2026年8月9日 ボローニャ・ラガッツイ賞と日本の絵本2026
ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアが主催する「ボローニャ・ラガッツィ賞」は、60年以上の歴史をもつ世界的にも著名な絵本賞です。2026年、このラガッツィ賞に2冊の日本の絵本が選出されたことを記念して、日本で開催するボローニャ展では、オペラプリマ部門でスペシャル・メンションを受けた『のらねこノラ』(ポプラ社)と、コミック部門6-9歳の部でスペシャル・メンションを受けた『ゴロゴロゴロゴロ なんのおと?』(パイ インターナショナル)の原画を特別展示することになりました。8月9日には、この2冊の絵本の作者と担当編集者とデザイナーのみなさんにお集りいただき、トークイベントを開催しました。
まず登壇したのは、『のらねこノラ』の作者のすげいずみさんと担当編集者の小堺加奈子さんです。オペラプリマ部門は絵本作家の第一作が対象となる部門です。すげさんのデビュー作『のらねこノラ』について、すげさんご自身が制作について語り、小堺さんが質問やコメントをしながら進んでいきました。元々絵本がお好きだったすげさんですが、デザインを学び、現在もデザイナーとして活躍しています。その経験は、後の絵本づくりにも生きているそうで、いくつかのお仕事を具体的に挙げてくれました。絵本を作りたいという思いをずっと持ち続けていたすげさんは、キャリアの節目や子育てを経て、絵本を制作するようになりました。『のらねこノラ』は、2024年のピンポイントギャラリーのコンペで受賞した作品が元になっています。コンペ受賞作と絵本の作風の違い、試作を重ねながらお話が変わっていったこと、登場するキャラクターのモデルや性格、画材や技法など、たくさんのスライドとともに説明してくれました。ラガッツィ賞で選ばれたことを小堺さんから連絡を受けたときの反応も、率直にお話くださいました。最後に、すげさんと小堺さんたちが参加した春のボローニャのブックフェアにも触れ、『のらねこノラ』が生まれるまでのエピソードと、海外での反応を、たっぷりと披露してくださいました。
続いて、『ゴロゴロゴロゴロ なんのおと?』の作者である横山裕一さんと、担当編集者の關田理恵さん、デザイナーの松村大輔さん(ピエグラフィックス)に登壇いただきました。コミック部門は3つの年齢層に分けて審査が行われ、本作は6-9歳の部でスペシャル・メンションを授与されました。關田さんからは、漫画家として活躍する横山さんによる初めての絵本を作ることになった経緯、3つの試作本を幼児たちに読み聞かせをしてリサーチをしたこと、登場人物の「ひよこ」のことなどをお話いただきました。また、横山さんが黒いペンで描いた原画に、松村さんがデジタル技法で着彩をしたという制作プロセスについて、スライドで検討した彩色プランを見せながら説明してくださいました。時折横山さんもコメントをしながら、ざっくばらんなお話はスピーディーに進んでいきました。後半は、会場のみなさんから質問をもらいました。質問者には横山さんの絵をお土産にもらえるということもあり、次々に手が上がりました。作画方法のこと、子どもへのメッセージ、オノマトペのこと、絵本に登場する「おしり」のこと、さらには「パンとお団子どっちが好きですか」といったことまで、さまざまな質問に横山さんがどんどん答えてくれて、大盛り上がりとなりました。
実は、すげさんは板橋区出身で、横山さんは中学生の頃に当館前の公園で釣りをしたことがあるそうで、偶然にも板橋とご縁のあるお二人の絵本についてのトークイベントとなりました。
すげさんと横山さんの絵本は、内容も制作方法も制作のきっかけも、まったく異なり、絵本の幅広さを改めて感じさせてくれるものとなりました。2026ボローニャ展では、この2冊の絵本の原画もあわせてお楽しみください。



