2026年8月7日 シンポジウム「ユネスコ創造都市ネットワーク加盟に向けて」

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ページ番号4002088  更新日 2026年8月9日

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8月7日、シンポジウム「創造都市ネットワーク加盟に向けてー絵本とデザインの可能性を拓く」を開催しました。本イベントは、板橋区創造都市デザイン課の企画によるものです。
板橋区では、当館で長く行ってきたボローニャ展の開催や、印刷・製本業が集まっているという地域性を背景に「絵本のまち板橋」の取り組みを進めてきました。こうした取り組みや地域の活動を背景に、今年板橋区は「創造都市(Creative City)」を目指すことを宣言し、ユネスコ創造都市ネットワークのデザイン分野での加盟を目指しています。
今回のシンポジウムでは、すでに国内外でデザインでの創造都市として活動している都市からゲストを招き、それぞれの事例について紹介していただいたあと、板橋区が創造都市となった場合の可能性などについて話し合いました。

まず基調講演として、英国のダンディー市のリード・オフィサーであるアニー・マーズ氏からのお話がありました。スコットランドの港町であるダンディ市は、もともとテキスタイルなどの繊維業を行っていました。現在は、ソフトウェアやゲームやアニメなどのデジタルコンテンツ業で知られています。絵本のまちの話を聞いて思いついたとのことで、『BEANO』という、英国の子ども向け長寿コミックスを発行するDCトムソン社もダンディ市に位置していることなどもお話くださいました。ダンディ市が創造都市にデザイン部門で申請したのは、こうした産業が一番デジタルにあっていたからといいます。ダンディ市では、さまざまなプロジェクトを同時進行的に実施しており、2016年からはダンディデザインフェスティバルも実施しています。どのような取り組みを行っているかなどを写真や映像などを合わせて詳しく紹介してくれました。

そのあとは、日本の創造都市である名古屋、神戸、旭川から、どのような取り組みを行っているかをお話してもらいました。
ユネスコ・デザイン都市なごや推進事業実行委員会の江坂恵理子さんからは、名古屋では1989年にはデザイン都市宣言やデザイン会議を行っていた歴史や工業都市であるという背景があること、デザインをヒューマニズムととらえ、環境や自然に配慮したまちづくりを行っていることなどをご紹介いただきました。神戸の創造都市の拠点であるデザイン・クリエイティブセンター神戸の近藤健史さんからは、「ちびっこうべ」など、さまざまな取り組みの事例から、創造都市としてどのような活動をしているかをご紹介いただきました。旭川市経済部産業振興課の後藤哲憲さんからは、家具産業からはじまった背景や、デザインを社会をよくする方法と定義し、若い人たちが協働することで担い手を育てられることを目指していることなどをお話くださいました。それぞれ、同じデザイン分野の創造都市ですが、そのはじまり方や、どう自分たちの街とデザインとを結び付けているか、どうデザインをまちづくりに生かしていくかなどの考え方の違いなど、示唆的な発表でした。

次に、当館館長である松岡より、これまでの板橋区の取り組みをお話しました。都内においては唯一の区直営の美術館である当館では、1981年よりイタリア・ボローニャ国際絵本原画展を開催してきました。今のように絵本展が普及する前より長らく絵本についての展覧会を行っています。絵本の原画を展示するとともに、ワークショップの実施をひろくおこなってきました。かつての受講者が講師として戻ってくるような事例もあり、美術館を中心にゆるやかな循環が発生しているといいます。またボローニャ絵本さんぽといった地域とのゆるやかな連携事業や、さわる絵本といったインクルーシブな絵本の調査・展示なども行っています。こうした事例をはなしながら、松岡は、絵本というひらかれたメディアをいかしたまちづくりの可能性について言及しつつ、今年「いたばし絵本とデザインフェスティバル」が初開催されたことなどもお話しました。

後半では、浜松の音楽分野での創造都市加盟に関わった、静岡文化芸術大学の佐々木雅幸さんと名古屋、神戸、旭川の登壇者、当館松岡とのトークセッションがありました。また最後には、アニーさんからの激励のメッセージもありました。創造都市となっている人たちは、加盟はゴールではなくスタートであるといいます。アニーさんからは、重要なことはその地域のヘリテージをみて、自分たちの街を特別にしているアイデンティティを理解することである、との言葉もいただきました。また、駆け付けた区長からも今後の展望についてなどのお話がありました。
長時間のイベントではありましたが、これから創造都市加盟やその後の展開など、多くの示唆を得られるものでした。創造都市の加盟については、今後も創造都市デザイン課が中心となって活動していきます。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

アニーさんが登壇している様子

最後のトークセッションの様子