自作の絵本の中のお気に入りの場面を見せてくれたり、映画と絵本の視覚言語の共通点や参考にしている写真家について語ったり、制作前にやることや制作中に聴く音楽について参加者にも問いかけたり…。参加者の皆さんにとっては、とっても参考になることばかりだったのではないでしょうか。

1日目は、シドニーさんも参加者もまだちょっと緊張気味でしたが、お互いの作品や見たり、意見を交換する中で、少しずつ雰囲気がほぐれていく様子も夏のアトリエならではです。2日目以降も楽しみですね。

夏のアトリエ1

夏のアトリエ2

夏のアトリエ3

夏のアトリエ4